第47回教員の醍醐味
商学部教授 英 邦広(ファイナンス専修)

大学教員になって10年以上が経過し、150名ほどのゼミ生が巣立っていった。卒業生の幾人かとは今でも連絡を取り合い、近況を聞いたり思い出話に花を咲かせたりする。現在では新型コロナウイルスが猛威を振るっているため会って話をすることは控え、Zoomや電話で話をすることにしている。会話の節々から悪戦苦闘しながらも困難に立ち向かう頼りがいのある様子を垣間見ることができる。学生の頃には心配させられる面もあったが、今では立派な社会人となり、子育てをする親にまでなったのだと、その成長ぶりをふと喜んでしまう。
最近、彼ら彼女らとの会話の中で、「今の大学生はどうやって勉強しているの?」、「今の大学生は大学に行けなくて大変じゃない?」、「就職活動は上手くいっているんですか?」と、大学生を心配する発言を聞く機会が多くなり、それに対して大学生の状況を説明すると、後輩のことを心配して会社の採用情報を教えてくれる卒業生もいる。自分達も苦境に置かれている中、他人を思いやれる気持ちを持つ彼ら彼女らの発言や行動は素直に嬉しくなってしまう。
学生から社会人へと成長していく姿を見ていけることは教員の醍醐味だと言える。現在、コロナ禍で従来と異なる生活様式が求められている中、色々と苦労をする場面もある。しかし、こうした状況もいずれは収束をし、従来の生活様式に戻る日がやってくる。将来、現在在学中の学生が卒業生となり、この今の状況に対して"辛い出来事であったけど、..."、と笑えて話ができ、彼ら彼女らの成長ぶりに驚く日が来ることを心待ちにし、筆を置くこととする。
『葦 2021.№178 春号』
2021年4月18日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。