カリキュラム

教員エッセイ

第41回大学生の消費行動

商学部教授  岸谷 和広(流通専修)

 私自身大学を卒業して20年以上経ちますが、教員として毎年学生と接しているので、他の同世代の人と比べれば違和感を感じることは少ないかもしれません。しかし、学生と相対すると戸惑いを感じることもあります。その中でも、学生の消費行動を注意深く見ていると面白い発見があります。例えば、学校での昼食は、男女問わず家からお弁当を持ち込む学生が少なくありません。お弁当を買うとしても、だせてワンコイン(但しラーメンは1,000円まで)です。飲み会では、飲み放題、食べ放題で2,500円ぐらいが相場でそれ以上は高すぎるようです。ハロウィンなどのイベントには積極的に参加しますが、仮装する服は、メルカリで買って、終わったらメルカリで売ります。当然、彼女/彼氏とのデートは割勘で、プレゼントなどに高価なものを選ぶことはありません。家にいるときは、YouTubeなどで暇つぶしをしますが、テレビはそれほどみません。なかには、映画やドラマ好きの学生がいますが、テレビ番組ではなく、ネットフリックスなど少額の有料サービスを享受しています。その方がまとめて見ることができるからです。

 このように、無料や低価格などに代表される無駄を省くことが、彼らが生活する上で必要不可欠な条件となっているようです。もちろん、ケチということを言いたいのではありません。学費や必要な生活費、海外留学にお金を充てている学生が数多く存在します。無駄のない、選択できる消費こそ彼らのスタイルと言えるでしょう。近年、コト消費として消費のトレンドが訴えられていますが、その根底にある考え方は、バブル期のそれとほぼ変わりありません。彼らのスタイルを理解した上であらためて消費トレンドを考える必要があるようです。

『葦 2018.№171 秋冬号』より

2020年6月30日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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