カリキュラム

教員エッセイ

第36回公認会計士の費用便益

商学部 教授  馬場 英朗(会計専修)

 商学部では2015(平成27)年公認会計士試験に在学生が10名合格した。
 私のゼミからも着任3年間で3名が合格し、今も多数の学生が合格に向けて日々努力している。
 大学生活には様々な楽しみがあり、それを犠牲にして資格試験に取り組むことは勇気がいる。世間にも徐々に知られてきたが、監査法人の仕事も楽ではなく、昨今の会計不正事件にみられるように会計士が負っている責任も重い。

 しかし、若い時代の数年間を技術修得に費やすことで、その後の40年にも及ぶキャリアの基盤ができる資格は限られる。資格に依存して仕事を続けるだけでは物足りないが、資格をうまく活用して実績を積めば、普通よりもずっと早いうちに高度な仕事を任せてもらえるチャンスにも恵まれる。
 私の経験を振り返ると、学部卒業時に就職せず大学院に進んだものの、研究の方向性が定まらず会計士受験に転身した。20代後半で監査法人に就職し、5年ほど懸命に働くなかで、非営利・公会計という業界では傍流とも言える分野に出会い、再び研究を志した。
 資格に限らず、何か学生時代に打ち込んだ人は強い。とりわけ近年の会計士試験は、十分に在学中合格を目指せる環境にあり、我々の時代よりも費やした努力が確実に報われる試験となっている。

 ところで昨年、米国の研究をもとに経済誌が、会計士は将来「機械に奪われる仕事」の第2位と報じた。確かに機械に置き換わる業務もあるだろうが、事実と慣習と判断の総合的表現と称される会計の世界では、自動化が進むほど最後の門番(ゲートキーパー)である会計士の役割が重要になる。改めて思い返しても、会計士は学生にとって目指す価値のある資格と言える。
 目標と定めた学生には、ぜひ夢を叶えてもらいたい。

『葦 2016 No.163春号』より

2017年2月2日更新更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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