カリキュラム

教員エッセイ

第35回大学での出会いを大切に

商学部 教授  藤岡 里圭(流通専修)

 私の大学院時代の友人が国連で働いている。彼は、アフリカから国費留学生として来日し、私と同じ大学院の博士課程で勉強した。私たちの頃はまだ課程博士の学位を取得して就職する者は少なく、ほとんどが就職してから論文博士の取得を目指した。彼はそんな中、課程博士を取得した優秀な大学院生だった。しかし、大学への就職は思うように決まらず、結局、彼は研究者の道をあきらめて国連に就職した。当時、将来への不安を互いに話したが、私は彼の無念さを理解できなかった。私自身、就職が決まらず、学位の取得もめどがたたない非常に不安定な状況だったので、国連に就職できるというだけで羨ましかったのである。そんな彼とは、この15年~16年間ぐらい音信不通となっていた。

 今回、スイスの国際会議へ出席することになった私は、彼のことを思い出し、久しぶりに連絡してみた。私のことを覚えてくれているだろうか、彼にとって日本の印象はよくないだろうなあ等と考えながらメールを送ったら、予想に反してすぐに返事がきた。私が大学に職を得て研究が続けられていることを喜んでくれ、ジュネーブで是非会おうということになった。そして、私が今、どんな研究をしているのかについて話したら、関連する国連プロジェクトのメンバーとのミーティングをセットしてくれた。彼とのメールのやり取りは、長年のブランクを感じさせず、まるで互いが大学院生に戻ったかのようであった。

 学生時代は偶然の出会いの大切さに気づかないことが多い。常に顔を会わせていると、その友達と会うのが当然のように思われる。しかし、それは貴重な出会いであり、大切にしてほしい。私は彼との出会いに感謝し、ジュネーブで再会することを楽しみにしている。

『葦 No.159号』より

2015年7月4日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

<後日談>
藤岡教授は、大学院時代の友人である「彼」と、2014年11月に15年~16年間振りにジュネーブで再会を果たされました。
そのご縁もあり、大学院時代の友人のボンゼンバ氏は今年度、関西大学客員教授として来日され、講演会を開催していただく予定です。

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