カリキュラム

教員エッセイ

第25回独立心の涵養

商学部 准教授  小野 善生(マネジメント専修)

 かつて福沢諭吉は『学問のすすめ』の中で、「一身独立して一国独立する」と説いた。福沢の説く「独立」とは『現代語訳学問のすすめ』(ちくま書房)によると、「自分で自分の身を支配して、他人に依存する心がない」ことを言う。学問とは独立心を涵養することであり、この独立心をもった人間によって支えられる社会があればこそ、一国の独立が保たれるのである。

福沢のメッセージは、過去の遺物のように思われるが決してそうではない。むしろ、昨今の日本の状況を鑑みれば、今を生きるために教訓とすべきであろう。他者に頼るだけの生き方では、たとえ有縁となる人がいても、その人がいなくなれば路頭に迷うだけである。

 独立心を涵養するため、学問に取り組むことは、その気になればいつでもできる。とりわけ、大学という高度な知識と教養を有する様々な専門領域の研究者の指導を仰ぐことができ、クラブやサークルで様々な人と交流できる場に身を置くことは、学問を修めるにあたって願ってもない機会である。

 ところが、学生の中には、大学時代を社会に出るための猶予期間として自由を満喫したいと思う者も多い。自由な時間を謳歌することは結構なことであるが、問題は自由な時間の活かし方である。ただ単に遊び呆けているだけでは意味がない。これでは独立心を涵養するどころか、保護者への依存心を強めるだけである。

 大学で学ぶということは、自由な時間を活用し、様々な形で学問を修めて、独立心を涵養し、人生で路頭に迷う事のない人間になるということではないだろうか。もちろん、そのために我々教員も学生の指導に最大限の努力をすべく、日々研鑽を積んでいる。

 学生諸君には、是非ともこの機会を最大限に活かしてもらいたい。

『葦 №146号』より

2011年03月14日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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