カリキュラム

教員エッセイ

第7回裏切りと驚き

商学部准教授  北山 弘樹(会計専修)

 学生さんとの付き合いで予想を超えた展開になることほど心躍る出来事は無い。

 新入生対象の「商学版・知の技法」修得の為の「基礎演習」は、専門的な知識にこだわらず社会文化全般に関する文章を読みその内容を要約分析し個人的な見解を述べ質疑応答することを主眼にした授業としている。

 例えば、映画「スター・ウォーズ」シリーズ中の銀河共和国が古代ローマ帝国とアメリカ合衆国に喩えられるとの指摘から敷衍してトビー・フーパーから「リング」までの恐怖映画の歴史が抜瀝されたり、ヴィトゲンシュタインの語り得ぬものとは「音楽」のことであるとの解釈の可能性から最後は梅田歩道橋ライブの為に練習中のギターの弾き語りを聴かせて貰ったり、毎回どんな不意討ちが炸裂するかが楽しみであった。学部スタッフ全員念願の「品格ある柔軟なビジネス・リーダー」 が原型として既に完成しているようである。

 また専門講義科目では、会計学上の考え方の国際的な比較を念頭に「企業の会計基準は統一したほうがいいと思いますか」「企業の経営上の会計数値を認識測定する主体としての公認会計士をどう評価しますか」 といった計16項目からなるアンケートに最近答えてもらったところ、何人かの学生さんから「最初から質問は英語でお願いします。概念的な質問はその方が分かりやすいから」との指摘を頂く。明治時代にデモクラシーを工夫して民衆交際と訳して日本語の薬籠中にしようとした福沢諭吉ならずとも舌を巻く現代日本の最先端の言語感覚の一つの表れと言えるかもしれない。

『葦 №136号』より

2008年07月18日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

 

☆北山ゼミの学生たちとの交流(第2学舎1号館前にて)☆


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