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2018.07.09

商学部学術講演会 〔7月2日 石田 秀樹 氏 〕 を開催しました。

 関西大学商学部の学術講演会が201872日(月)4限に開催された(於:千里山キャンパス第2学舎A501)。講師は京セラ株式会社の元常務取締役経営管理本部長の石田秀樹氏で、講演テーマは「京セラアメーバ経営とはなにか、内部から見た原理と実践、その未来的展開について考える」であった。
 石田氏は、1971年に京都大学法学部をご卒業後、日立金属株式会社を経て1976年に京セラ株式会社に入社された。8年間の米国京セラ勤務を経験された後、京セラ本社に帰任され、取締経理部長、常務取締役経営管理本部長、常務執行役員財務統括本部長などを歴任され、京セラアメーバ経営の中核を担ってこられました。こうしたご経験から、当日の学術講演では京セラのアメーバについてその基本的な意義と仕組みを歴史的に振り返りながら、わかりやすく、詳細にお話していただいた。
 石田氏は、まずアメーバが単細胞の中に各種機能を詰め込んだ「自律分散運動組織」であることを説明され、分裂だけではなく、結合することも重要な側面であることを強調された。そしてアメーバ経営の基本原理が「全員経営原理(ひとりひとりが経営者)」であり、「全員成長原理(経営者を育てる)」であることを指摘されて上で、「人の心を動かす会計」、「人とともに動く会計」、「現実を変革する会計」となるのが京セラアメーバ経営の特徴であったことを紹介された。またアメーバ経営の業績評価の中心となる時間あたり採算制度が誕生した歴史的な経緯についても触れられた。1960年第1回製販会議の資料項目に受注予定、受注実績と遂行率、生産予定、生産実績と遂行率、受注残、納期遅延表、製品歩留率などが登場し、1963年の新しい滋賀工場の報告より、稼働日数、人員数、稼働延べ時間、一人あたり生産高、時間あたり生産高が追加資料として提出され、生産性が意識されるようになってきた。そして19651月に本社工場より最初の時間あたり採算表が作成され、現在の「分散型社内売買ネットワーキング」の導入による「アメーバ経営システム」に繋がってきたのである。
 石田氏はこうしたアメーバ経営の歴史を振り返りながら、「結果を分析し反省するのではなく、出た結果を超えて先に向かう『フィードフォワード』原理」が重要であったことを強調された。さらに石田氏は「人の働きは費用としてではなく時間で認識する」、というのは「人は資源でも手段でも管理対象でもない」からであり、「人的生産性つまり人件費効率ではなく、時間効率(時間がもたらすものをより豊かにする)」なのであると含蓄ある表現をされた。そして最後に石田氏は「AIIoT時代の未来的アメーバ経営の原理」のアイデアとして、「アメーバ経営はもともとIoTの上に成立しているので、ネットワ-キングをイン(調達)側・ア ウト(市場)側・テクノロジー面にオープンに拡げ、フィードバック原理のAIを人間のフィードフォ ワ-ド能力(大局観、未来的直観)によって活用して、革新のためのエッジ(尖端)を形成」する必要があると話されて講演を終了した。
 学術講演会には180名近くの学生が出席し、真剣に聞き入っていた。本講演会はこの時間帯の講義科目である管理会計論と連動する有意義な学術講演会となった。

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講師:石田 秀樹 氏

【記事提供 : 商学部 水野 一郎 教授】


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