2016.01.27
平成27年12月22日(火)10:40~12:10(第2時限)に、関西大学千里山キャンパス第2学舎2号館C303教室において、関西大学客員教授、大阪銀行協会専務理事の高橋英行氏を講師に迎え、「地方銀行の現状と課題~地方銀行はどう生き残るか」というテーマで商学部主催の客員教授講演会を開催しました。
講演会の要旨は次のとおりです。
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最近、新聞各紙に足利銀行と常陽銀行の経営統合が大きく報道された。近年、地方銀行同士の経営統合のニュースをよく耳にする。こうした地方銀行の経営統合が相次ぐ背景を金融当局のレポート(金融庁の金融モニタリング・レポート、日銀の金融システムレポート別冊)をもとに考えてみたい。
足元の地方銀行の収益をみると極めて好調な姿が窺える。しかしながら、中身をよく分析してみると、預金を集め、その資金を貸出す言わば銀行の本業の部分は苦戦している姿が見えてくる。これは貸出金利が預金金利に比べ大きく低下し、いわゆる預貸金利鞘が縮小していることが主因である。預貸金利鞘の縮小を招いているのは、人口減少による地域経済の活力の低下が原因の一つとこれらのレポートは分析している。
本業の苦戦が人口減少によるものとすれば、いわば構造的な問題であり、5~10年後を見据えた中期的な持続可能なビジネスモデルの構築が地方銀行には求められる。この問題に対応するため人口減少の影響の少ない首都圏に出店するケースもみられるが、競争が激しく十分な利益を稼げる状態ではない。
その対応の一つは、それぞれの地方銀行が基盤とする地域にしっかりと根とおろし、地域経済としっかり向き合う方法である。地域の産業・企業の活力向上のためしっかりと金融支援を行うことである。そして、もう一つの方法が業務提携や経営統合である。規模の拡大は経費削減効果があり、また、業務範囲の拡大も期待でき、地方銀行にとっての一つの選択肢であることに間違いはない。
いずれにしろ、地方銀行に求められているのは、人口減少社会を見据えて中期的な持続可能なビジネスモデルを構築することであり、最近の地方銀行の経営統合もこうした大きな流れの中で理解すべきである。
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具体的な事例を取り上げながら、学生にも分かりやすく説明をしていただきました。
講演会に出席した、主に商学部の学生たちは、大変熱心に聴講していました。
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