2015.12.10
2015年11月12日(木)10:40~12:10に、日本ポリグル株式会社・ポリグルソーシャルビジネス株式会社の代表取締役会長 小田兼利氏を講師に迎え、商学部KUBIC アントレプレナー・セミナーを開催しました。
「世界中の飲み水問題を解決する」というミッションのもと展開されている日本ポリグルの水ビジネスは、途上国へのソーシャルビジネスとして非常に有名な取り組みです。
阪神淡路大震災後に、納豆のネバネバの主成分であるポリグルタミン酸を使った水質浄化剤を製品化。
世界の被災地への無償提供したことが契機となり、バングラデシュで、水の浄化システム・ビジネスを開始しました。
そのビジネスモデルは、現地の状況に合わせて進化を続けています。
講義の冒頭では、日本ポリグルの水質浄化剤を用いた実験も披露されました。
ソーシャル・ビジネス部チームリーダーの水野花菜子氏による実験は、泥水に白い粉末(水質浄化剤のPGα21Ca)を入れてかぎ混ぜるというもの。
講演会に参加した学生の協力を得て、BIGホール100内の4箇所で実験の披露がありました。
みるみるうちに汚れだけが集まって沈殿し、きれいな水ができる様子に、学生たちの目が釘付けとなりました。
エチオピアから帰国したばかりだという小田会長は、エチオピアで同様の実験を行なった際のエピソードを披露されました。
実際にそのビジネスを自ら現地に赴き創造してきた熱意と創意と行動力が、500名を超える聴講者で埋まった会場内に伝わりました。
小田会長からは、日本ポリグルの水質浄化技術が,国内では実績がないと相手にしてもらえなかったため海外に進出したことや、水問題に苦しむ発展途上国の現地住民が購入可能な低価格で販売していることの説明がありました。
「飲み水問題を解決する」ことにより、現地ではさまざまな変化がおきているそうです。
病人が減って人々が明るくなったこと、派生的に新たな雇用やビジネスが現地に生まれていること、科学者を目指す子どもが増えていることなどです。
日本ポリグルの活動は、第68回国連総会における安倍首相の一般討論演説の中で触れられたり、日本国内のテレビ番組でも取り上げられてきています。
しかし、これまでの道のりは平坦ではなかったようです。
地道な活動を通して途上国現場との間に信頼関係をつくりwin-winになるように努力されてきたストーリーを、小田会長から直に聞くことができました。
小田会長は、質疑応答のなかで、「①海外で成功した秘訣については何か」「②利益は出ているのか」という質問に対し、①資金に恵まれていなかったため、人任せではなく、自前で海外への営業活動を行い、現地に根付いた活動を行ってきたこと、②最近ようやく採算が取れるようになってきた、と回答されていました。
小田会長と同様に、現地の活動に奔走するソーシャル・ビジネス部チームリーダーの水野花菜子氏は、「やりがいを感じるときはいつか」という質問に対し、バングラディシュで働く「POLY_GLUレディ」が国連で紹介されたことや、安全な飲み水に喜ぶ現地の人々と接することなどをあげられていました。
また、「危険なことはないか」という質問に対し、常に考えられる安全策は講じていること、持ち物は必要最小限のものしか持たないことや盗まれても仕方がないと思っていると説明があり、発展途上国で働くうえでの並々ならぬ心構えを感じました。
講演の最後に、小田会長は、これからの社会を担う学生たちにむけて下記のエールを送ってくださいました。
「大きな夢を描いてあきらめないこと、自分の限界を決めないことが大切です。」
講演終了後には、小田会長の前には質問や感想を述べる学生たちの長蛇の列ができ、反響の大きな講演会となりました。
記事提供 : 商学部 横山 恵子教授
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