キャンパスライフ

商学部学術講演会(10月13日 南村 忠敬氏)を開催しました!

20231013日(金)、つぎのとおり、商学部学術講演会を開催しました。

演題:「放置空き家の解消に向けた取り組みの現状と課題-産学官の連携が生み出すリサイクルの新価値を考える-」

講師:南村忠敬氏(第一住建株式会社代表取締役社長)

 空き家のなかでも、住居人が長期間不在であったり、建替えなどのために取壊しが予定されている空き家(以下、放置空き家等)は、景観を損なうのみならず、犯罪に利用されやすいなど、周辺地域や住人に重大な影響を及ぼすことから、それを如何に解消するかが課題になっていました。

 南村氏は、こうした放置空き家等が抱える問題を、ミクロ的な視点とマクロ的な視点の両面からとらえ、当該問題を如何に解消するか、その具体策を明らかにされました。

 講演の前半では、ミクロ的な視点に立ち、神戸市において実際に行われた対策の事例が紹介されました。放置空き家等は、それが置かれている条件によって複雑多岐にわたる問題を抱えており、それらを解消するには所轄行政庁や農業委員会、家庭裁判所の許可を要することなどが明らかにされ、当該問題を官民連携または民間の不動産会社によって解消するプロセスが示されました。

IMG_0324.JPG 講演の後半では、マクロ的な議論が展開されました。まず、空き家および空き地を生み出している社会構造に少子化および高齢化が問題が存在する点が指摘され、そのうえで、空き家・空き地を解消する方法が示されました。空家等対策特措法をはじめとする法律、税制、および国や地方自治体の支援策のほか、産官学それぞれにおける対策事例が紹介されました。産業界の例として、パソナグループによる淡路島の地方創成事業、行政の例として国土交通省による取組みがとりあげられ、学術機関の例としては、東京大学不動産イノベーション研究センター(CREI)による研究が示されました。

 南村氏の講演は、空き家・空き地が周辺地域のみに関わる限定的な問題ではなく、環境問題にも発展し得るうえ、固定資産税等の地方税や住宅価値の査定への影響を介して、経済社会全体に及ぶ重大な課題であることを示されました。

 兵庫県、神戸市、国土交通省において多くの審議委員を務められ、空き家対策の最前線の現場にて実績を積まれている南村氏だからこそ、お話しいただける貴重な講演でした。

 学生からは、「空き家・空き地について熟慮するきっかけになった」、「不動産業の知らなかった一面を知ることができて、興味深かった」などの意見が寄せられました。

 学生に多くの示唆を与えてくださった南村氏に、心から御礼申し上げます。

IMG_0314.JPG              記事提供:商学部 齊野 純子教授

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