ごあいさつ
1886年に、関西初の法律専門学校として創立された『関西法律学校』を起源として、関西大学には、130年以上にわたる法学教育の歴史と伝統があります。その間、数多くの法律家を輩出し、現在も、法曹有資格者として740名を超える関西大学の卒業生が社会で活躍されています。
学理と実際とを調和させ実社会で有用な人材を養成するという、関西大学の建学の理念たる『学の実化』に基づき、関西大学法科大学院は、「理論と実務を架橋する高度の法学専門教育により、法曹としての基本的資質を培い、職業的倫理観と豊かな人間性を備えた創造力を持つ法曹を養成すること」を目的として、2004年の創立以来、法科大学院教育に専心して参りました。
本法科大学院の特徴のひとつは、一学年40名の少人数教育であることです。そのメリットを活かして、授業においては、教員と学生の距離が近く、高い学修効果が得られる環境が整えられております。教育課程においては、アジア地域の法整備支援と法学教育が、本法科大学院ならではの取組みとして特筆されます。また、大阪大学法科大学院との連携協定に基づいて、本法科大学院の学生が大阪大学法科大学院の授業を受講することで単位認定される制度も設けられております。
他方、本法科大学院では、入学前から修了後まで、さまざまな学修支援体制が整えられています。個々の在学生に担任教員を配置して、学期の区切りごとに全学生を対象に個別面談を行い、また、修了生に対しても、定期的に「キャリアビジョンリサーチ」をお送りして、メール等の手段で回答してもらいます。そして、これら情報を教員間で共有し、在学生と修了生の学修を支援するための基礎資料としております。このほか、修了生がティーチング・アシスタント(TA)となり、更にはアカデミック・アドバイザー(AA)として、後輩たる学生への指導・助言に当たるほか、特別演習など課外の勉強機会を設けて、正規授業の補完や論文式試験対策を実施しております。このほか、充実した奨学金または学習奨励金の給付が、経済面から、法科大学院生用の図書室(ロー・ライブラリー)や24時間365日利用可能な自習室(女性専用自習室も設けられております)が、施設面から、それぞれ学生の学修を支援します。
修了後の進路支援体制としては、本法科大学院における司法試験合格後のサポートのほか、法曹としての就職活動や継続教育等ために、従来より、関大法曹会の手厚いご支援を頂いております。また、法曹以外の進路を希望する者には、本法科大学院や関西大学キャリアセンターの就職支援に加えて、関大校友会のご支援を頂くという、新たな活動も始まっています。
司法試験に最終合格することを含めて、学生各人がそれぞれの自己実現を図ることは、決して容易いことではありません。関西大学法科大学院は、さまざまな教育課程や学修・進路の支援体制を通じて、これからも、学生ひとりひとりを大切にして参ります。そして、本法科大学院で学んだ学生が一人でも多く、それぞれの自己実現を果たされることを、全力で応援して参ります。
関西大学大学院 法務研究科長 多治川 卓朗