今年はダントツで 須田やったな
文化・スポーツ
~2023年度 年間最優秀賞「ミルズ杯」を受賞~
文学部 3 年次生 須田 啓太 さん ※学年は取材時
関西大学体育会アメリカンフットボール部は、2023年秋 のリーグ戦で13年ぶり7度目の優勝を飾った。だが、3大学が同率で優勝した結果、規定により抽選で、惜しくも学生日本一を決める「甲子園ボウル」の出場を逃した。個人では年間最優秀選手に選ばれた須田啓太さんは「チームの日本一が第一。今年こそは」と決意を新たにしている。
剣道選手の両親のもと、幼いころから高い運動能力に恵まれた。野球をすれば身体能力が必要な投手や遊撃手を任された。転機は小学5年生。地元の体験会でアメフトの存在を知った。「最初はラグビーとの違いも分からなくて......『防具が格好良いな』と思う程度だったんですが、次第に頭と体を高いレベルで使う競技そのものに魅力を感じるようになりました」。中学校では部活で軟式野球、校外のクラブチームでアメフトと「二刀流」を実践していたが、「もっとアメフトが上手くなりたい」と思い、高校からアメフト一本に絞ることを決めた。
中学生の時は全国的には無名の選手だったと言う須田さん。当時の関西大学第一高等学校アメリカンフットボール部の磯和雅敏監督(現・関西大学アメリカンフットボール部監督)から「一高でやってみないか」と誘いを受けた。「活躍もしていないのに声を掛けてくれたことを恩義に感じた」と言い、関西大学で学生日本一を目指す物語が始まった。
才能は高校入学後に花開く。攻撃の起点となるQB(クォーターバック)に必要な長距離を投げきる肩の力、自らボールを持って走る足の速さ。そんな「パス」と「ラン」どちらの能力も兼ね備えた万能選手として、チームの主力を担った。大学入学後は1年次から試合に出場し、「期待の若手」として取り上げられることが増えた。
2年次に不動のQBとなると、3年次には走りながらパスを出すランニングスローの精度を高め、学生アメフト界で注目の存在に。自らを人見知りな性格と分析するが、「不思議なことに、アメフトのことで気になったことは誰にでも聞けるんですよ」と笑う。それがライバル大学のエースだろうと、高校で同じくQBを務める弟の隆介さんであろうと。「僕はプレーに気持ちを乗せるのは得意でも、クレバーさはイマイチ。その点、弟は試合中も冷静なので参考になります」。何でも吸収しようという貪欲さが、彼の成長を後押ししている。
「僕は出会う人に恵まれてきました。先輩、コーチ、監督、みんなが真剣に僕に向き合ってくださる」。支えてくれる家族の存在も大きい。1月に日本代表選手として出場した国際親善試合には家族総出で東京まで応援に来てくれた。「感謝しています。だからこそ、結果で恩返しをしないと」。そのためにももっと結果にこだわる1年にするつもりだ。
学生ラストイヤーに目指すのは日本一。そして「今年はダントツで須田やったなと言われたい」と宣言する。社会人・Xリーグで日本のアメフト界を引っ張るという夢を実現する前に、まずは学生アメフトで全力を出し切るつもりだ。