総合情報学部4年の永島陸さん(松下研究室所属)が,2025年3月17日-19日に京都大学で開催された情報処理学会第75回エンタテインメントコンピューティング研究発表会にて下記の研究を発表し,研究奨励賞(銀賞)を受賞しました.
永島 陸,徳丸 晴天,畑 玲音,松下 光範: イベントにおける地図の情報量がユーザ行動へ与える影響に関する分析
https://dl.mtstlab.org/papers/405
近年では,スマートフォンでオンライン地図を見ながら街歩きをすることが一般的になってきており,イベントでの活用も進んでいます.イベントの主催者の観点からすれば,特定のエリアの混雑を避けたり,満遍なくエリアを巡ってもらうために,来場者の回遊動線を設計することが重要になります.
この研究では,こうした目的を達成するための基礎検討として,地図のデザインや情報量(e.g.,
ランドマークや道の本数)がユーザ行動に与える影響を調査しました.具体的には,2024年の祇園祭前祭で使用された2種類のデジタル地図を対象として,ランドマークが存在する道の滞在時間や使用・中断時間の割合を手がかりに,地図の特性が行動に及ぼす影響,および日本人と外国人の使用傾向の違いを比較したところ,(1)ユーザは必ずしも地図を継続的に参照しているわけではないこと,(2)日本人は詳細な地図を利用するときに,地図に描かれていない道に逸脱する割合が高いが,外国人にはそのような傾向が見られないこと,(3)ランドマークのある道への滞在時間は,地図によらず日本人のほうが外国人より長いこと,などが確認されました.こうした特性を知見として集積することで,例えば,オーバーツーリズムを低減させられるような地図の設計につながると期待されます.