経済学部生による新規開講ゼミ 教員インタビュー~山田 宏 教授 編~

山田 宏 教授のご経歴やご専門分野を含めて簡単に自己紹介をお願いします
私は広島県三原市の出身です。広島大学経済学部卒業後は銀行に就職しましたが、シンクタンクへの転職を機に大学院へ進学を決意しました。筑波大学大学院修了後は小樽商科大学や広島大学で教育や研究に携わり、この4月から関西大学に勤務しています。

専門は統計データを扱う統計学の一分野である「計量経済学」です。どの分野にも、それぞれのデータを分析する専門家がいます。経済学にも経済分野で使うデータの統計分析を扱う研究者がおり、私もその一人です。
私はこれまで主に、一定の間隔ごとに観測されるデータである「時系列データ」の解析を研究してきました。それに加えて「空間データ」の分析法にも取り組んでいます。これは、大阪府、京都府、滋賀県といった、それぞれの県に一つだけ出てくるようなデータになります。最近はこちらがメインかもしれないですね。研究スタイルとしては、数学の一分野である「線形代数」の応用が一番の基礎にあると思います。
このゼミではどのようなことを学べますか?
また先生が感じるこの分野の面白さもぜひ教えてください!
私のゼミの特徴は、経済学部にしては「理系的なゼミ」だということです。どのあたりが理系的かというと、まず論文の執筆です。多くの人はMicrosoft社のWordで文章を書くと思いますが、私のゼミでは「LaTeX(ラテック)」というフリーソフトを使います。これを利用すると数式をとても綺麗に書くことができます。私もこれまでの著書の原稿は全てLaTeXで作成してきました。ゼミ生にも、まずはLaTeXを使った論文執筆を学んでもらいます。

また、「MATLAB(マトラブ)」という行列計算のアプリを使って様々な行列計算に取り組みたいと思っています。行列計算と聞くと難しそうですが、掛け算と足し算さえ分かればできるので、一言で言えば「慣れ」ですね。
そして、私が大切にしているのが「証明なくして前進なし」という言葉です。そのため学生にも、「すごく簡単なものでいいから、自分で証明して、小さくてもいいから確実に前に進もう」というスタイルで接しています。論文作成も「ミニ数学を作ろう」と思って取り組むので、最初から少しずつ確実に進めていきます。そのため、私のゼミは他のゼミのように、みんなで集まって大会に出場するといった活動はあまりないと思います。
また、この分野の面白さは、一見関係ないことが思わぬかたちでつながる瞬間にあります。「あ、これがここに登場するのだ」と、気づいたときはとてもワクワクします。そして、やはり自分の考えを証明できたときは楽しいですね。もし間違っていたとしても、証明の過程をたどれば、どこが間違っていたのかを検証できます。そこにも面白さがあります。

先生ご自身が考えるこのゼミの最大の魅力や強みは何ですか?
また、それを実現するために大切にしたいことがあれば教えてください!
大学時代は人生の「ファンデーション(基礎)」を築くべき時期だと私は思っています。今のインターネットやAIの時代において、様々な知識を広く浅く身に付けているということの価値は、ますます小さくなっています。大切なのは、良質な情報を見つけて深く考えることです。その積み重ねが人生の基礎となり、様々な課題に直面した際に対応できる力になると思っています。
この力を養う非常に良い方法の一つが、「数学の証明」です。だからこそ、「たくさんやらなくていいから、一つ一つを深く理解しなさい」「色々な角度からそれを眺めてみよう」ということを重視しています。ゼミではそうしたことを伝えていきたいです。

ゼミ活動を通して、学生にどのような力や考え方を身につけて欲しいと考えていますか?
一つのことを、とことん深く考える姿勢を身につけてほしいです。例えば本を読む時も、単に数をこなすのではなく、気に入った良書を「著者以上に著者になるくらい」深く考えて読んでほしいと思っています。博士論文の指導でも、学生には気に入った最先端の論文を見つけたら、その1本を徹底的に読み込みなさいと伝えてきました。そして、「それができたら、君はこの分野で食べていけるよ」と教えてきました。学生たちにもそういう姿勢を伝えていきたいです。
先生はどのような学生と一緒に活動していきたいと考えていますか?
また、どのような雰囲気のゼミにしていきたいですか?
まず大切なのは「連絡が取れること」ですね。こちらから連絡をしたときに、きちんと返信する、ゼミに出席する、出られないときはその理由を事前に伝える、というような基本的なことができることが大切だと思います。それができていないと困るので(笑)
あとは、私のゼミの方針に魅力を感じてくれる人がいいです。まだ関西大学の経済学部について詳しく知らないものの、他のゼミはとても楽しそうに見えます。私のゼミにそういった「いわゆる楽しそうな雰囲気」を全力で求められても困ってしまいます。私の性格上、厳しいところは厳しいと思います。ただ、理不尽な厳しさを強いるつもりは全くありません。もちろん、私がそのように思っていなくても、学生の皆さんから見れば理不尽に感じることもあるかもしれません。そのあたりのバランスはとても難しいですね。

普段のゼミ活動は、どのような形で進めていく予定ですか?
グループワークや発表などがあれば、ぜひ教えてください!
グループワークは基本的にはやらないつもりでいます。学生自身に証明をしてもらい、それに対して私がコメントをしたり、私が手本を示した後に、学生に他の問題で実践してもらったりするスタイルです。ただ、共通の課題に何人かで一緒に当たってみる、ということはやるかもしれません。このあたりは、実際に学生の様子を見ながら考えていきたいです。「こうでなければならない」という固定観念に縛られず柔軟に変えていけばいいと思っていますし、究極的には「本当に勉強になったな」と思ってもらえる場にしたいですね。
このゼミでの活動を通して学生はどのような能力を身につけることができますか?
また、それが将来どのように生かせると思いますか?
「生きる力」でしょうね。人生のファンデーションを築く大切な時期に、しっかりと時間を使って成長してほしいと願っています。それに尽きます。

ゼミ選びをしている2年次生に向けてメッセージをお願いします!
経済学部のウェブサイトのトップページには、「無数の選択が世界(あるいは社会や人生)を動かしている」という、非常に印象的な言葉が掲げられています。私は学生時代にミクロ経済学を学びました。当時面白かったのは、「『選ぶ』という行為を西洋人が突き詰めて考えると、こういう学問(経済学)になるのだな」「選ぶことを科学するとこうなるのか」と感銘を受けたことです。ミクロ経済学を学んでいる経済学部の皆さんも、「選ぶ」ということの意味をそれなりに考えたことがあるのではないでしょうか。自分でよく考えて選んで欲しいと思いますが、一方で人生には成り行きのような部分もあります。本当に人生いろいろですね。どちらの側面もあると思います。
【取材・撮影 : 関西大学経済学部ゼミナール協議会 天野、尾﨑、坂上、佐野】
学生によるインタビューの様子はこちらから!
同じく新規開講ゼミの伊藤 高弘教授、古田 美保教授のインタビューも掲載中!
▶ 経済学部生による新規開講ゼミ 教員インタビュー~伊藤 高弘 教授 編~
▶ 経済学部生による新規開講ゼミ 教員インタビュー~古田 美保 教授 編~