なぜ経済学部に?
経済学は、社会や個人の行動を分析するための有用なツールだと思います。たとえば500円の小遣いがあったとき、「100円のチョコと10円のガムを何個ずつ買うと満足度が高いか」というのも、予算制約線と無差別曲線というグラフによって表すことができます。実際に財布に1,000円しかないときに「ラーメン食べに行こうかな。いや、エナジードリンク何本か買って勉強がんばるほうがいいか?」なんて悩むときも、「これもグラフで表せそうだな」と思ったりします。
一国の経済を見るマクロの視点と、個々の取引に焦点を当てるミクロの視点とで、それぞれ異なる結果が出るのも経済学の面白さのひとつだと感じます。わかりやすいところで言うと「合成の誤謬」と呼ばれるものがあります。たとえば火事が起きたときに非常口に向かうのは個人の選択としては正しいのですが、大勢が同じ行動をとると混雑して焼け死んでしまいます。その他、短期的に見るか長期的に見るかなど、さまざまな視点によって見えるものが変わってきます。
だからこそ経済学も進化し続けているよね。昔の経済学の理論では、「恐慌などは起こらない」というのが通説でしたが、実際に大恐慌が起こってしまった。そこでケインズが新たな理論を生み出して、それがまた新自由主義や「大きな政府・小さな政府」といった理論の誕生につながっていきました。新しい理論ができて終わりではなく、最近ではリーマンショックなどの新たな局面を迎えるたびに、経済学は対応していっています。
現在もビッグデータ活用やコロナ禍などさまざまな変化が起こっていますが、資本主義社会の基盤になっている学問だからこそ、従来の理論をベースにどんどんアップデートされていくと思います。経済学を学ぶということは、その根底に流れる普遍的な考え方を理解しておくということ。今後どんな変革が訪れたとしても、きっと役に立つと思います。