関西大学法科大学院
アイコン トピックス
2023/11/20

令和5年合格発表によせて

先日11月8日(水)に、令和5年司法試験の合格発表が行われました。

合格発表によせて、本法科大学院法務研究科長からのメッセージを以下のとおり掲載いたします。

***

令和5年司法試験において関西大学法科大学院が輩出できた最終合格者は、昨年の15名(受験者数に対する合格率28.3%)を大きく割り込み、7名(内、在学中受験者2名。受験者数55名に対する合格率12.7%)にとどまりました。完敗です。合格の報を手にされた各位には労いとお祝いの意を表しますと共に、苦渋の涙をのんだ受験生の多くのみなさんに申し訳ない思いをお伝えし、また、関西大学法学部、関西大学校友会、関大法曹会の関係各位に対し、平素から多大のご支援ご協力をいただいているにもかかわりませずご期待に沿う結果を出せませんでしたことにつき、深甚お詫びを申し上げます。

 敗軍の将は兵を語らずと言いますが、黙して語らざるの無責任をおもえば、敗軍の将であるからこそ、苦衷苦辛に耐えて言葉を発しなければなりません。

 受験者数・短答合格者数では昨年からほぼ横並びであったことから見て、論文式試験の結果のいかんが分岐点となったものと考えられます。また、初回となった在学中受験による合格者が637名に及び、その反面において、全体としての合格者数の増加にもかかわらず、これまでならかろうじてであれ合格できたかもしれない受験者らが圏外に押し出されてしまった、ということもあるのかもしれません。そうであれば、その「かろうじて合格」水準から「余裕で合格」水準へと受験生の能力を急向上させるため、短答式試験または論文式試験において他を圧するに足りる能力を醸成しなければならないという、至極当然の課題に、本法科大学院は、出直し的覚悟をもって取り組んでまいります。

 一つには、学内成績と司法試験合否との間に正の相関関係があることがますます明確になりつつありますから、正課授業と正課外演習との連動性を一層高め、司法試験が求める能力に一層的確に照準を合わせていきます。いま一つには、確実余裕の司法試験合格力は法律基本科目の基礎力を確固なものとすることなしにはおよそ考えられませんから、急がば回れ、「3+3」(学部早期卒業+既修者長期履修による法律基本科目の学び直し〔本法科大学院固有の制度〕)が本法科大学院の教育態勢としては最も効率的であることを、本法科大学院入学を志してくれる学生の皆さんに強く訴えていきます。さらに、セーフティネットとしての一般就職支援にも、怠りなきを期していきます。

 関西大学法科大学院は、このたびの結果を直視し、学生の皆さんの目標達成のために必要な自己改革を進め、くりかえしになりますが出直し的覚悟をもって、学生の皆さんと共に、ただ前をのみ見て、ただ上をのみ向いて、歩んでいきます。その向こうに、この国に法の名において公平と公正があまねく実現されることを、夢に見つつ。

関西大学大学院法務研究科長

下村 正明

***