ビッグデータはビッグマネーを生むのか?
~ビジネスデータサイエンス学部を開設~
学び
/鷲尾 隆 ビジネスデータサイエンス学部長(就任予定)
現 関西大学商学部教授
関西大学は2025年4月、ビジネスデータサイエンス学部(BDS学部)を開設。これに先立ち3月15日に開催するシンポジウムでは、人気テレビ番組「そこまで言って委員会NP」とコラボし、わかりやすくデータサイエンスについて掘り下げる。シンポジウムのテーマでもある「データが生み出す新たなビジネスチャンス」「AIと共生する未来」などについて、ビジネスデータサイエンス学部の学部長である鷲尾隆教授に話を聞いた。
近年、ビッグデータの活用がビジネスの成長を左右する要素として注目されている。マーケティング、金融、医療、行政など、あらゆる分野でデータ駆動型の意思決定が求められる中、「ビッグデータは本当にビッグマネーを生むのか?」という問いを多くの人が抱いている。
「データサイエンスを学ぶことは単なる技術習得ではなく、社会を読み解き、価値を創造する力を養うことに他なりません」と語るのは、関西大学ビジネスデータサイエンス学部(以下、「BDS学部」)の学部長である鷲尾隆教授。「データを扱う専門家と、ビジネスの現場を知る実務家との間にはギャップがある。この両者を橋渡しし、データの力を最大限に活用できる人材が求められています」。
BDS学部では、データサイエンスの基礎から応用までを体系的に学び、企業との連携を通じて実データを活用した実践的な学びを提供することで、この課題の解決を目指している。「データ活用の本質を理解し、それを適切にビジネスに落とし込む力がなければ、いくらデータがあっても利益にはつながりません」と鷲尾教授は指摘する。データの収集・分析だけではなく、それをどのように経営戦略に組み込むのか。この視点が、ビッグデータをビッグマネーに変える鍵となるのだろう。
このテーマについてさらに深く掘り下げる場として、「関西大学でも、そこまで言って委員会BDS」と題したシンポジウムを開催。これは、人気討論番組「そこまで言って委員会NP」のスピンオフ企画として実施される特別イベントであり、BDS学部の教員のほか、著名な実務家や識者が登壇し、データサイエンスが社会やビジネスにどのような影響を与えるのかを議論する場となる。「ビッグデータはビッグマネーを生むのか?」「AIに支配される未来は来るのか?」「データで読み解く日本の未来」といったテーマが討論の柱となり、専門的な視点だけでなく、ビジネス、政策、社会的影響についても幅広く掘り下げる。これにより、データサイエンスの可能性とリスク、そして未来社会の展望について、参加者がより深く理解を深めることができるだろう。シンポジウムでどのような意見が飛び出すのか、ぜひ注目したい。
■日程:2025年3月15日(土)14:30~16:30
■シンポジウム登壇者(敬称略)
<関西大学側パネリスト>
鷲尾隆 学部長、鎌田真由美 教授、須賀聖 助教、椎橋徹夫 客員教授(Laboro.AI代表)
<「そこまで言って委員会NP」側パネリスト>
須田慎一郎(ジャーナリスト)、橋下徹(元大阪府知事・弁護士)、丸田佳奈(医師・タレント)、安野貴博(AI研究者)
■討論テーマ「データサイエンスは未来をどう変えるか」
①データサイエンスはビジネスにどう活かされるのか
②AIと共生する未来
③データ分析を駆使した未来予想図
BDS学部では、データサイエンスとビジネスを架橋する実践的な学びを提供することを目指している。そのために、企業との連携を強化し、マーケティング、金融、医療、行政など、さまざまな分野での実データを用いた学習をカリキュラムに取り入れている。
「データ活用が進むことで、従来の仕事のあり方も変化していきます。BDS学部では、単に技術を学ぶのではなく、データを活用して社会の変化を予測し、適応できる人材育成を目指しています」と鷲尾教授は語る。こうした学びを支える場として、2023年10月に開設された「吹田みらいキャンパス」がある。このキャンパスでは、企業や地域社会との共同プロジェクトに積極的に取り組む計画が進められており、学生たちは実社会と直結した学びの環境でスキルを磨いていくことが期待されている。
また、BDS学部は単なる学生の学びの場にとどまらず、社会人のリカレント教育(学び直し)の拠点としての役割も果たしていく。「最終的には、企業側が学生を受け入れるだけでなく、企業から社員を派遣し、大学で学び直すような仕組みも考えています」。データサイエンスの知識が社会全体に浸透することで、より高度なデータ活用が可能となり、新たなビジネスの創出にもつながっていくのだ。
最後に、鷲尾教授にBDS学部の使命について尋ねた。
「データサイエンスの力を、単なる技術としてではなく、社会の未来を創る道具として使いこなせる人材を育てることです。データの価値を正しく理解し、それを社会に還元できる人が増えれば、より豊かで持続可能な未来を築くことができると信じています」
データがあふれる現代社会において、それをどう活用するかが問われている。BDS学部で学ぶ学生たちが、データを駆使し、未来を切り拓いていくことを期待したい。