2019.11.28ニュース
RECSIE 2019 : 池田圭子教授による考察
IIGE副機関長、池田圭子教授は8月26日から28日にかけて南山大学で開催された国際教育研究コンソーシアム(RECSIE)の国際教育夏季研究大会で発表しました。
池田圭子教授のセミナーに対する考察は以下の通りです。
2019 年8月26日(月)
作成:関西大学 池田佳子
分科会I「COILセミナー」
講師感想
世界展開力強化事業としてCOIL(Collaborative Online International Learning)という名前が、日本国内で昨年度から一気に波及した。日本国内の大学関係者がこぞってコンセプトを取り上げ始めたことは、米国でさえも数年間かけてじわりと広がってきたことを考えると、非常に急速な展開だといえる。一方で、COILがどのような実践であるのか、しっかりとした理解とともに浸透しているかといえば、それはまた別の話である。「アクティブラーニング」といった言葉が流行のようにもてはやされる現象を少し想起させる動きだ。着目されたはいいが、しっかりと定着せず、そしてまた次の新しいブームが来たら忘れてしまう。これでは本来その実践がもたらす教育効果、そして国際教育の実践としての有利性の恩恵はなにも見えずに、COILはすたれてしまうだろう。波及が始まったところでこんなことを言ってはいけないが、私自身は危機感を抱きつつ国内の展開を見ている。
そんな中でご依頼いただいた今回のセッションでは、何がCOILで、何がCOILとしての主体的な趣旨からは逸脱しているのか、という点を前半で中心的に共有した。様々なオンラインツールを用いた活動が授業に取り込まれてきているが、その活動をいかにカリキュラム化し、そしてintercultural learning(COILの[IL])を生み出すか。そして、collaboration task (COILの[C])によって養成したい多層のスキル・コンピテンシーは何か。COILと聞くと、ITのセミナーなのかと思う方も多いが、技術の話ではなく、ペダゴジーなのだという点をご理解いただく機会として、セミナーを設計したつもりである。
COILは、今世界中多くの地域で展開するVE(Virtual Exchange)の一つの形である。これが「すべて」ではないし、これが一番だというつもりも毛頭ない。VEのポテンシャルははかりしれないと、私は感じており、今後近未来に我々が育成する若者が直面するだろうSociety5.0の世界では「当たり前」の学び方になることは間違いないだろう。すでに今でさえ、国際教育のフィールドは、こういったICT/ITの進展をうまく使いこなせていないところがある。ICTを活用し、どうしたらより国際教育が目指すところへと進歩できるのか。こういったことも、セミナー参加者とともに考えたいと思い、後半で取り扱った。
冒頭で述べた通り、参加者のニーズは様々なので、何が響いたか、それも十人十色だろうと思う。少しでも「COIL」を始めようと思ったら考えるべきこと、といった側面で有益なことが提示できていたら、私としては大変うれしく思う。
RECSIE2019でのIIGEのプレゼンテーションについて読みたい方はコチラ→http://www.kansai-u.ac.jp/Kokusai/IIGE/news/detail.php?seq=36
このイベントについての情報はコチラ→ http://recsie.or.jp/news/