History
COILの背景
1990年代にICTを利用した遠隔教育が新しい教育手法として発展しました。2004年にニューヨーク州立大学(SUNY)はSUNY校の間で授業を実施する目的で本プロジェクトを開始しました。このプロジェクトをもとに海外の大学と協力し、グローバル・ネットワーク・ラーニングが始まりました。外国語学習目的での導入が当初の主な目的でした。
SUNYは2006年に海外協定大学増設を目的とし設立したCollaborative Online International Learning(COIL)を創設しました。それ以後、様々な国の高等教育機関実施されるにつれ、幅広い分野に拡大されてきました。
関西大学とCOIL
2014年の春学期に本学はニューヨーク州立大学オスエゴ校(アメリカ)、ニューヨーク州立大学アルスター校(アメリカ)、グラスゴー・カレドニアン大学(スコットランド)の3大学と初めてCOIL授業を実施しました。以降、本学は台湾、韓国、マレーシア、メキシコ、中国、ブラジル、タンザニア、インドネシアなどの海外の大学とのKU-COILネットワークを広げてきました。2015年に教員や事務員からなる本学のCOILプログラム開発やパートナシップを促進する目的としたKU-COILサポートチームを設立しました。
過去・現在のCOILパートナーはパートナーページにてご確認いただけます。
COILの対象者について
COILは言語や異文化交流といった目的で広がりを見せています。現在、COILを取り入れた授業は社会学、政治学、ビジネス、法学、医学、物理学、化学、工学など幅広い分野に広がっています。分野を問わず学生のスキル、能力の向上や実践の場を提供する方法としてCOILの授業実践を取り入れることができます。
導入を悩まれている方は、次の質問について考えてみて下さい。
- 担当授業をより国際的な要素を含むものとしたいと望んでいますか?また、学生に将来、留学の経験をしてもらいたいですか?
- 学生に自文化や他文化への意識を深めてほしいですか?
- 学生に言語能力、コミュニケーションスキルを身に付けてほしいですか?
- 学生にリーダシップ能力、プロジェクトの企画、運営能力を身に付けてほしいですか?
- 学生に社会人として欠かせないメディア・リテラシー能力を身に付けてほしいですか?
- 最新の教授法やツールを活用して、教師自らの指導能力を向上させたいですか?
上記の質問に対して、1つでも「はい」と答えた場合、COILを授業に取り入れることで一歩現実に近づくことでしょう。
KU-COILのタイプ
毎週の授業にCOILを導入する必要はありません。KU-COILでは、COIL導入方法を授業の状況や要望に応じて多様なパターンから選べます。下記の導入形式から導入を検討してみて下さい。
1) Pre KU-COIL "One Time Virtual Exchange"
同期型コミュニケーションを授業に1回だけ導入する形式です。(授業外時間を用い、学生自身のみで交流することもあります。)この形式はCOILをどのように運営するのかを試し、経験する上でとても有効です。簡単なICTツールを用いて教員と学生がCOILを企画・立案・実行の流れを経験することができます。
2) KU-COIL Enhanced
このタイプはCOILの基本的なパターンです。COIL授業として海外大学と連携する期間を4-6週間程度とし、より協働学習を促進する導入する形式です。
3) KU-COIL Extended
COIL形式を全て(全15回)の授業に導入し実施する形式です。海外パートナーの教員と学生がセメスターを通して交流を行います。この形式は前例のない新しい形の授業として構築し、学生に提示するものです。また、留学モビリティプログラムの補助的な位置付けとして取り入れることも有効です。
Getting Started
ここでは、COIL授業に興味を持ちはじめたという方からCOIL授業の質を向上させたいという経験者の方まで、授業計画方法を紹介しています。適切なパートナーを見つけることからCOIL授業の目標や内容の開発、COIL授業に適したICTツールの利用にいたるまで、個々の問題に対し、どのようにアプローチすればよいかなどの役立つガイドやチュートリアルを掲載しています。
Finding Partners
パートナーを見つけることは、難しいと思われる方もいますが、実は簡単です。パートナーを見つけるには3つの方法があります。
はじめは、あなたが今まで共同研究や一緒に仕事をしたことのある人のネットワークを活用しましょう。
この場合はまず、あなたとCOIL授業を行う相手側とCOIL授業の目標を決めてからKU-COILチームに連絡して下さい。KU-COILチームはCOIL授業の詳細な計画を立てるサポートをします。
その他にはCOILネットワークを活用する方法があります。ニューヨーク州立大学のCOILプログラムが提供している教員リストをウェブサイト上で確認することができます。掲載されている先生方は、様々な分野のCOILの授業のパートナーを探しています。このリストの中からCOIL授業にふさわしいパートナーを探すことができます。
また、KU-COILチームに直接連絡する方法もあります。まず、KU-COILチームにCOIL授業の目標やパートナーの要望をお伝え下さい。KU−COILチームが要望に合ったパートナーを探します。
要望の内容によってはパートナーを探すのに時間がかかることがあります。そのため、早めに要望をKU-COILチームに伝えていただくことをおすすめします。
Developing Courses
興味がある方は以下記載の参考資料をご覧ください。
How Can COIL Be Used? (I-Paper, April 2019, pgs. 2-3)
How Do I Get Started COILing? (I-Paper, April 2019, pgs. 6-7)
※大学でCOILを始めるにあたり、さらに詳しい情報が必要な方は2019年4月発行のI-Paper”IIGE白書”をご覧ください。
“COIL Plus” Initiative (I-Paper, October 2019, pgs. 3-5)
VE/COIL Plus Learning Effects (I-Paper, October 2019, pg. 13)
※オンライン協働学習の多様性や大学等がオンライン協働学習と留学を組み合わせたプログラムを構築する方法について詳しく知りたい方は、2019年10月に発行した I-Paper “Learning More About Virtual Exchange”をご覧ください。
インフォメーション
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2023.10.11COILについてKU-COIL
COIL Plus Program to Thailand was held
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2023.08.20COILについてKU-COIL
国立中央大学(台湾)とのCOIL
ICT Tools
COIL授業で利用するツールは、COIL授業の目標によって異なります。COIL授業目標の例として、学生のコミュニケーション能力やデジタルスキルを高める、協働プロジェクトを行うなどがあります。どの課題においてもツールの選択肢はとても幅広く存在しますが、あなたのニーズとスキルに適したソフトウェア見つけることができるはずです。使用目的別に人気のツールを紹介します。
ツール名 | 機能 | 使用用途 | サービス内容 |
---|---|---|---|
Google Classroom | 学習管理システム(LMS) | オンライン上のコラボレーションスペース | 教師間での教材の共有、課題の割り当てや情報発信、掲示板での質疑応答やディスカッションを行うことができる。 学生間でも教材の共有や課題の提出、情報発信、掲示板でのコメントやレスポンスをすることができる。 |
Edmodo | 学習管理システム(LMS) | オンライン上のコラボレーションスペース | 教師間での教材の共有、課題の割り当てや情報発信、掲示板での質疑応答やディスカッションを行うことができる。 学生間でも教材の共有や課題の提出、情報発信、掲示板でのコメントやレスポンスをすることができる。 |
ImmerseU | 学習管理システム(LMS) | オンライン上のコラボレーションスペース | 教師間でのCOILのパートナー探し、コラボレーションの企画や教材共有、課題の割り当てや情報発信、掲示板での質疑応答やディスカッションを行うことができる。 学生間でも教材の共有や課題の提出、情報発信、掲示板でのコメントやレスポンスをすることができる。 |
SNS | オンライン上の学生間交流スペース | 学生は画像や動画を投稿したり共有することができ、コメント欄でディスカッションを行うことができる。 | |
Adobe Connect | ウェブ会議ツール | 同時コミュニケーション | 生配信でのやり取りや学生間のディスカッションやプレゼン発表等を行うことができる。 |
Skype | ウェブ会議ツール | 同時コミュニケーション | 生配信でのやり取りや学生間のディスカッションやプレゼン発表等を行うことができる。 |
Zoom | ウェブ会議ツール | 同時コミュニケーション | 生配信でのやり取りや学生間のディスカッションやプレゼン発表等を行うことができる。 |
Line | 文章でのやり取りや一対一ビデオチャット | 同時/非同時コミュニケーション | 学生間での画像や動画の共有や、チームメイトや他のメンバーとのプロジェクトの計画や進行状況の報告をすることができる。 |
文章でのやり取りや一対一のビデオチャット | 同時/非同時コミュニケーション | 学生間での画像や動画の共有や、チームメイトや他のメンバーとのプロジェクトの計画や進行状況の報告をすることができる。 | |
Knovio | オンラインプレゼンテーションツール | 学生のプレゼンテーション発表 | 生配信でのプレゼンテーションができない場合での、ウェブ上でのプレゼンテーションを行うことができる。学生はスライドと共に録画、録音しチームメイトや他のメンバーと共有することができる。 |
Planning
協働プロジェクトの最初の段階においてアイディアの共有やブレインストーミングを効果的に行えるツールには「Padlet」「WebWhiteboard」「MindMeister」があります。
より高いレベルのツールとしては、「Trello」や「Slack」があります。これらのツールを利用することによって、計画を立てたり、締め切りの管理から課題や活動の分担などのプロジェクトマネジメント・スキルを身に付けることが期待できます。
Document Sharing
作業でのファイル共有において、人気のあるツールは「Google Drive」と「Dropbox」があります。この2つのツールは1つのファイルでの共同作業を可能にします。
Social Communication
SNSを利用することで授業内外での学生のコミュニケーションを簡単にモニタリングすることができます。「Facebook」や「Weibo」(中国版Facebook)はグループを作成し、メンバーが互いに情報交換やコミュニケーションをとることができます。また、ファイル共有もできます。
Direct Communication(Text)
テキストメッセージ機能は授業外で学生の都合のよい時間に海外のパートナーとコミュニケーションをとることができます。例えば学生に身近な「Facebook Messenger」や「WhatsApp」「Line」などがあります。その他には、「Snapchat」(写真共有アプリ)「Twitter」(つぶやき共有アプリ)などをプロジェクトの内容によって利用することもできます。このテキストを用いたコミュニケーションは同じ時間帯にコミュニケーションをとることが難しいパートナーと協働作業するには便利です。
Direct Communication(Video)
海外パートナーとのスケジュールの都合がつく場合、「Skype」や「Zoom」「FaceTime」などのビデオ会議ツールが個々人、グループのライブコミュニケーションに利用できます。協働プロジェクトの成功には必ずしも対面型コミュニケーションが必要というわけではないですが、この対面型コミュニケーションはグループワークにおいて非常に重要です。
Video Recording and Distribution
動画作成ツールは、COIL授業におけるファイナルプロジェクトの作成、記録、保存、共有するための重要なツールです。
動画作成ツールの例として、「Flashback Express」や「EZvid」のようなツールは学生がプロジェクトの動画を簡単に作成できたり、アップロードできたりします。
Others
これらのツールの他にも要望に応じ、COIL授業に役立つツールがあります。例えば「SurveyMonkey」(Web調査ツール)、「Knovio」や「Prezi」(オンラインプレゼンテーションツール)、「Wikispaces」(ブログ)などがあります。COIL授業の目標に応じて上記以外の有用なツールの紹介をすることも可能ですので、お問い合わせください。
Course Examples
関西大学とさまざまなパートナーと行われているCOIL授業の実践事例を紹介させていただきます。実践事例の授業構成と活動は、COIL授業において何をする必要があるのかを明確にし、教員が自ら実践する際の基準モデルとして活用することができます。また、実践事例は今後、COIL授業を実施する際に役に立つと考えています。
もちろん、COIL授業を実施する教員と学生の要望に合わせる必要があります。そのため、次の事例はあくまで参考であり、担当授業に適した授業展開を行って下さい。
"Cross-cultural Communication" with University of Al Azhar Indonesia
"Critical Thinking for Social and Global Issues" with University Malaysia Pahang