キャリア(大学院)

キャリアデザイン

ガバナンス研究科では、社会科学分野において総合的・学際的な教育研究を行い、高い倫理性を持ち、国際社会でも通用する課題を発見する能力、政策を立案する能力、政策を評価する能力を有した上で、自らが創り出した政策を実行に移していくことができる高度専門職業人及び研究者を養成することを目的としています。

修了後の進路

本研究科博士課程前期課程修了後の進路としては、 国家公務員および地方公務員、 国際公務員、 NPO・NGOの職員、 議員秘書、 コンサルタント、 シンクタンク職員、 ジャーナリスト、 民間企業 (とりわけ社会貢献部門など)、 起業による経営者、 そして国会議員および地方議会議員などが考えられます。 また、 中学校教諭専修免許状 「社会」、 高等学校専修免許状 「公民」 を取得して、 社会における問題の解決に教育の面でも貢献することができます。

社会人学生の場合には、 上のような能力を養うことで、 従来の職場でのさらなる活躍が可能となるでしょう。 また、 課程を修了した人が政策分野に関する研究をさらに継続することにより、 高度な研究および教育に従事する研究者となることも期待されます。

博士課程後期課程修了者については、大学をはじめとする各種の教育機関で活動する研究者、および国際交流の場などで活躍できる高度専門職業人の育成をめざします。とりわけ、留学生については、海外の大学や研究所に積極的に送り出すことをめざしています。

修了生の声

写真:山本 憲宥 さん

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2020年4月入学

山本 憲宥さん

(入試種別:社会人入学試験)
勤務先:奈良市議会議員

研究テーマと概要

『現代日本の地方政治における二元代表制 -地方議会の現状と課題-』
日本の地方議会では二元代表制が採用されています。二元代表制においては首長が優位であり、先行研究においても首長優位の必要性が認められている中で、議会と首長がどのような影響力関係を形成しているのかについて、事例分析と類型化により議会と首長の影響力関係を分析しました。導き出した結論から議会としての立法機能の強化策を考え、議会の議員がどのようにすれば民意を反映させられるのかを考察し、実践策を提言しました。

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現在の仕事において大学院での研究や学修が活かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください。

まず学修においては、大学院の授業では、課題や文献をもとにレジュメを作成し先生方や他の院生を前にプレゼンする機会が多くあり、学部生時代よりも高いレベルでの資料作りとプレゼン能力が求められ、論理的思考力と高度な表現能力が身につきます。これらの学修で得た経験は私の講演活動に活かされています。また研究においては、私の場合は政治家に求められる政策提言能力の強化を目的に、現職の地方議会議員として社会人入学し修士(政策学)の学位を取得しましたが、地方政治の現状と課題をテーマとした論文を執筆したことで、公共政策を遂行するための専門家や自治体行政とのやりとりや、議会での質疑がこれまで以上に充実し、よりよい成果につながっていると感じております。

【出願に先立って志望の指導教員へ連絡をした方】どのような相談をしたか、相談してよかった点

志望する指導教員は入学願書への記載必要項目であったため、政策創造学部の事務所に電話連絡し、当時のガバナンス研究科長の小西教授との面談をお願いしました。面談時に実際の科目履修や研究内容等を相談し、教授との話の中で社会人受け入れに関して修学機会が広がる取り組みと、研究課題に対する指導体制が明確になり、社会人と学生生活の両立、研究により得られる成果が確認できたことで受験を決めました。出来れば進学説明会に参加し、目指す学部にて相談することお勧めします。

【社会人学生】お仕事との両立の工夫等について

授業については指導教員の小西教授が、社会人であることを考慮して授業の大半を6限7限で履修出来る履修計画案を提案してくれました。関西大学は6限が18時開始なので、社会人であっても仕事への影響をなるべく抑えて授業を受けることが可能です。また現在はコロナ禍によりオンライン授業への対応等も確立されたことから、働きながらであっても学びやすい環境が整えられています。論文執筆については、休日や仕事を終えてから就寝までの時間を活用していましたが、実際は資料やデータの収集、分析には多大な時間を要する為、大学院在学中は常時パソコンを持ち歩き空き時間が少しでもあれば、論文を執筆していました。

大学院進学の理由および本学を選んだ理由

関西大学大学院のガバナンス研究科は、政治学、行政学、経済学、経営学、法学などを柱とし、実践的な政策課題に取り組む為、幅広い学問における多様な専門分野の教員が配置された指導体制の下、各分野間で連携を図った教育・研究が行われています。近年、社会人の学び直し(リスキリング)が注目される中で、地方議会議員としての能力向上を目指していた私にとって、幅広い分野が連携を図り多面的に学修できる環境は大きな魅力であり、進学を決めた要因になりました。

大学院進学のための受験対策や事前準備

筆記試験は小論文であったことから、その対策に勉強時間の多くを費やしまた。過去3年間の試験問題は入学試験問題集に掲載されており、大学への資料請求で入手可能です。過去問題を参考に、まずは傾向と対策から試験準備を始めることをお勧めします。出題傾向は過去問題と同様の場合が多いので、想定される出題内容の数字や要点を書き出しました。書き出した数字・要点は試験までに記憶しておき実際の試験では、それらを基にして小論文を完成させました。出題は政治・経済・金融・憲法等広範囲ではありますが、選択回答方針であるので、自分の得意分野を選択すれば力を発揮できます。

写真:友澤 祐太 さん

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2017年4月入学(早期卒業・政策創造学部卒)

友澤 祐太さん

(入試種別:学内進学試験)
勤務先:第一法規株式会社

研究テーマと概要

『日韓関係と議員外交 -日韓議員連盟の分析-』
日韓関係が摩擦に陥った際、日韓議員連盟が関係改善のために、どのような影響力を及ぼしたのかを(もしくは影響を及ぼせなかったのか)を分析しました。自民党内の政策決定過程の変化が、日韓議員連盟の国内調整力に影響を及ぼしていたことを仮説とし、「第一次・第二次歴史教科書問題」「日韓経済協力交渉」を事例として分析しました。その結果、選挙制度改革により自民党の政策決定過程が族議員から官邸手動に移行したことに伴い、議員の影響力が弱まった結果、日韓議員連盟の影響力も衰退したことを指摘しました。

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現在の仕事において大学院での研究や学修が活かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください

大学院の研究と社会人のビジネスでの共通点は「仮説を立て、PDCAを回すこと」にあります。大学院では「仮説を立案し、それを定性・定量分析し実証すること」が研究で求められ、社会人では「セールスやマーケティングを行う上で、仮説をたて実行、改善」することが求められます。大学院から仮説を立てる習慣化しておくことで、企業のセールスやマーケティング活動に貢献できる可能性は大いにあります。例えば、WEBセミナーの企画、運営、登壇することがありますが、その中で「顧客のニーズ」「顧客が期待していることは何だろうか」等、事前に仮説を組み立てて、登壇しています。これからも、大学院で学んだ仮説力をより磨き、深化させ、社会に貢献してまいります。

【出願に先立って志望の指導教員へ連絡をした方】どのような相談をしたか、相談してよかった点

学部3年次生から大学院進学を意識しており、早期から大学院の相談を学部ゼミの指導教員である小西秀樹先生にしていました。小西先生は大学院受験のことだけでなく、院生になったときのことを見据え、合格後の研究生活などに関してもさまざまなアドバイスをしてくださいました。私自身も、先生のアドバイスを受け、4年生時に大学院授業科目の先取り履修制度を利用し、入学前から大学院の講義への理解を深めました。

【TA・RA制度の利用者】制度の利用にかかる経験談、よかった点

ティーチング・アシスタント(TA)制度を用いて、政策創造学部の講義アシスタントをしておりました。1年次生の学生が受講する講義でしたが、大学院生目線で聞くと、学部のときに聞いた同じ講義とは異なる好奇心、知見、視座を得ることができ、研究のヒントとなった講義もあります。収入も得ることができ、かつ講義内容も聞けるため一石二鳥のように思えました。

【奨学支援制度の利用者】制度の利用にかかる経験談、よかった点

奨学金制度を利用することで、研究費や生活費の工面に役立てました。関西大学大学院の給付型奨学金は返済不要の制度のため、将来の返済を気兼ねすることなく研究に勤しむことが可能な有意義な制度であると考えています。もし、関西大学の学部から本大学院に進学する予定がある学生の方がいましたら、関西大学大学院入学前予約採用型給付奨学金制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

大学院進学の理由および本学を選んだ理由

母が私の子育てをしながら大学院で研究していたこともあり、幼少期から自然と大学院への進学を意識しており、大学院は私にとって憧れの場所でもありました。そのなかでガバナンス研究科を選択した理由は、小西先生がガバナンス研究科の指導教員であると同時に、私のテーマが日韓関係であったことがあげられます。アジアを専門とする先生が多数在籍しており、アジアという同じバックグラウンドを持つ日本、韓国を他アジア諸国と比較、分析することで、日韓関係を複眼的な視点で研究できると考えたからです。

普段、どのような研究活動(手法)を行われているか、またその「おもしろさ」「難しさ」について

私の研究の特徴として、文献調査に加えて「エリートインタビュー」を行ったことがあげられます。日韓議員連盟という非公式アクターを研究しているため、資料の収集などが思うようにいかない時もありました。文献のみに依拠するわけにはいかず、日韓議員連盟の元役員/元閣僚であった国会議員へのエリートインタビューを行い、その場でしか聞くことができない証言などを得ることができました。
また、常に仮説を転がしながら、さらに仮説をどのように論証すべきか常に意識し続けていました。

写真:奥泉 慶典 さん

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2015年4月入学(早期卒業・政策創造学部卒)

奥泉 慶典さん

(入試種別:学内進学試験)
勤務先:ホクレン農業協同組合連合会

研究テーマと概要

『現代日本の酪農政策―保護的政策から競争的政策への変容―』
戦後から現在まで展開された日本の酪農政策について論述したものです。酪農政策の展開を3つの時期に区分し、各時期における政策の特徴、アクターの動向、アクター間関係を分析しています。

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現在の仕事において大学院での研究や学修が生かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください。

大学院での研究を通じて、様々な角度から情報を収集し、活用する力が身についたと思います。現在、私は農畜産物の輸送手配業務を担当しております。北海道で生産される多種多様な農畜産物を全国各地へ安定的に輸送するには、日々の細やかな情報収集が欠かせません。産地での出荷計画や消費地での販売状況、船舶や貨物列車の運行状況など多くの情報をいち早く収集し、農畜産物の円滑な流通が図れるよう日々努力しております。

指導教員名とその教員を選んだ理由や教員とのエピソード等

指導教員名:小西 秀樹先生
学部生の専門演習(ゼミ)から引き続き指導していただきました。現代日本政治を専門とされており、自分の研究したいテーマについて理解していただき、より専門的な指導をいただけると思ったからです。

現在の就職先・職業を選んだ理由

出身地である北海道に貢献できる仕事に就きたいと思っていたこと、研究テーマが農業政策であることが現在の就職先を選んだ理由です。北海道の基幹産業の一つである農業といった面から社会に貢献できることが魅力的だと感じ、就職することに決めました。

関西大学大学院ガバナンス研究科に進学を考えている方へのメッセージ

関西大学大学院は、疑問に思っている課題についてしっかりと研究する環境が整っています。ガバナンス研究科では、自分とは全く分野の異なる研究をしている大学院生も多く、さまざまな学問分野に触れつつ自分の研究を深められる研究科であると思います。他分野の視点を取り入れつつ、専門的に研究を深めていきたい方にはとてもよい環境が揃っていると思います。

出願に先立って志望の指導教員へどのような相談をしたか、相談してよかった点

学部3年次より大学院への進学を検討しておりました。専門演習で指導いただいていた小西先生へ大学院での学修や研究に関する内容や進学にあたり準備すべきことなどのアドバイスをいただきました。
また、先生より大学院授業の先取り履修制度を紹介していただき、進学前からより高度な学びに触れることができました。

写真:覃 慧敏 さん

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2019年4月入学

覃 慧敏さん

(入試種別:外国人留学生入学試験)
勤務先:キンドリルジャパン(元IBM GTS部門)

研究テーマと概要

『診療所の患者満足度に関する研究―ガバナンスの視点から―』
高齢社会にあって地域医療を支える診療所の役割は高まっている一方で、経営難や後継者難から廃業に至るケースも多い。診療所の経営力向上にはリピーターを確保することが不可避であり、そのために患者満足度を高めなければならない。そこで、患者満足度を高める要因を「医療従事者のウデ」「経営者・院長の患者志向」「経営者・院長の診療所の場所やデザイン(経営センス)」に分類して、独自のアンケート調査に基づく重回帰分析を実施してその優先順位を解明した。その分析結果をもとに、診療所経営のガバナンスに対する政策を提言した。

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現在の仕事において大学院での研究や学修が活かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください。

受動的な学びを中心とする学部時代と異なり、大学院は主体的な学びが多く、自ら知識を獲得し、問題を解決することの重要性を感じました。
大学院で身につけた問題解決に対する主体性、分析力や専門領域以外への対応力は今の仕事においても活かされている。

大学院進学の理由および本学を選んだ理由

中国の大学を卒業し、より知見を深めるために、日本へ留学し大学院に進学することを考えました。来日後に、関西大学に在学している友人から誘われて学園祭に参加し、大学の明るい雰囲気や活気、充実した設備を実際に感じたことにより関西大学を志望しました。

関西大学大学院ガバナンス研究科の魅力

ひとつには、本研究科では、政策学を基盤とした教育・研究を行っており、政治学、経済学、経営学、法律学、社会福祉学などの幅広い専門領域の知識を習得できることです。社会的な問題の解決において、より広い視点から様々な専門領域の知識を統合して活用する必要があると考えました。
ふたつ目は、本研究科では、他の研究科より社会人の院生が多く在籍していることです。社会人院生とのコミュニケーションによって、理論的な知識ではなく、現場や経験談、実務経験に基づく実践的な知識を学べると思いました。
私にとっては、本研究科に入学して本当に良かったです。色々な人々とディスカッションしていく中で新しいアイデアや思考方法を吸収でき、多面的な考え方を持つようになりました。

どのような研究活動(手法)を行っていたか、またその「おもしろさ」「難しさ」について

私は主に文献調査や現地調査を行い、経営学とガバナンスの視点から診療所の患者満足度について研究しました。診療所の患者満足度や経営に関する先行研究が少なく、またコロナの影響で現地調査ができずに、資料やデータの収集に苦労しました。患者を対象としたアンケート調査項目の作成にも頭を悩まし、またその実施および回収方法にも様々な工夫をしました。ただ、修士論文で問題の背景を上手く整理することができ、全体の論理構成がすっきりまとまったときにはすごく嬉しかったです。重回帰分析と一元配置分散分析を使った実証分析によって予期した成果が出た時には、研究の醍醐味を実感しました。いくつも課題は残りましたが、工夫した仮説を検証することができ、この研究領域に新たな知見を加えることが叶いました。
困難に直面した時に先生から優しく手伝ってもらい一緒に乗り越えてきました。フレンドリーな先生が多く、修士論文の作成過程で様々なアドバイスを頂戴したことも有難く感じています。

現在の就職先・職業を選んだ理由

私は、課題解決に興味があり、常に新しいことにチャレンジしたいので、新しい知識やスキルを勉強し続けることができる環境のグローバルなIT企業を選びました。

大学院での学びや経験が現在の仕事でどのように役立っているかを教えてください。

大学院で自ら講義内容を学習し、課題を洗出しまとめて発表することは現在の仕事にすごく役立っています。コロナの環境の中で自主研修を中心に、課題に対して自ら工夫して発表を行うことが多いので、自主的に知識を獲得し、課題を解決する能力がすごく求められています。そのために大学院時代で習得した能力を活用することで、良いアウトプットを得ることができています。

資格取得・就職・キャリア