キャリア(大学院)
キャリアデザイン
ガバナンス研究科では、社会科学分野において総合的・学際的な教育研究を行い、高い倫理性を持ち、国際社会でも通用する課題を発見する能力、政策を立案する能力、政策を評価する能力を有した上で、自らが創り出した政策を実行に移していくことができる高度専門職業人及び研究者を養成することを目的としています。


修了後の進路
本研究科博士課程前期課程修了後の進路としては、 国家公務員および地方公務員、 国際公務員、 NPO・NGOの職員、 議員秘書、 コンサルタント、 シンクタンク職員、 ジャーナリスト、 民間企業 (とりわけ社会貢献部門など)、 起業による経営者、 そして国会議員および地方議会議員などが考えられます。 また、 中学校教諭専修免許状 「社会」、 高等学校専修免許状 「公民」 を取得して、 社会における問題の解決に教育の面でも貢献することができます。
社会人学生の場合には、 上のような能力を養うことで、 従来の職場でのさらなる活躍が可能となるでしょう。 また、 課程を修了した人が政策分野に関する研究をさらに継続することにより、 高度な研究および教育に従事する研究者となることも期待されます。
博士課程後期課程修了者については、大学をはじめとする各種の教育機関で活動する研究者、および国際交流の場などで活躍できる高度専門職業人の育成をめざします。とりわけ、留学生については、海外の大学や研究所に積極的に送り出すことをめざしています。
修了生の声

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2020年4月入学
石原 清美さん
(入試種別:社会人入学試験)
勤務先:社会保険労務士事務所 オフィスきよみ
※2024年度取材
仕事との両立の工夫等について
大学院の入試説明ガイダンスに社会人として参加し、「トラック運送業の実情と法律のギャップ」が、大学院の研究になるのかどうかと質問したところ、是非にどうぞ来てくださいと言われ、入学を決心しました。
トラック運送業の特化社会保険労務士として業務を行っていますので、優先順位を決めて自身で年間スケジュールを立て無駄なく時間を使うようにしました。また、社労士受験当時は、1分1秒を大切に使った経験がありましたので、電車での移動時間などを有効に利用しました。なにごとも全力投球する質なので、時間を忘れて研究に没頭することもありましたが、気をつけながら効果的な学習を行えるように努力しました。仕事の柔軟なスケジュールを活用することで、両立させやすくなったと思います。
大学院進学の理由および本学を選んだ理由
企業に勤務しながら社会保険労務士の資格を取得しました。そのときに関西大学大学院より社会保険労務士の受け入れ制度があることを知りました。とても入学は難しいと思っていましたが、行ってみないと始まらないとの思いで挑戦しました。社労士推薦でも不合格になることもあると聞いたことで意欲がわき、それがきっかけで、諦めたら始まらないと社会人として受験いたしました。基本的な受験面接以外に個別審査の対象となり追加対応が必要だったので、レポートやそれまでに執筆していた書物のすべてを提出いたしました。
2020年4月に入学しましたがコロナ禍となり、外出を控えることとなったので少しでも早くに研究内容を実践できればと、3年コースを2年コースに変更しました。Zoomやオンデマンドでの受講が増えましたが、折角の学生生活ですので、あえて教授に頼んでマスクをしながら留学生と一緒に対面受講しました。関西大学大学院で研究ができ、やりがいのある有意義な時間を過ごすことができました。
指導教員名とその教員を選んだ理由や教員とのエピソード等
指導教員:宮下 真一先生
トラック運送業の研究を希望していましたので、サプライチェーン研究を行われている宮下真一教授に指導教員としてお願いいたしました。大学院での内容がわからなかったので、最初は細かなところまで指導頂きまして大変助かりました。毎回、指導教員の演習に1対1で対応して頂き、論文については初歩的な部分から丁寧な指導と、ある程度進むと自由に書くこととなりました。文章は、読み手の読みやすさを重視することの指導を受け、今でも文章を書く度に思い出されます。そのお陰で最終的な修士論文は、5万字を超えるものを提出しました。
その後、すぐに論文に引き続き、一生に一度の願望であった自身だけの書籍を執筆することができました。偶然にも、1年前の卒業生であるガバナンス研究科の修了生(友澤祐太先輩)が就職された第一法規株式会社より書籍出版の依頼がありました。内容は運送業に関する時間管理の必要性についての書籍で、「中小企業のためのトラック運送業の時間外労働削減の実務」を出版して頂くことができました。現在も、書店に並んでいます。勿論、関西大学千里山キャンパス図書館にも配架しています。
修了式には製本した修士論文を、また、執筆出版後には書籍を宮下真一教授に手渡すことができ、とても喜んで頂けました。ありがとうございました。
ガバナンス研究科の魅力
ガバナンス研究科では、自由にさまざまな研究ができました。
入学後、大学院では、関西大学大学院院生合同学術研究大会があり、「自動車運転者の労働時間と現場での実情について」の発表を致しました。機会があれば参加することに意義があると考えており、通学している間の行事に参加できたことは、とても良い経験をさせて頂きました。学べることが、こんなにも有難いという実感するひと時でした。その時の登壇経験やガバナンス研究科で新しい知識を得たことは、今に繋がっています。最近では、トラック運送業の時間や賃金に関して全国で講演する機会が増え、質問を頂くことにより、資料作成の度に内容がバージョンアップしています。
そして、一番嬉しかったことは、内閣総理大臣 賃金・雇用担当 矢田補佐官が社労士会にみえられ、運送業の実態をお知りになりたいとのことでしたので、「運送業は、皆さまが生活する上で必要不可欠な業界ですので、安心して働くことができ、将来の希望を感じられる業界にしていく必要があります。」とお伝えすることができました。
社会保険労務士会より、関西大学大学院への道など、このような機会を与えて頂き、頑張らなければと強く思っています。
この業界が良くなるような方法を模索し、社労士として労働問題が起こらないような対応策を考えています。また、その管理者研修などでは、「伝えたい事が伝わったかどうかがわかるのは、相手の行動が変わった時です」と伝え続けています。
一つ一つの経験が今を作っています。人生無駄な事はないと思って、どのような事も挑戦しており、大学院生活は人生の1ページであり、貴重な経験となりました。
大学院修了後には、社会保険労務士関大会と物流関大会に入会し、関西大学卒業生校友会の先輩方々より、さまざまなご縁を頂いております。

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2017年4月入学(早期卒業・政策創造学部卒)
友澤 祐太さん
(入試種別:学内進学試験)
勤務先:第一法規株式会社
※2024年度取材
出願に先立ち、志望の指導教員へどのような相談をしたか、相談してよかった点
学部3年次生から大学院を意識しており、早期からを学部ゼミの指導教員の小西秀樹先生に相談していました。小西先生は具体的な受験の内容だけでなく、大学院での研究環境を見据え、生活や心構えなどさまざまな視点でご助言いただきました。私自身も、先生のアドバイスを受け、4年生時に大学院授業科目の先取り履修制度を利用し、入学前から大学院の講義への理解を深めました。
もっと見るTA・RA制度の利用にかかる経験談、よかった点
ティーチング・アシスタント(TA)制度を用いて、政策創造学部の講義アシスタントをしていました。1年次生の学生が受講する講義でしたが、大学院生目線で聞くと、学部在学時とは異なる知見や視座を得ることができ、実際の研究のヒントとなった講義もあります。同時に収入も得ることができ、金銭・知見共に研究生活の一助となりました。
現在の仕事において大学院での研究や学修が生かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面
大学院の研究と社会人のビジネスでの共通点は「仮説を立て、PDCAを回すこと」にあります。大学院では「仮説を立案し、それを定性・定量分析し実証すること」が研究で求められ、社会人では「セールスやマーケティングを行う上で、仮説をたて実行、改善」することが求められます。大学院から仮説を立てる習慣化しておくことで、企業のセールスやマーケティング活動に貢献できる可能性は大いにあります。例えば、WEBセミナーの企画、運営、登壇を行うことがありますが、その中で「顧客のニーズ」「顧客が期待していることは何だろうか」等、事前に仮説を組み立てて登壇しています。
なお、こぼれ話にはなりますが、大学院時代に培ったネットワークが生かされる可能性があります。現在、法律関係の出版社で勤務しておりますが、出版記念セミナーを依頼した講師の方(石原清美先生)が、実はガバナンス研究科の後輩であることが偶然わかり、お互いに驚嘆したのを今でも覚えています(笑)
奨学支援制度の利用にかかる経験談、よかった点
奨学金制度を利用することで、研究費や生活費の工面に役立てました。関西大学大学院の給付型奨学金は返済不要の制度のため、将来の返済を気兼ねすることなく研究に勤しむことが可能な有意義な制度であると考えています。もし、関西大学の学部から本大学院に進学する予定がある学生の方がいましたら、関西大学大学院入学前予約採用型給付奨学金制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2020年4月入学
山本 憲宥さん
(入試種別:社会人入学試験)
勤務先:奈良市議会議員
研究テーマと概要
『現代日本の地方政治における二元代表制 -地方議会の現状と課題-』
日本の地方議会では二元代表制が採用されています。二元代表制においては首長が優位であり、先行研究においても首長優位の必要性が認められている中で、議会と首長がどのような影響力関係を形成しているのかについて、事例分析と類型化により議会と首長の影響力関係を分析しました。導き出した結論から議会としての立法機能の強化策を考え、議会の議員がどのようにすれば民意を反映させられるのかを考察し、実践策を提言しました。
現在の仕事において大学院での研究や学修が生かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください。
まず学修においては、大学院の授業では、課題や文献をもとにレジュメを作成し先生方や他の院生を前にプレゼンする機会が多くあり、学部生時代よりも高いレベルでの資料作りとプレゼン能力が求められ、論理的思考力と高度な表現能力が身につきます。これらの学修で得た経験は私の講演活動に活かされています。また研究においては、私の場合は政治家に求められる政策提言能力の強化を目的に、現職の地方議会議員として社会人入学し修士(政策学)の学位を取得しましたが、地方政治の現状と課題をテーマとした論文を執筆したことで、公共政策を遂行するための専門家や自治体行政とのやりとりや、議会での質疑がこれまで以上に充実し、よりよい成果につながっていると感じております。
【出願に先立って志望の指導教員へ連絡をした方】どのような相談をしたか、相談してよかった点
志望する指導教員は入学願書への記載必要項目であったため、政策創造学部の事務所に電話連絡し、当時のガバナンス研究科長の小西教授との面談をお願いしました。面談時に実際の科目履修や研究内容等を相談し、教授との話の中で社会人受け入れに関して修学機会が広がる取り組みと、研究課題に対する指導体制が明確になり、社会人と学生生活の両立、研究により得られる成果が確認できたことで受験を決めました。出来れば進学説明会に参加し、目指す学部にて相談することお勧めします。
【社会人学生】お仕事との両立の工夫等について
授業については指導教員の小西教授が、社会人であることを考慮して授業の大半を6限7限で履修出来る履修計画案を提案してくれました。関西大学は6限が18時開始なので、社会人であっても仕事への影響をなるべく抑えて授業を受けることが可能です。また現在はコロナ禍によりオンライン授業への対応等も確立されたことから、働きながらであっても学びやすい環境が整えられています。論文執筆については、休日や仕事を終えてから就寝までの時間を活用していましたが、実際は資料やデータの収集、分析には多大な時間を要する為、大学院在学中は常時パソコンを持ち歩き空き時間が少しでもあれば、論文を執筆していました。
大学院進学の理由および本学を選んだ理由
関西大学大学院のガバナンス研究科は、政治学、行政学、経済学、経営学、法学などを柱とし、実践的な政策課題に取り組む為、幅広い学問における多様な専門分野の教員が配置された指導体制の下、各分野間で連携を図った教育・研究が行われています。近年、社会人の学び直し(リスキリング)が注目される中で、地方議会議員としての能力向上を目指していた私にとって、幅広い分野が連携を図り多面的に学修できる環境は大きな魅力であり、進学を決めた要因になりました。
大学院進学のための受験対策や事前準備
筆記試験は小論文であったことから、その対策に勉強時間の多くを費やしまた。過去3年間の試験問題は入学試験問題集に掲載されており、大学への資料請求で入手可能です。過去問題を参考に、まずは傾向と対策から試験準備を始めることをお勧めします。出題傾向は過去問題と同様の場合が多いので、想定される出題内容の数字や要点を書き出しました。書き出した数字・要点は試験までに記憶しておき実際の試験では、それらを基にして小論文を完成させました。出題は政治・経済・金融・憲法等広範囲ではありますが、選択回答方針であるので、自分の得意分野を選択すれば力を発揮できます。

ガバナンス研究科 ガバナンス専攻
博士課程前期課程 2015年4月入学(早期卒業・政策創造学部卒)
奥泉 慶典さん
(入試種別:学内進学試験)
勤務先:ホクレン農業協同組合連合会
研究テーマと概要
『現代日本の酪農政策―保護的政策から競争的政策への変容―』
戦後から現在まで展開された日本の酪農政策について論述したものです。酪農政策の展開を3つの時期に区分し、各時期における政策の特徴、アクターの動向、アクター間関係を分析しています。
現在の仕事において大学院での研究や学修が生かされている場面や、学部卒業で就職をしている方との違いを実感する場面をご紹介ください。
大学院での研究を通じて、様々な角度から情報を収集し、活用する力が身についたと思います。現在、私は農畜産物の輸送手配業務を担当しております。北海道で生産される多種多様な農畜産物を全国各地へ安定的に輸送するには、日々の細やかな情報収集が欠かせません。産地での出荷計画や消費地での販売状況、船舶や貨物列車の運行状況など多くの情報をいち早く収集し、農畜産物の円滑な流通が図れるよう日々努力しております。
指導教員名とその教員を選んだ理由や教員とのエピソード等
指導教員名:小西 秀樹先生
学部生の専門演習(ゼミ)から引き続き指導していただきました。現代日本政治を専門とされており、自分の研究したいテーマについて理解していただき、より専門的な指導をいただけると思ったからです。
現在の就職先・職業を選んだ理由
出身地である北海道に貢献できる仕事に就きたいと思っていたこと、研究テーマが農業政策であることが現在の就職先を選んだ理由です。北海道の基幹産業の一つである農業といった面から社会に貢献できることが魅力的だと感じ、就職することに決めました。
関西大学大学院ガバナンス研究科に進学を考えている方へのメッセージ
関西大学大学院は、疑問に思っている課題についてしっかりと研究する環境が整っています。ガバナンス研究科では、自分とは全く分野の異なる研究をしている大学院生も多く、さまざまな学問分野に触れつつ自分の研究を深められる研究科であると思います。他分野の視点を取り入れつつ、専門的に研究を深めていきたい方にはとてもよい環境が揃っていると思います。
出願に先立って志望の指導教員へどのような相談をしたか、相談してよかった点
学部3年次より大学院への進学を検討しておりました。専門演習で指導いただいていた小西先生へ大学院での学修や研究に関する内容や進学にあたり準備すべきことなどのアドバイスをいただきました。
また、先生より大学院授業の先取り履修制度を紹介していただき、進学前からより高度な学びに触れることができました。