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憲法1・2の紹介

 法学部 高作 正博 教授

「けしから~ん!」「大賛成!!!」

押し付け憲法論、安保法制、特定秘密保護法、天皇の生前退位、ヘイトスピーチ、沖縄の辺野古・高江での基地問題などなど、世の中は政治的な問題であふれている。それぞれについて、様々な意見が飛び交っている。自分はこう考える! という意見を持つ方もいるであろう。

しかし、政治的な課題に結論を出す前に、考えるべきことがある。問題がどこにあり、何を考えるべきなのか、また、これまでの議論はどうであったのか等の前提を踏まえた検討を行う必要がある。また、様々な意見に触れて、それぞれの主張の理由や根拠を聞いてみることも大切なことである。その結果、当初の自分の見解を変更することもあるだろう。

「どうせ自分の1票では何も変わらない」

「デモ行進をやっても、何の意味があるんだろう?」

また、18歳選挙権の時代となり、新たに有権者となったことで政治・社会に関心を持つようになった人もいれば、選挙に意義を感じない人もいるかもしれない。さらには、集会やデモ行進なども日常的に開催されているが、それ自体に疑問を抱く人もいるだろう。

しかし、本当に選挙や集会・デモに意味はないのか、改めて考えてみる必要がある。民主主義とは何であり、個人が政治にかかわることにはどのような意義があるのか、選挙権を持つということにはどのようなメリットがあるのか等、調べてみることは有意義である。また、集会・デモ行進が禁止されたら、私たちはどうやって声を上げたらよいのか、私たちの生活がどのように変わってしまうのか等、想像力を働かせてみるとよい。要は、様々な問題を自分の問題として考えてみることが大切ではないか、ということである。

「考える」ための道具を身につける

そもそも、政治的な問題には、いわゆる「正解」というのは見出しにくい。最初から正しい答えを探そうとしても、そのようなものは存在しないと思ったほうがよい。では何を勉強するのだろうか。それは、概念であり、考え方であり、論理的思考であり、批判的思考である。物事を考えるには道具が必要で、その道具が、概念や考え方である。また、それを用いて自分の考え方を構成するには、論理的思考や批判的思考が必要となる。

政治的な問題を考えるために必要な道具を、「憲法」の領域で勉強するのが「憲法1」と「憲法2」である。主権、民主主義、天皇制、人権の概念・歴史、人権の限界等、様々な概念や考え方を身につけることで、実際に課題に直面したときに考えるための基礎体力を養う必要がある。国家論のような大きなテーマ、人権侵害事例のような深刻なテーマ、多くの課題を考えるためのカギが、ここにある!