心理学専攻 psychology ゼミ・卒業研究テーマ

卒業研究テーマの一例

  • 人はどのようなときに援助行動を「偽善」と判断するのか
  • 大学生が自虐的ユーモアに持つ印象について
  • 衝動買いは抑制できるか −他者の存在が制御資源の枯渇に与える影響−
  • 顔認識能力の個人差と人種効果が映像作品の内容理解に及ぼす影響
  • 嘘をつくことに対する認識・罪悪感・嘘の頻度とソーシャルスキルの関係性の検討
  • 身体感覚の敏感さと感情経験の関連
  • SNS情報による量刑判断の変化
  • ⼼理尺度における項⽬内容が回答⾏動に与える影響 −項⽬内容のポジティブ・ネガティブに着⽬して−
  • 先延ばし傾向と職業未決定との関連の検討
  • 対人的要素に着目した怒り反すう傾向に関する探索的検討
  • 音楽ライブ映像における歓声の有無が視聴者の気分に及ぼす影響
  • マインドフルネス瞑想イメージ尺度の作成と信頼性・妥当性の検討
  • テレワークはワークライフバランスを促進するのか −多重役割期待を調整変数とした検討−
  • 匂いによる記憶想起と性格特性の関連
  • 恋愛の蛙化現象と自己肯定感の関連性

心理学専攻 学生研究レポート

※年次は取材当時のものです。

「○○な自分」を複数もつことが心の安定にどう影響するのかを、実験を通して明らかにする。

4年次生 西畑 帆夏

自己の多面性が、心の安定にどう影響するかを研究しています。大学生の自分、趣味に打ち込む自分など多くの側面をもつ人は、ストレスがかかった時も心の安定を保ちやすいのではないかと考え、「自己複雑性」という指標を用いて実験しています。研究計画を立てる際は自分について深く考え、その過程で漠然とした感情が言葉になっていきました。今後は公認心理師の資格取得をめざし、多角的に物事を考える心理学の姿勢を、身近な人を支えるために役立てたいと思います。

教員からのアドバイス

心理学を通して論理的思考力を磨き、自分や人との関わり方を学んでほしい。

ゼミ生はまず自分がやりたいことを探求し、それを心理学的に測定できる研究へと落とし込みます。研究を通して自己理解や他者理解を深めるとともに、論理的思考力や表現力など今後の人生に向けて必要なスキルを身に付けてもらえたらと思います。

藤里 紘子 准教授

運動によってストレスを軽減できるのか、実験を通して効果を調べる。

4年次生 砂川 豪樹

ストレスへの対処法である「ストレスコーピング」に興味を持ち、運動によって不快感情が軽減され快感情が増加するのかを研究しています。51人の大学生に15分ウォーキングをしてもらい、実施前後の感情の変化を分析。運動経験の有無で結果に差が出るのではと推測し、経験レベルを3つに分けて実験しました。その結果、ウォーキングの効果は確認できましたが、経験レベルによる違いは見られませんでした。実験環境を統一できなかったことがその一因と考えています。

Interview 心理学専攻を選んだ理由は?

人間の行動に直接関わる「こころ」の仕組みを理解したい。

幼いころから打ち込んできた野球での悩みに対し、チームメイトが支えてくれたことでパフォーマンスが向上した経験から、「こころ」が人の行動に深く関わっていることを実感。こころの仕組みを理解することで自分自身と向き合えるようになりたいと思い、心理学専攻を選びました。

Interview どんな毎日を過ごしている?

【2年次】心理学の学びを深めていくにあたっての基礎的な知識や技術を習得。

1日のスケジュール
9:00 「心理学統計法」を受講
心理学における分析を行う上で必須となる統計の知識を学ぶ授業です。実際に研究を進めていくにあたり授業での学びを役立てています。
10:40 「健康・スポーツ科学実習」を受講
スポーツを実践しながら、親しみ方や楽しみ方を学ぶ授業です。これまでやったことがなかったバドミントンを選択しました。
14:40 「心理学概論」を受講
これまで心理学に関するどのような研究が進められてきたかや、どのような手法が用いられてきたかなどを学ぶことができました。
18:30 塾のアルバイト
高校生の時に通っていた塾で講師のアルバイトをしています。成績が伸びないと落ち込む生徒もいるので、心理学の学びを生かし一人ひとりに寄り添う指導を心掛けています。

教員からのアドバイス

探究したいテーマに取り組んだ経験が実社会での大きな力になります。

実験の準備や実施は非常に手間のかかることなのですが、砂川さんは見事に卒業研究としてやりきりました。研究したいことを心理学に落とし込んで探究するプロセスを経験できたことは、心理学に限らず社会で物事に取り組むときの大きな力になると思います。

細越 寛樹 准教授

人と人の良好な関係の構築をめざし、複雑なこころの動きを解き明かす。

4年次生 寺東 夏代

以前飲食店で無愛想な接客を受け、その後食べた料理への評価が半減したという経験から、接客経験の有無と強い他者意識が、サービスへの評価と料理の味にどのように影響するかを研究しています。阿部先生のゼミでも「どのような態度や行動が相手を心地よく、もしくは不快にさせるか」を学び、人と人の関係に関わる心理学の面白さを感じました。4年間を通して得た学びが、今後社会で人々と良好な関係を築くための力になると考えています。

Interview 心理学専攻を選んだ理由は?

人のこころの拠りどころとして支えられる存在になりたいと思ったから。

私は家族や周囲の人々に支えられてきましたが、そうした支えがなく、精神的に不調となる人がいることを知り、あらためて支えとなる存在の大切さを感じました。自分のこころを知るとともに、どうすれば人の拠りどころとなれるのかを学びたいと思い、心理学専攻を志望しました。

Interview どんな毎日を過ごしている?

1日のスケジュール
10:40 「基礎演習」を受講
公刊されている心理学の論文の内容理解・発表を通して、論文の読み方や書き方の基礎を学びました。
12:10 友人とランチ
キャンパスには憩いの場所がたくさんあり、天気のいい日は友達と芝生でランチを楽しんでいます。
14:30 「初級心理学実験実習」を受講
いくつかのテーマに沿って心理学の実験をグループに分かれて行い、その結果を考察するレポートを仕上げました。
18:00 アルバイト
2年次生までスーパーでレジを担当。3年次生からは接客がお客様の満足感を左右することを意識しながらホテルでベルスタッフをしています。

教員からのアドバイス

日常で感じた疑問を大切にし、心理学の視点から解き明かしていきましょう。

接客時の印象を味覚と結び付ける寺東さんの研究は前例が少なく、独自性が高いテーマです。日常で疑問を感じていることに答えを見いだせるのが心理学なので、学生の皆さんには自分が関心をもったことにぜひ積極的にアプローチしてほしいですね。

阿部 晋吾 教授

ストレスを解消する日記を使った2つの手法の効果を比較。

4年次生 三好 みなみ

臨床心理学を学ぶゼミに所属して、ストレスへの対処法について研究しています。私が注目したのは、ストレスを感じた際に、日記を書くことでストレスを軽減する方法です。具体的には、ストレスを書き出す「筆記表現法」と、ネガティブな出来事から得られる主観的な利益を書き出す「WPBT」という2つの手法を取り上げ、その効果を比較する予定です。先行研究を参照しつつ、20数名の大学生に調査を実施し、日記を書くことで本当にストレスが減るのか、またどんな方法がより良いのかを検証できればと思います。

Interview 心理学専攻を選んだ理由は?

臨床心理士をめざして、心理学を学ぼうと考えた。

友達から悩みを打ち明けられたときに、自信をもってアドバイスができないと感じたことが、臨床心理士という目標をめざすきっかけでした。大学院進学も視野に入れつつ、まずは大学で心理学をしっかり学びたいと考えました。

Interview 心理学専攻のオススメ講義は?

臨床心理を実践的に学ぶことができた。

臨床心理士をめざす学生を対象に開講されている「実践臨床心理学演習」です。心理臨床に関する倫理観を身に付けながら、心理アセスメントや心理療法の援助技法について、論文などを教材にしながら実践的に理解を深めることができました。

Interview 心理学専攻の魅力は?

社会で役立つ心理学を幅広く学べる。

私は臨床心理士の資格取得をめざしていますが、人間関係や恋愛などの身近なテーマを幅広く学べることも心理学専攻の魅力です。心理学は社会のさまざまな分野で役立つ学問だと思うので、人の心に興味があるというすべての方にお勧めします。

教員からのアドバイス

多くの人に役立つ実用性の高い研究になることを期待します。

学部における臨床心理学の研究では、実際の患者さんに調査をすることが難しいのですが、一般の方を対象とした「アナログ研究」として検証することは可能です。大学生にとっても日記を書くことがストレス軽減につながることを示す研究になることを期待しています。

細越 寛樹 准教授