関西大学 科学技術振興会 2021年度 第5回研究会

 関西大学科学技術振興会では、例年、第5回研究会として先端科学技術シンポジウムにて1年間の活動内容をポスター展示しております。昨年に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響により、先端科学技術シンポジウムがオンライン開催となりました。本会第5回研究会におきましても活動内容を、以下の通りWEBサイトに掲載いたしますのでご高覧ください。

● 2020年度 研究奨励賞表彰式  ● 2021年度第2回研究会  ● 2021年度第4回研究会

2020年度 研究奨励賞 表彰式 及び 2021年度 第2回研究会を開催 7月3日(土)

 昨年に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響により、役員会および総会は郵送審議、第1回研究会も中止となりました。
 緊急事態宣言も解除となり、7月3日(土)に2020年度 研究奨励賞 表彰式および2021年度 第2回研究会をようやく開催する運びとなり、Zoomおよび関西大学千里山キャンパス 学術フロンティア・コア3階会議室にて感染拡大予防に十分配慮した形式にて開催することができました。
 今回は会場参加22名、Zoom参加8名、計30名の方のご出席があり、久しぶりの開催に互いに話がはずみました。開会にあたり、西村会長ならびに先端科学技術推進機構長 棟安実治教授からご挨拶をいただきました。


2020年度 研究奨励賞 表彰式

 表彰式では、2020年度 研究奨励賞受賞者に対し、西村会長から表彰状・副賞が授与されました。受賞者におかれましては、今後ますますのご活躍とご発展をお祈りいたします。


  研究奨励賞
     大規模地下街での短時間集中豪雨を想定した浸水時における安全避難に関する検討           

理工学研究科 環境都市工学専攻  中阪 友太朗 氏     

  研究奨励賞
     Team B“Color Change based easy COVID-19 detection at home”

化学生命工学部 化学・物質工学科  高野 史章 氏     

  研究奨励賞
     楓 橋(かえでばし)

環境都市工学部 都市システム工学科  菱田 空斗 氏     
環境都市工学部 都市システム工学科  山下 夢来生 氏     

  研究奨励賞
     当て板ボルト補修と接着を併用したストップホールの応力低減効果

理工学研究科 環境都市工学専攻  玉利 仁 氏     

化学生命工学部 高野史章氏の表彰と研究紹介の
模様。
緊張の中、パワーポイントを用いて丁寧にご説明
くださいました。




環境都市工学部の菱田空斗氏、山下夢来生氏。
デザインされた模型をもとに、熱心にご説明くだ さいました。




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2021年度 第2回研究会

 表彰式の終了後、第2回研究会として環境都市工学部 教授 北詰 恵一先生による講演を開催しました。


2021年度 第2回研究会 講演
演 題:「スマートシティのもとでの健康まちづくり」  環境都市工学部 教授 北詰 恵一 氏

 近年、「スマートシティ」が注目されており、世界中の多くの都市が実現に向けて動き出しています。内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省がスマートシティの取組を官民連携で加速するために設立した、「スマートシティ官民連携プラットフォーム」に関西大学は「健都スマートシティ協議会」として参画しています。第2回研究会では、協議会委員の責を担っておられる北詰教授よりスマートシティとご自身の専門分野である健康都市について実践例を交えて話していただきました。
 スマートシティガイドブックに記載されている、スマートシティとは「市民の幸福度の向上」のためにあるという根幹の認識が重要です。なかでも【健康】は日常生活を基本とするスマートシティとは親和性の高いものです。「ICTデータの活用により健康寿命を延伸」とガイドブックに記載されていますが、情報の取得とその加工においては「外れ値(異常値)」の見極めや、潜在化している情報の抽出など技術的課題があります。
 潜在化している価値をどのようにして見出すかを主課題とし、価値創造のための共創手法を考えながら将来ビジョンに向けて取り組んでいる関西大学リビングラボという活動があります。「市民ができる夏の暑さ対策」をテーマとして、参加市民にセンサーを貸し出し、収集されたデータを大学で解析して結果を渡すというシステムを実例として紹介いただきました。この例では市民自らの自己体験データ収集によって、外出を誘導する街づくりへの提言につながっています。
「スマートシティが見せてくれる姿は確かに魅力的だが、それでも最後は、日常の町にいるユーザー、市民に聞け」という文言が大きくスライド投影されました。これまで47都道府県すべてでさまざまな街を見て、いろいろな要素を取り出しながら進めてこられた北詰先生の研究は、スマートシティの基本理念である「市民中心主義」と基本原理にある「公平性・包摂性(だれも取り残さない)」の実践的手法として今後の取組がさらに期待されます。


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2021年度 第4回研究会を開催 11月27日(金)

 11月27日に開催いたしました第4回研究会は、国内のコロナウイルス感染症の状況が収束傾向であると判断し、久々に会場を設け開催させていただくこととなりました。会員の皆様、学内関係者を合わせ、34名の方々にご出席いただき、大変活気ある研究会となりました。
 今回の講演は「金属3Dプリンターを用いた積層造形技術について」と題し、関西大学化学生命工学部 西本明生教授、大阪冶金興業㈱ 土井研児取締役にご講演いただきました。ご講演ののち、西本先生、大阪冶金興業㈱様のご厚意により関西大学イノベーション創生センター内にある金属3D積層造形実験室の見学会も行い、盛会のうちに終えることができました。
 ご参加いただきました会員の皆様に講演会および見学会のご感想をお寄せいただきましたのでご紹介いたします。

  

第4回研究会に参加して

科学技術振興会 会長 西村哲郎/株式会社日本スペリア社 代表取締役
 今年最後となる第4回研究会をイノベーション創生センター内にて対面で行いました。メイントピックは「金属3Dプリンターによる積層造形技術について」で、西本教授による概念説明と当会員で共同研究されています大阪冶金興業(株)の土井様が事業のご案内と共に金属3Dプリンター装置の仕様や研究内容についてご説明いただきました。そして、創生センター内に置かれている最新装置の見学会をご厚意で行っていただきました。優れた設備が学内にあり、それを身近に使用できることは、最先端を行く研究に不可欠です。また、使用する素材の開発、造形物の後加工、表面処理、熱処理など多岐に渡るモノづくり技術は、会員皆様の事業へも直結すると信じております。これからも最新の研究開発について研究推進・社会連携事務局並びに先端科学技術推進機構グループのサポートによって情報発信を心掛けてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

科学技術振興会 副会長/八田工業株式会社 代表取締役 隅谷賢三
 5年前に設立された関西大学イノベーション創生センターを今回初めて見学させて頂きました。
 表面を制する者がものづくりを制するといわれます。加工方法が新しくなっても、難しい3次元複雑形状がつくれても技術課題は、熱処理、表面処理というのは逆に身近に感じます。大阪冶金興業株式会社さまの80年の歴史のうえに積層造形されていく技術を知り、改めて金属3D積層造形技術の目に見えない部分がおもしろいことに気づかせて頂きました。
 2021年がいい年だったと思える一日になりました。

株式会社フジキン 革新開発設計課 主事補佐 小原俊治
 先日は、第4回研究会へ参加させて頂き、ありがとうございました。 講演の内容は、既に知っている内容が多くありましたが、AM技術の基本的内容と問題点を再認識することが出来ました。 又、AM装置を実際に拝見することが出来、自己の知見を広げる ことができました。今後の仕事で生かしていきたいと考えます。

聖和精密工機株式会社 代表取締役会長 廣海 誠
 金属3Dプリンターの研究会に参加させて頂き、有難う御座いました。
 日本における金属3Dプリンターは欧米に比べ非常に遅れており、経済産業省などがもっと積極的に動く必要があると思います。現状では試作的な製造しか出来なく、量産品や大きなサイズが機械加工並みのコストで出来る様に持って行って欲しいと思います。金属3Dプリンター本体の低価格化、粉末合金の低価格化、それに加え積層時間の短縮等、様々な課題を克服しなければなりません。
 弊社に於いても本体購入を前提にテストを繰り返していますが、希望する販売価格帯には遠く及びません。国と大学と企業、三位一体で進め、早く欧米に追い付き、追い越して行く為のリーダー的存在が必要と思います。
 今後も引き続き、新しい技術や新しい素材等、未知の分野における研究会開催を祈念致します。又、ご指導ご鞭撻を頂きます様、宜しくお願い申し上げます。

株式会社太洋工作所 取締役 立川健二郎
 弊社は表面処理を事業としており、多種金属・複数の加工がされた商品に対して表面処理を行っております。金属の種類や加工方法が異なると前処理など処理方法も異なります。金属の加工方法の一つとして今回は参考になりました。
 また、金属の加工の場合、プレスでも切削でも端材や切削屑というロスが発生します。金属の3Dプリンターであれば、ロスも少なく脱炭素という意味でも強みのある技術だと感じました。さらにAIなどとの組合せで加工出来なかった形状などを実現できることも本技術の新しい用途だと思います。
 今回講演、実演して頂き誠に有難う御座いました。

株式会社アイ・エレクトロライト 代表取締役社長 阿部一雄
 新会員として初めて参加させていただきました研究会、最先端の加工技術に触れる機会そして、弊社の紹介のお時間までいただき、改めて御礼申し上げます。
 3Dプリンターでの金属加工技術開発では、産学連携で金属粉末の材料から科学的に技術を開発・構築されている点に深く感銘を受けました。材料技術は日本のお家芸、ここを開発の起点とされた点、是非見習わせていただきたいと思いました。
 当社でも今一度電池材料の視点からリチウムイオン電池開発に磨きを掛け、関西大学発電池を早く世界デビューさせたいと思います。

株式会社棚澤八光社 金型事業部技術部 課長代理 大宮由美子
 金属積層技術について、実際に開発を行っている方のお話を詳しく聞くことが出来て、大変勉強になりました。(かなり昔のことになりますが)大学の授業で習った粉末冶金の知識と、これまでの情報収集で得たRP関連知識を、最新知識にアップデートすることが出来、大変有意義な時間を過ごせました。コロナ禍ですから、展示会等と違い多過ぎない人数での聴講・見学であったことも、良かったと思います。

日本シリコロイ工業株式会社 代表取締役社長 清水博之
 金属3Dプリンターには大変関心をもっております。その中で関大と大阪冶金興業の共同研究が始まることはうれしいニュースでした。 現状、今後の課題、共同研究の今後の取組みと分かりやすく聞かせていただきました。また導入された最新プリンターも見学させていただきました。
 周辺の産官学でも金属3Dはまだまだ研究中とききます。この共同研究がそれらの一翼を担うことに大変楽しみにしております。
 関大発シリコロイ鋼の粉末の活用も織り交ぜていただき、ご協力できればと思っております。

松本工学株式会社 代表取締役 松本 剛
 大阪冶金興業様は創業80周年を迎えられてなお起業家精神を失わず、量産を目指した高機能材料を作製する技術の確立のための西本先生との共同研究、研究開発への取り組みは素晴らしいと思いました。
 金属3D積層造形装置の稼働も拝見しながら、西本先生や大阪冶金興業 土井様、大西様、西様、並びに参加されていた会員の皆様とも直接お話ができる良い機会となりました。学んだことを活かせるようにしてまいりたいと思います。
 感染症によるこのような社会情勢のなか、安全面にも配慮された研究会を企画、運営してくださった事務局の皆様にもお礼申し上げます。






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