研究グループ

N(新物質・機能素子・生産技術)研究部門

CPS実現に向けたバイオインターフェース研究グループ

研究期間 2023年度~2025年度
研究課題 Society 5.0による健康寿命の長寿化を実現するには、人体のバイタル情報や生化学情報などを常時取得し、そのデータをサイバー空間に収納し、得られたビックデータを解析し、個人ユーザーに還元させる必要がある。そこには、生体分子や細胞などの有機物質と電子デバイスとのナノ・マイクロレベルの接触から、体表と計測機器とのセンチメートルオーダーの接触など階層的な界面との接触(インターフェース)が生じる。このような場ではデバイスと細胞、生体材料との接触がこれまでよりも長い時間必要となる。そのため、長時間安定して計測できるインターフェースの開発や計測器に抗菌性など新しい機能を付与する必要がある。また、得られたビックデータをどのように収納し処理するかも課題となっている。本研究グループでは、これら新しい生活様式に対応するための基盤的な研究を実施する。
研究代表者 システム理工学部 伊藤 健 教授
研究者 システム理工学部/ 清水 智弘 教授、佐藤 伸吾 准教授、山本 真人 准教授、鈴木 昌人 教授
           高橋 智一 准教授

 Society 5.0を実現するためCPS(Cyber-Physical System)に関する研究が重要となっている。本研究グループは、その中でも健康寿命の長寿化に貢献するため、未病や遠隔医療診断への応用に焦点を当てた基礎研究を実施する。具体的には、マクロおよびミクロな生体と電子デバイスの界面を制御し、それらをスムースに接続させ、データ処理の高速化に関する研究に取り組む。

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橋梁・機械設備の健全性モニタリング研究グループ

研究期間 2024年度~2026年度
研究課題 1)橋梁の健全性を診断するための自立型センシングシステムの開発
 ・自立型センサの開発
 ・蓄電・データ送信モジュールの開発
 ・自立型センサを利用した車両重量計測システムの研究
 ・橋梁の損傷度合いの判定方法の確立
 ・鉄道橋の洗堀検知の研究
 ・タイヤ内蔵型路面性状検知センサの研究
2)機械設備の健全性モニタリング
 ・転がり軸受故障診断の研究
 ・自立型センサを利用した機械設備の故障診断の研究
研究代表者 システム理工学部 小金沢 新治 教授
研究者 システム理工学部/ 谷 弘詞 教授、呂 仁国 教授、川田 将平 准教授
環境都市工学部/ 石川 敏之 教授、上田 尚史 准教授

 2020年国土交通省の白書によると、高度成長期に建設された道路橋が多数存在し、道路橋の老朽化は急速に進展する。一方、点検や整備に携わる専門作業員や技術者などの人材は徐々に減少しており、必ずしも十分な点検・整備が行われていない現状が明らかにされている。従って、事後保全から予防保全への切り替えが必要であることが白書においても示されており、インフラや関連施設の劣化や損傷を効果的かつ効率的に診断する「構造健全性モニタリングシステム」が積極的に開発されている。また、機械設備についても、故障の予兆を捉えメンテナンスをすることで大幅な設備の運休を避けようとする予防保全の考え方が広がっており、振動センサによる状態監視の研究が多数行われている。しかし、これらの損傷・故障診断システムのほとんどは、センサ信号の増幅や無線通信を使用したデータ送信に電源を必要とするため、導入工事などの費用が大きく、未だ広く普及するには至っていない。
 そこで、我々は、電源を必要としない自立発電センサを利用した構造健全性監視システムを提案することを目的として研究グループを設立する。当該システムが実現できれば、計測したい場所に自由に設置できるようになるとともに、導入コストが低く、広く普及することが期待できる。

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バイオインターフェイス研究グループ

研究期間 2024年度~2026年度
研究課題 生体とマテリアルとの界面の設計と制御に関する知見を蓄積し,高機能医療機器の創出に活かす
研究代表者 化学生命工学部 岩﨑 泰彦 教授
研究者 化学生命工学部/ 大矢 裕一 教授、宮田 隆志 教授、平野 義明 教授、古池 哲也 教授
           葛谷 明紀 教授、柿木 佐知郎 教授、河村 暁文 教授、奥野 陽太 助教
システム理工学部/ 小谷 賢太郎 教授、田地川 勉 准教授、鈴木 哲 准教授

 マテリアルを生体に接触させた際に,生体が最初にマテリアル表面を認識することは言うまでもなく, 表面の性状がマテリアルの運命を左右すると言っても過言ではない。このようなマテリアルに求められる性質として 「生体適合性」という表現がしばしば用いられる。生体適合性とはある治療(目的)に対し必要とされる生体反応も 誘導しながら適切に機能するマテリアルの性質を指し,目的によってマテリアルに要求される機能は異なる。 本研究グループには,上述した研究目的を達成するために,様々なポリマーを扱える体制が整っている.生体環境は極めて複雑であ り,生体内で異物として認識されないポリマーマテリアルはほとんどなく,色々な制限をもとに 医療機器が使用されているのが現状である.あらゆるポリマー分子を扱えるメンバーが協働する ことにより,生体と同化するポリマーマテリアルが創出され,医療機器の安全性や安定性を高め ることはもちろんのこと,これまで現存し得なかった新たな治療法の創出にも貢献できると考えて いる.

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I(情報・通信・電子)研究部門

メタバースによる文化財の発展的活用に関する研究グループ

研究期間 2023年度~2025年度
研究課題 本研究では,申請者らの独自技術である文化遺産維持管理のためのクラウドシステム(H-BIM; Heritage-Building Information Modeling)の実現手法を踏まえ,調査や管理の来歴を,時間・空間軸で相互に結び付け,一元管理を可能にする機能を内在したメタバースとして,現実および仮想の両側面のコミュニティに提供する枠組みへと昇華させ,文化財の価値を高め,その維持管理サイクルに資する発展的な情報環境の創出を図るものである.
研究代表者 環境都市工学部 安室 喜弘 教授
研究者 環境都市工学部/ 鶴田 浩章 教授
社会安全学部/小山 倫史 教授
文学部/ 吹田 浩 教授

 Covid-19の世界規模での感染拡大による人やモノの停滞がDXを加速化し,市民生活の新たな側面として仮想的な空間を人々の活動基盤とするメタバースの利用価値も顕在化し始めている.本研究では,申請者らの独自技術である文化遺産用のクラウドシステム(H-BIM; Heritage-Building Information Modeling)の実現手法を踏まえたメタバースを創出する.さらに,現実と仮想のコミュニティでシームレスに学術的・観光資源としての価値を高めることで各地の文化遺産の維持管理に資する枠組みへと昇華させることを目的とする.

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災害にフレキシブルな緊急救命避難支援研究グループ

研究期間 2024年度~2026年度
研究課題 災害に即時かつ柔軟に対応できる緊急救命避難支援に関する研究開発
研究代表者 システム理工学部 和田 友孝 教授
研究者 システム理工学部/ 榎原 博之 教授
環境都市工学部/ 尹 禮分 教授
総合情報学部/ 林 勲 教授
社会安全学部/ 川口 寿裕 教授

 火災、テロ、地震、強盗などの突発的災害発生時には、被災者はパニック状態に陥って 冷静な判断ができず、迅速な避難が困難となる。災害発生直後に被災者が正確な災害情報を即時 に入手することは困難であり、被災者が各々の判断で避難をする必要があるため、最悪の場合に は死傷者などが発生する可能性が高い。我々は、これまで実現不可能として研究対象とされてい なかった、災害発生直後1分以内に災害を自動検知し、リアルタイムで被災者の緊急避難情報の 提供や指示を行う、新たな緊急救命避難支援システムを研究してきている。災害現場に居合わせ た被災者らの時々刻々の行動を機械学習で分析し、携帯端末間のアドホック通信および通信イン フラを用いて情報を共有することにより、災害発生直後の災害発生検知、および避難経路の特定 を行い、安全かつ迅速な避難支援を実現する。また、災害発生前後の災害対応にも対象を広げ、 災害発生前における通常時の情報配信および災害発生後の避難場所を含めた避難支援に関する検 討も行う。

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B(生命・人間・ロボティクス)研究部門

マイクロバイオーム研究グループ

研究期間 2023年度~2025年度
研究課題 1) マイクロバイオームあるいは宿主との相互作用を理解する基盤技術の開発
2) 微生物および食品由来機能性分子や細菌叢代謝物によるマイクロバイオーム制御技術の開発
研究代表者 化学生命工学部 福永 健治 教授
研究者 化学生命工学部/ 岩木 宏明 教授、片倉 啓雄 教授、細見 亮太 准教授、岡野 憲司 准教授
          山崎 思乃 准教授、山中 一也 教授

 異種生物で構成されるマイクロバイオームの機能解明やその制御技術の開発を目指して、本研究グループでは、マイクロバイオームの理解を深める基盤技術の開発、機能性分子および細菌叢代謝物によるマイクロバイオーム制御技術を開発することを目的とする。

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E(環境・エネルギー・社会)研究部門

インフラマネジメント研究グループ

研究期間 2022年度~2024年度
研究課題 社会基盤施設の先進的な維持管理手法を検討し、より高度な情報通信技術を適用するための研究
・3次元計測システムを活用した維持管理手法
・3次元点群データによる維持管理手法
・AI(人工知能)の活用による維持管理手法
研究代表者 環境都市工学部 尹 禮分 教授
研究者 環境都市工学部/ 北岡 貴文 准教授、山本 雄平 助教、楠見 晴重 特命教授

 社会・経済活動を支えている道路、鉄道、公共構造物などの社会基盤施設(インフラストラクチャ)には、多額のストックが投下されてきているが、その経過年数も長期にわたる施設が増大しており、今後の戦略的な維持管理手法の開発が重大な社会問題となっている。こうした背景の下、本研究グループでは、社会基盤施設の先進的な維持管理手法の確立を目的とする。そのために、高速道路に関わる諸施設を対象として、3次元高精度カメラやUAV等による3次元計測システムを活用した維持管理手法、3次元点群データによる維持管理手法、AI(人工知能)の活用による維持管理手法等について検討する。また、高速道路に関わる地盤構造物、地下構造物に対する検討も視野に入れて研究する。

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気候変動に適応した健康まちづくり研究グループ

研究期間 2022年度~2024年度
研究課題 ・気候変動による気温や降水の増分に対する影響評価と適応
・気候変動による極端な豪雨災害を例とした影響評価と適応
・適応策によるリスク軽減効果の定量化
研究代表者 環境都市工学部 尾﨑 平 教授
研究者 環境都市工学部/ 北詰 恵一 教授、尹 禮分 教授、井ノ口 弘昭 准教授
          秋山 孝正 先端機構研究員、石垣 泰輔 先端機構研究員

 今後の人口動態や気候変動による影響を想定した場合、極端気象の増大、高齢化、都市への人口の集中などは、環境被害、健康被害などを増大させる要因となる。本研究グループでは、IPCCが示す2℃上昇(RCP2.6)、4℃上昇(RCP8.5)の将来気候シナリオに対する適応策の推進がもたらす都市環境への影響と健康への影響を評価し、都市環境の改善と人の健康の維持・回復の適応策を提案することで、気候変動を考慮した健康まちづくりに貢献することを目的とする。

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人間・環境系の生体応答・感覚モデル研究グループ

研究期間 2023年度~2025年度
研究課題 省エネを目指した人間・環境系の生体応答・感覚モデルに基づく支援システムの開発
研究代表者 環境都市工学部 都築 和代 教授
研究者 システム理工学部/ 花田 良子 准教授、小谷 賢太郎 教授
環境都市工学部/ 原 直也 教授

 家庭部門のエネルギー消費は、生活の利便性や快適性を追求するライフスタイルの変化などの影響が背景にある。エネルギー消費を抑えるためには、家庭生活においてエネルギーを多く使う冷暖房機器の代替や生活行動時の省エネ手法を開発する必要がある。人間・環境系の生体応答・感覚モデルに基づき、省エネルギーを達成するための環境評価技術の開発を目的とし、省エネルギーの観点で行動を選択する意志決定を支援するシステムを構築する。

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社会安全イノベーションに貢献する大阪梅田におけるネットワークハブ構築研究グループ

研究期間 2023年度~2025年度
研究課題 我が国の防災・減災レベルは高止まりしている.しかしながら,南海トラフ巨大地震などの大規模災害を見据えれば,決して社会的に受け入れられる水準であるとは言えない.現状を打開するためには,備えることができない人々に対してもアプローチできる多様な分野における安全安心社会に資するイノベーションを加速させる必要がある.
研究代表者 社会安全学部 奥村 与志弘 教授
研究者 社会安全学部/ 小山 倫史 教授、菅原 慎悦 准教授、吉田 裕 教授
総合情報学部/ 友枝 明保 教授
システム理工学部/ 松本 亮介 教授
環境都市工学部/ 安田 誠宏 教授
商学部/ 飴野 仁子 教授、石田 和之 教授、西岡 健一 教授

 大阪梅田地区のひと・モノ・知のターミナルとしての強みを活かし,安全・安心社会のためのイノベーション創出を目指す.災害は日常の延長で発生するものであり,日常を豊かにする価値を生み出しているあらゆる業界が対象である.しかし,これらの業界は防災専門家ではない.南海トラフ巨大地震などの将来の災害を見据え,何が課題になっているのか,その知見を提供するとともに,課題解決に有用なビジネスモデルの提案も行う.

人工物・システムの設計・製造・運用における暗黙知研究グループ

研究期間 2024年度~2026年度
研究課題  「暗黙知」という言葉は、詳細には表出・伝達することが困難な知として M.ポランニーが概念化し、その後は経営学や科学哲学等において使用が散見される。野中らは企業における知識創造において暗黙知および暗黙知と形式知の相互作用の重要性を述べており、社会活動における暗黙知の重要性を示唆している。一方、脳がニューロンのつながりにより知を保持していることから、多くの 人がつながり社会活動を行なっている組織もまた脳と同様に組織としての知識を有しており、その知識には表出・伝達できる形式知のみならずそれが困難な暗黙知も有していると考えられる。このような暗黙知は組織を構成するある個人にとっては形式知の場合もあるが、組織としてはその知を表出することが困難であり、この意味で社会的暗黙知と呼べる。以降では、個人の暗黙知と社会的 暗黙知を合わせて、暗黙知と呼ぶ。
 人工物・システムの事故に目をやると、暗黙知が関わる事故が少なからず生じている。例えば、2011 年 3 月に生じた東京電力福島第一原子力発電所における深刻な過酷事故では、米国のハリケーン対策として慣例化された「非常用ディーゼル発電機(以下、「DG」という)の地下設置」が表出しない知、すなわち暗黙知として日本に輸入され、その結果、DG 設置場所に関する議論が十分されな かったため、津波により DG が水没し、過酷事故に繋がったと考えられる。一般に人工物やシステムの開発・設計は、初発国の社会的、文化的、あるいはその段階の技術レベル、自然環境などの影響を受ける中で進んでいく。そして、設計・製造・運用がルーチン化すると開発過程の知や設計思想の一部は暗黙知となり、極めて重要な情報であるにもかかわらず、他国や他分野への技術移転に際 して明文化されず、伝達されない場合が多い。2004 年の森ビル・回転ドア事故(オランダでのドアは軽量であるべきという知が生かされず、ビルの規模と関連して重量化したドアが設置されたことが事故原因の一つ)なども暗黙知に関連した事故の典型例であろう。工業機器などの規格制定においても、一旦、規格が制定されると、当初の設計、開発における背景要因や意図が暗黙知となり、 規格の遵守のみが重視され、その結果、設置環境や技術の適用状況に応じた変更が容易に図られない事例が多々発生している。近年では ISO31000 をはじめとする標準や規格の功罪両面についてリスク学の立場から批判的指摘が出されるなど、規格の背後にある暗黙知に対する学際的注目が萌芽しつつある。また、設計・製造・運用過程における経験に基づく暗黙知は、開発者間でさえも受け継 ぐことが困難で技術伝承を妨げる大きな要因となっている。以上のように、人工物・システムの設計・製造・運用における暗黙知は、これらの安全に深く関わっていることが明白であるが、暗黙知と安全の関係について調査・研究した例は皆無である。したがって、人工物・システムの設計・製造・運用における暗黙知を調査し、体系化することは、これらの安全性向上および事故抑止に大き く貢献できる。さらに、暗黙知と安全との関係が「暗黙知学」として体系化されれば、社会安全学の大きな柱となるとともに、社会の安全に極めて大きいインパクトを持つ。
研究代表者 社会安全学部 細川 茂雄 教授
研究者 社会安全学部/ 一井 康二 教授、伊藤 大輔 教授、土田 昭司 教授、元吉 忠寛 教授
        岡本 満喜子 准教授、菅原 慎悦 准教授

 本研究では、人工物・システムの設計・製造・運用における安全問題を対象として、そ れを実施する組織もしくは組織群における暗黙知に関する情報を収集、分析、体系化し、 「暗黙知学」の礎として人工物や技術の安全における鍵概念の構築を目指す。