KANDAI HEADLINES ~ 関西大学の「今」

地域に愛される吹田みらいキャンパスへ 
~有志職員による「関大みらい~ねプロジェクト」奮闘記~

地域・社会

/事業推進局 事業推進グループ 宮田 将
/事業推進局 事業推進グループ 髙原 優佳
/研究推進・社会連携事務局 地域連携・高大連携グループ 木下 萌加


 関西大学吹田みらいキャンパスの開設を前に、「地域に根差したキャンパス」をめざして有志の大学職員が立ち上げた「関大みらい~ねプロジェクト」。地域のハブ拠点として、地域の方々にとって"身近な存在"となることを願い活動を続けてきた本プロジェクトは、4月に開設された「ビジネスデータサイエンス学部」にバトンを繋いだ。約1年半にわたり、元気溢れる有志職員たちが新キャンパスを盛り上げようと挑んだ本プロジェクトを、3人の事務局メンバーに振り返ってもらった。

地域に根差したキャンパスをめざす

─まず「関大みらい~ねプロジェクト」の立ち上げについて教えてください。

宮田
 2023年10月、大阪府吹田市内に関西大学の新たな学びの場となる、吹田みらいキャンパスが誕生しました。関西大学の歴史を振り返っても、新キャンパスの開設は極めて稀な出来事です。新しいキャンパスを盛り上げ、地域に愛されるキャンパスにしていこうとの機運が部署を越えて大学全体で高まり、「関大みらい~ねプロジェクト」が発足しました。
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関西大学 吹田みらいキャンパス
宮田
 最初は事業推進局と研究推進・社会連携事務局の連名で事務局を作って有志を募り、活動の趣旨に共感した職員―さまざまな部署から若手、ベテランを含む26人のメンバーが集まりました。
木下
 今回のような有志の職員を募る部署横断型のプロジェクトはこれまでほとんど例がなかったので、本当にメンバーが集まるのか、不安でいっぱいでした。でも、最初の説明会のあとに予想を上回る職員が参加してくれたので、うれしく思うとともにほっとしましたね。

─みなさんはどのようなきっかけでプロジェクトに参加されたのでしょうか。

髙原
 事業推進グループに異動となり本プロジェクトの意義や背景を知ったことで、 部署の垣根を越えて業務に挑戦できるところや、自主的に集まった仲間と一緒に仕事ができるところに魅力を感じ参加しました。
木下
 地域連携業務を担当する中で、学生がより豊かな大学生活を送るためには、地域のみなさんの理解や支えが必要不可欠であることを日々実感していました。その想いから、新キャンパスで学ぶ学生たちが、充実した大学生活を送る一助になればと考え、プロジェクトに参加しました。

─立ち上げ時に印象に残っていることはありますか。

木下
 まず新キャンパスやその周辺に足を運んだのですが、「手探りで進める部署横断型プロジェクトがうまくいくのか」「企画が順調に進むのか」といった心配ごとを話しながら見学をしました。そのときの不安や緊張感は、今でも鮮明に覚えています。
宮田
 住み慣れた地域に新しく大学のキャンパスが誕生するわけですから、歓迎してくださる住民の方がいる一方で、日常の変化への戸惑いや、文化の違う留学生との新たな関わりへの不安などを感じる方もいらっしゃったと思います。イベントを開催することでそういった地域住民の不安を解消できるのか、実際に開催するまでは心配でしたね。

イベントを重ね地域との信頼関係を構築

─イベントの開催スケジュールや内容はどのように決まったのでしょうか。

宮田
 まず大きなイベントの開催月を決めてから、その他のイベントのスケジュールを組みました。活動メンバーがチームに分かれて企画・準備に取り組める期間と、地域の方に忘れられずに「また来たい」と思っていただける頻度の兼ね合いから、月に1回くらいのペースが良いだろうと。イベントの内容は、メンバー同士の活発な議論から少しずつ形になっていきましたね。
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木下
 2023年11月にこのプロジェクトが発足し、約3か月後の翌年2月にはキックオフイベント「はじめまして!関大吹田みらいキャンパス体感DAY!!」を開催しました。ちょうど阪神タイガースが優勝した年だったので、「阪神優勝がもたらした経済効果 ~地域が元気になるためには?~」と題した本学の宮本勝浩名誉教授による記念講演とキャンパス見学会を企画したところ、すぐに満席になりました。
宮田
 キャンパス見学会では参加者の方々とおしゃべりしながら施設を見て回り、「地域住民も食堂は使えるの?」「どんな学部があるの?」などと大学に関心を持っていただけました。
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キックオフイベント「はじめまして!関大吹田みらいキャンパス体感DAY!!」キャンパス見学会
髙原
 イベントの回数を重ねるごとに参加者も増え、地域のみなさんが新キャンパスに期待を寄せてくださっているということが肌で感じられましたね。
宮田
 活動後半に企画したイベントのうち、「クリスマスフェスタ」と「Kandai防災運動会」は、新キャンパスの工事期間と重なったため、キャンパスを会場として使用できませんでした。そこで、クリスマスイベントは本学と連携協定を結んでいるエア・ウォーター株式会社の施設「エア・ウォーター健都」を、防災イベントはイベント告知でもご協力いただいていた吹田市立山田第五小学校の体育館をお借りし、「出張イベント」として開催することになりました。
木下
 イベントについての相談をした際、どちらの会場にも快くご協力いただきました。地域との信頼関係が築けていたことを実感し、とてもうれしかったですね。
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出張みらい~ねフェスタ 第1弾「関西大学×エア・ウォーター株式会社 笑顔あふれる!クリスマスフェスタ」
出張イベントが成功したのも、地域との信頼関係が築けたからこそ

─みなさんにとって印象的だったイベントを教えてください。

宮田
 特に印象深かったのは、元ラグビー日本代表の廣瀬俊朗さんを招いた昨年10月のイベントと、翌11月に元阪神タイガースの岩田稔さんを招いたイベントです。私自身がスポーツ経験者というのもあって両氏の講演は大変興味深く、スポーツの持つ力や偉大さを改めて感じました。また会場を訪れた多くの方々が熱心に聞き入る姿も印象的でした。
木下
 私はキックオフイベントです。不安もありましたが、当日参加された地域のみなさんが新キャンパスに期待してくださっていることがわかり、うれしさと同時にプレッシャーも感じました。
髙原
 最後のイベント「関大みらい~ねフェスタ感謝祭"つながり"」が一番印象に残っています。13回目のイベントであり、学内外の11団体にご協力いただき、約300人にご参加いただきました。参加者にはリピーターが多く、全イベントを通じた参加者の延べ人数は1800人に達しました。この1年半を通じて、私たちのイベントが地域の方々に愛され、受け入れてもらえたと実感しました。

大学と地域で作り上げたプロジェクトの集大成

─「関大みらい~ねフェスタ感謝祭"つながり"」は、本プロジェクトの集大成だと思うのですが、開催してみていかがでしたか。

木下
 これまで参加、協力してくださった地域のみなさんへの感謝を伝えるとともに、新規の参加者にも楽しんでもらえるイベントにしたいという思いで企画しました。ステージ公演とブース出展を並行させて、大人がステージ公演を鑑賞している間に子どもたちはブースでお手玉などの伝承遊びができるというように、全世代が楽しめる工夫をしました。スポーツ体験なども世代を問わず誰もが楽しめるものだったので、イベントをきっかけに芽生えた世代間のつながりが、今後も地域の中で育まれていくことを願っています。
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プロジェクトの集大成「関大みらい~ねフェスタ感謝祭"つながり"」
プロジェクト終了後も地域のつながりが続いていくよう思いを込めて企画
髙原
 感謝祭には、ピックルボール(プラスチックのボールをラケットで打ち合うスポーツ)体験のブースがあったのですが、これは吹田市にあるピックルボール団体の方が「関大みらい~ねプロジェクト」のインスタグラムを見て、DMを送ってくださったことがきっかけで実現しました。当初から、この取り組みが地域のみなさんのやりたいことを実現できる場になればと考えていたので、地域の方に関心を寄せていただき、このような形でブース出展が実現できたことは非常に印象深いです。
宮田
 私たちが一方的にイベントを企画するのではなく、地域のみなさんからの要望にも応えながら作っていくというのは、まさに立ち上げ時に描いていた理想のかたちなので、本当にうれしく思いますね。
 私は、これまでのイベント参加者にご記入いただいた約1000枚の関西大学へのメッセージ「みらい~ねカード」を感謝祭の会場入り口に展示できたことです。カードには多くの想いが込められており、その展示された光景は大変感慨深いものがありました。このカードは、この春に吹田みらいキャンパスに入学した学生たちにも見てもらえるよう、4月以降も展示を続ける予定です。
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地域のみなさんから寄せられた1000枚もの応援メッセージ
カードに可愛らしい絵を描いてくれた子どもたちも

部署横断型の取り組み、1+1=2以上に

─最後に本プロジェクトを振り返って、良かった点、学びになった点などを教えてください。

宮田
 参加された方から「次も楽しみにしているね」と声をかけてもらえたことや、アンケートで97%の方が「満足」と答えてくださったのは本当にうれしかったです。
 全学的・部署横断的に取り組む今回の活動は、今後の課題解決のモデルケースになると実感していますし、部署の垣根を越えた有志職員の協働が生んだ成果です。多様な視点と力を結集し、地域に愛されるキャンパスづくりを後押しできたことは、今後の大学運営にも活かせる貴重な経験になったと感じています。
木下
 部署横断型の取り組みによって、今までやり取りをすることがなかった部署の職員と話すようになり学内でのつながりが広がったことや、関西大学自体についてより深く知るきっかけとなったことが私にとっては大きいですね。プロジェクトには幅広い年齢層の職員が集まったにもかかわらず、メンバーは皆温かくフラットで、とても良い雰囲気のなかで活動ができました。
髙原
 本プロジェクトを通して、地域のみなさんの声を直接聞く機会を得られたのは大きかったと思います。また学内では、学生や職員にも積極的に協力してもらい、関西大学のつながりの強さや団結力を再確認できました。活動に参加するまで「〇〇課の〇〇さん」だったのが、今では「〇〇が得意な〇〇さん」というように私の中で認識が変化したと感じています。それぞれのメンバーが自分の強みを発揮することで、"1+1=2ではない"ということを実感しました。このように部署横断型で新キャンパスのPRに関われたことを誇りに思います。
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