2019.03.14COILについてCOIL Course Example
関西大学×ハーグ応用科学大学(オランダ)2018年春学期
COIL コース 実践例 2
本コース例は、6~7週間にわたって交流や協働学習を行う標準的なCOILプロジェクトで、学期開始前に協定関係を結んでいる場合の事例です。本例では、2018年春夏学期にかけて、関西大学(日本)が「Critical Thinking Skills for Social and Global Issues」の学部コースを、ハーグ応用科学大学(オランダ)は「Intercultural Communication2」の学部コースを提供し実施した取り組みを紹介します。
この取り組みは双方のコース開始前に企画されました。日本ーオランダ間の時差を考慮し、主に非リアルタイムで実施しました。
参加者は、関西大学の学生31名とハーグ応用科学大学の学生25名でした。中には1学期または2学期間の交換留学プログラムで留学中の留学生も含まれます。
本COILでは、外国人学生との交流を通して学生たちに異文化間コミュニケーション、異文化間交流、文化的(語学上の)課題への考察の機会を提供することを目指しました。また、参加学生には多様なグループの中で協力して1つまたは2つのプロジェクトを達成することを求めました。
本COIL実践では、「コミュニケーション」や「人々がどのようにして多様なソースからの情報を判断しているのか」といったトピックを双方のコースの中核に据えました。ハーグ応用科学大学の学生たちはビジネス関連を専攻、関西大学からは社会学や人文科学の幅広い分野を専攻している学生が参加しました。
アイスブレーキング 3週間 |
学生たちは(個人またはグループで)短い紹介動画の交換にpadletとflipgridを使いました。そして、学生たちは地元の文化を紹介するグループ動画を作成し交換しました。 |
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協働学習 3週間 |
オランダの学生は日本の学生にコミュニケーションについて(文面やビデオを使い)インタビューしました。日本の学生はこのインタビューを分析しました。 |
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アウトプット | オランダの学生は異文化間コミュニケーションに関して発表を行いました。 日本の学生は発表とインタビューに対して批評をまとめました。 |
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図:COILプロジェクト全体図
アイスブレーキング
写真:flipgridで作成した紹介動画例
第1週目に学生たちは8チームに分かれ、flipgridを使っての短い紹介動画の作成方法を学びました。また、学生や教員がメッセージやグループに関する投稿をしたり、動画や最終発表を行うプラットフォームとしてpadletを利用しました。
アイスブレーキング期間に、学生たちは2つの課題に取り組みました。まず初めの課題は、flipgridを使ってグループ単位で短い紹介動画を作ることでした(日本とオランダのチームで動画の交換を行いました)。担当教員も紹介動画やパワーポイントを作成し、授業内で共有しました。
2つ目の課題では、グループ内で更なる議論が促進されるよう、学生たちは日常生活や地域文化の内容を紹介する動画をより詳細に作成しました。そして、padletに掲載しました。(動画は全学生に公開されました。)例えば、日本のあるグループはラーメン屋に行き、料理の頼み方やサービスなどを紹介しました。動画作成の際、学生の多くは自主的に複数のマルチメディア作成・編集用アプリを使用していました。
協働学習
写真:課題や作業が掲載されたpadlet
アイスブレーキングに続いて、学生はグループごとに「異文化間コミュニケーションが、異なる(肯定的/否定的)意見やそれに対する反応にどう影響するか」というテーマに共同で取り組みました。ハーグ応用科学大学の学生は課題に対してインタビューを通した実験的な調査に取り組んだのに対し、関西大学の学生は自らが調査員と被験者の役をこなすことで調査結果を批判的に分析することに焦点を置いていました。
本プロジェクトを実施する中で、COIL交流の中で各学生のグループにとって一定の学習成果があることを確認し、将来のより緊密な共同プロジェクトへ向けてアイディアをより生み出せるよう心がけました。
具体的には、ハーグ応用科学大学の学生が関西大学の学生を対象に異文化間コミュニケーションについての(ビデオチャットや文章で行われた)インタビューを実施しました。そして関西大学の学生は、インタビューの過程と調査結果に対して意見を述べました。双方の大学の学生がこれらの活動のプランニング・実施を協力して進める中で、双方のグループ間で文化的または言語的な課題に度々直面することが想定されました。それは問題というよりも特徴として捉え、双方コースの目的である異文化間コミュニケーションを実践すること、批判的思考の側面を応用することを目指しました。
アウトプット
最終発表のため、ハーグ応用科学大学の学生たちは、異文化間コミュニケーションの課題に関連するインタビューや交流を通して気づいたことを発表資料(例:パワーポイントスライド)にまとめました。関西大学の学生たちは参加者/評価者として、ハーグ応用科学大学の学生たちの主張に対して、修辞学および論理的観点から評価し、授業内にこのプロジェクトのまとめとして発表しました。COIL活動に参加した関西大学の学生には、コースの合格点以上の評価が与えられました。
要点のまとめ
コース | Critical Thinking for Social and Global Problems (関西大学, 日本) Intercultural Communication - 2 (ハーグ応用科学大学, オランダ) |
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COIL タイプ | 標準COIL (6~7週間) |
COILの目的 | コースの共通目的:コミュニケーション、批判的思考と分析の文化的要素の探求に関連すること。実践型プロジェクトに取り組みながら異文化間コミュニケーション・交流体験 |
学生 | 学部生56名(社会科学/人文科学/ビジネス専攻) |
協働学習の課題 |
紹介動画 文化紹介動画 インタビューと分析 プレゼンテーション |
主なツール |
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