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教員エッセイ

第20回会計のおもしろみ

商学部准教授 木村 麻子(会計専修)

商学部の新入生に将来の希望職種を聞いてみると、「会計士」や「税理士」といった会計スペシャリストをあげることが多い。会計科目の担当者としては、喜ばしい限りである。

ところが、入学して3ヵ月ほど経った頃にもう一度同じ質問を投げかけてみると、違った答えが返ってくる。理由を問うと、「会計は性格的に合わない」と返ってくる。もう少し詳しく聞いてみると、「簿記が苦手」だと言う。

簿記はスキルとしての側面が強いため、確かに鍛錬の必要な科目である。簿記の論理は明快でわかりやすいのだが、ある程度の時間を割かなければ修得できない。この「身に付く」までの時間が、学生に「合わない」と感じさせるのだろう。

けれども、最初から簿記が得意だった人ばかりが会計スペシャリストに就いているとは限らない。現役会計士の友人が会計に興味を持ち始めたのは、会計情報の使い方を学習するようになってからだと言う。

売上高や利益などの会計情報は、加工することで規模に係わらず企業間の収益性の比較を可能にする。また、予算目標の達成度合いを測定することで、業績を評 価することもできる。友人は、経営活動を支援する会計情報の学習のうちに、会計に魅力を感じ始めたらしい。会計情報を利用する目的を学んでから、もう一度 簿記に取り組んでみると、今度はすんなり頭に入ったと言う。

会計は「ビジネスの言語」とも言われる。使いこなせるようになれば、社会人として働くときに必ず役に立つだろう。もし簿記を身につけることに一度つまずい たとしても、会計を苦手だと思わないで欲しい。そしてできれば、会計スペシャリストを希望職種のひとつとしてくれることを、学生には期待したい。

『葦 №144号』(一部修正)より

2010年06月18日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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商学部准教授 木村 麻子

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