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第17回ビジネスを学び、わかるための必須要件は?

商学部教授 岩佐 代市 (ファイナンス専修)

 商学部では一体何を学ぶのだろうかと、あらためて自問してみる。すると、「ビジネスを学ぶ」というのが一番わかりやすい解答になりそうである。「ビジネスを学ぶ」とは、そもそもビジネスとは何なのか、ビジネスはどうすれば成り立つか、ビジネスの成果を最大化するにはどうしたらよいか、どんなビジネスを選び実践するか、これら一切を学ぶことである。多くの場合、ビジネスとは収益を目的とするものであるが、定義次第では、収支がバランスしさえすればよいとする経済活動も含まれよう。

 ビジネスをどう定義しようが、ヒト、モノ、カネ、情報の調達と編成の仕方を理解することが肝心要の内容となることは言うまでもない。今更ながらに重要な点は、プラスの成果には犠牲やコストが必ず伴うことを明確に認識することである。経済学や会計学の用語で言えば、予算制約、機会費用、あるいは費用対効果などの諸概念を理解することであると言ってもよい。

 こうした諸概念を「学ぶ」ことはもちろん可能である。商学部はそのための良い機会を豊富に用意している。しかし、これら諸「概念」の背後にあって、これらと同等の意味内容を持つ「観念」を基本的に持たなければ、ビジネスの何たるかを真に「知る」もしくは「わかる」のは難しい。標題の必須要件とはそのことを指す。

 学生諸君の中には両親からの多大な支援を得て、何不自由無く学生生活を謳歌している人たちも少なくない。言わば「打ち出の小槌」を与えられた、恵まれた学生諸君ということになる。しかし、そのことが費用対効果の意識を欠如させているとすれば、それは「ビジネスがわかるようになる」ための環境としては適さない。そのような環境に慣れ親しんだままの学生諸君には、"キッザニア"での擬似社会体験も望まれよう。もっとも、今の雇用環境や経済情勢悪しき状況の中では、幸いにも、このように恵まれたキッズたちは許容されづらくなってきている。

 他方において、前政権が国債や消費税をもって国の「打ち出の小槌」かのごとく思いなしつつあったところを、新政権がいかに費用対効果を意識し、また国民にも意識させていくことができるか、その成果が問われている。

『葦 №143号』より(一部加筆修正)

2010年01月20日更新
※役職表記は、掲載当時のものです。

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商学部教授 岩佐 代市

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