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最新情報

2名の先端機構研究員が科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞しました!

 このたび、2020年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、関西大学システム理工学部の多川則男教授が「科学技術賞(研究部門)」、環境都市工学部の楠見晴重教授が「科学技術賞(理解増進部門)」を受賞しました。今般の科学技術賞受賞者96件221名のうち、私立大学関係者はわずか18名で、本学の研究水準の高さを示しました。


科学技術賞研究部門
業績名:情報機器におけるナノ機械工学と革新実用化技術の先駆的研究
受賞者:多川 則男 システム理工学部 教授

 高度情報化が進む社会では、情報を記録・再生する大容量ハードディスクの記録容量・処理速度のさらなる高性能化が期待されています。そのためには、磁気ディスク本体の改良だけでなく、ディスク上に位置する磁気ヘッド(スライダ)の浮上量を極限まで微小化する技術が求められています。
 多川教授は従来の考え方とは逆の発想で新しい概念の浮上量制御技術を開発。浮上量を少なくするために多発していたスライダとディスクの吸着問題の解決を目指し、世界で初めて、実機レベルでの非接触起動停止方式を創製し、1997年に実用化されました。また、2段構成から成るマザーシップ型スライダも開発し、この設計概念は2007年に実利用化されました。さらに、ディスク上に塗布されている潤滑剤分子の形態を解明し、単分子膜厚1nm以下の潤滑剤を開発・実用化するとともに、熱アシスト磁気記録の開発にも貢献しました。これらの技術により、ハードディスクの記録密度は1,000倍に達し、IoT活用社会を支えるインフラの構築、およびナノ機械工学の進展に大きく寄与しました。

科学技術賞理解増進部門
業績名:京都盆地の地下水適正利用と保全に向けた技術の理解増進
受賞者:楠見 晴重 環境都市工学部 教授

 京都盆地は古来より地下水の利用が盛んな地域です。現在では上水道水源ならびに京料理や和菓子等の食文化、友禅染や日本酒造等の伝統産業、茶道や祭事等の伝統文化などと密接に結びついています。地下水利用に対して、地下水の枯渇、地盤沈下、地下水汚染等の発生は住民生活に大きな支障をもたらすだけでなく、文化の継承にも大きく影響します。それゆえに、地下水の適正利用に関する包括的な水源揚水井の適正管理技術に関する研究と地下水利用の継続的な普及啓発、地下水環境保全に対して住民意識向上への理解増進が求められています。
 楠見教授は30年以上にわたり、京都盆地の地下水適正利用に関する研究を進め、水源揚水井の維持管理技術として最先端技術を取り入れた研究等と共に、京都盆地地下構造の3次元CGによる可視化と地下水賦存量等の種々な解析・調査が進展しました。特に地下水賦存量が「琵琶湖に匹敵」することを初めて視覚化した成果は講演等により、広く社会に対して地下水保全と適正利用の理解増進に寄与しました。



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