Think&Act! 関大生 情熱やモチベーションに頼らない 自分らしさを貫き手にした司法試験合格 法学部 4年次生(取材当時)
西山 日菜さん 

 法学部で学ぶ西山日菜さんは、吉田直弘教授のゼミに所属し、3年次で司法試験予備試験に合格。着実に努力を積み重ね、4年次には司法試験に現役合格を果たしました。こうした功績が称えられ、2025年度の学長奨励表彰も受賞しました。「特別なことはしていません。ただ、続けただけです」。そう語る西山さんの言葉から伝わってくるのは、日々の研鑽を怠らず、自分のペースで物事に向き合い続ける姿勢。今回は、西山さんに司法試験現役合格までの歩みについてお話を伺いました。

目標は一つじゃなくていい。"今"を大切にした進路選択

—高校時代はどのように過ごしていましたか?

 ハンドボール部に所属し、部活動中心の毎日でした。放課後は練習に打ち込み、帰宅後はゲームを楽しむという、ごく普通の高校生活だったと思います。オンラインゲームを仲間と一緒にプレイするのが楽しみでした。幼い頃にはパン屋さんや獣医さんに憧れた時期もありましたが、中学生ぐらいからは「将来の目標は変わるものだ」という思いが強くなり、あえて進路を絞りすぎないことを意識するようになりました。高校時代はとにかく毎日が楽しく、「今を全力で楽しむ」ことを大切にしていました。

—そんな思いもあり、関西大学法学部へ進んだのですね。

法学部は進路の幅が広く、公務員や資格職など将来の選択肢が多いところに魅力を感じました。入学した当初は、明確な目標があったわけではなく、法曹の世界に身近な人もいなかったので、何をどう勉強すればいいのかまったく分からない状態でした。ただ、自分の性格上、後回しにすると意欲が薄れてしまうため、「勉強はできるだけ早く始めた方が良い」と思っていました。

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—司法の道を目指そうと思ったきっかけは?

 入学時に配布されていたチラシで、学生の資格取得をサポートするエクステンション・リードセンターの存在を知りました。「ゼロからでも司法試験合格を目指せます」という講師の言葉に背中を押され、司法の道を志すことにしました。
 ※エクステンションリードセンターは2024年度をもって閉室しました。現在は、関西大学キャリアセンターが「PASS講座」として、各種資格取得および難関国家試験受験のための対策講座等を提供しています。

ゼロからでも、遠回りしない。大学で始めた司法への一歩

—具体的には、どんなことから始めたのでしょうか。

 司法試験に向けて何をどのように勉強すればよいのか分からなかったことに加え、法曹界で働く家族や知人がいるほかの学生と比べると、知識や情報面も不足していると感じていました。
 そこで、勉強方法も含めて専門家から体系的に学び、まずは大学の勉強に付いていける力を身に付けようと1年次の春から予備校へ通うことを決めました。司法試験の勉強は、まさにゼロからのスタートでした。

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—「予備校に通いたい」と伝えたときのご両親の反応はいかがでしたか?

 最初は驚いていましたが、最終的には背中を押してくれました。子どもの頃から、私の「やってみたい」という気持ちを尊重してくれる家庭だったと思います。私自身は、興味のあることにやみくもに挑戦するのではなく、時間を置いて「本当に自分がやりたいことか」を考えた上で行動するよう心がけてきました。一方で、勉強のように「やらなければならないこと」は後回しにせず、早いうちに始めることを大切にしていました。

—大学と予備校はどのように両立していましたか?

 基本的に学ぶ内容は同じだったので、両立の負担はあまり感じませんでした。予備校で予習的な位置づけで学んだことを大学の講義で理解を深め、試験を通して定着度を測ることができました。予備校のオンライン講義も活用し、無理なく学習を進めることができたと思います。学内では、総合図書館や第1学舎5号館にある自習室でよく勉強していましたね。

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淡々と続けた日々が、確信に変わった瞬間

—ゼミでも多くの学びがあったそうですね。

 民事訴訟が専門の吉田ゼミ(吉田直弘教授)には、「自分で勉強できる学生に入ってきてほしい」という紹介にひかれて入りました。過去問題を中心に取り組む中で、分からない点は自分で調べたり先輩や同期と議論を重ねたりすることで本質を理解できるようになり、自学自習の力も自然と身に付いたと思います。特に刺激を受けたのは、3年次で予備試験、4年次で司法試験に合格した先輩の存在ですね。
 吉田ゼミは「最短最速で法曹資格を取得する」という目標を掲げ、試験の合格率も高いことで知られていますが、周囲からの過度なプレッシャーを感じることはありませんでした。自分のペースで学び続けられたことが、司法試験合格につながったと感じています。

—司法試験合格への手応えを感じたのは、いつ頃ですか?

 大学と予備校の課題を一つずつこなし、だんだんと過去問題が解けるようになったことで「この調子ならいけるかもしれない」と思えたのが、1年次の後半です。そこからは予備試験合格を目標に、より腰を据えて勉強に取り組むようになりました。民事では身近な申請業務について学ぶ機会が多く、日常生活や社会の中でどのように生かされているのかを想像することで、司法の勉強の面白さを実感しました。

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司法試験に向けて使用したテキストや問題集の一部

—勉強を続ける上で、意識していたことや自分なりの工夫はありましたか?

 モチベーションに頼るのではなく、やるべきことを習慣として毎日続けることを意識していました。「やると決めたからやる」というシンプルな考え方が、自分には合っていたと思います。勉強中は、子どもの頃から大切にしているぬいぐるみをそばに置き、心のよりどころにしていました。
 勉強の合間に筋トレをしてリフレッシュすることでまた机に向かうことができたので、自分なりの良いサイクルもできていたと思います。睡眠や食事、入浴の時間を削ることはせず、夏休みには中学時代の友人とバーベキューをするなど、適度な息抜きもしていました。

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旅行にも連れていったお気に入りのぬいぐるみ

—試験本番は緊張しましたか?

 予備試験では、マークシートで回答する短答式試験には自信がありましたが、一つの事件について6~7ページにわたって論述する論文式試験では緊張で手が震えました。
 一方、司法試験本番では不思議と緊張することはなく、落ち着いて受けることができました。当日は、母がプレゼントしてくれた、「必勝」と書かれたハチドリのキーホルダーをお守りとして持参していました。

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感謝を胸に、法曹として歩み出す次のステージ

—合格の喜びを、一番に誰に伝えましたか?

 合格発表当日は家族が不在だったので、一人で結果を確認しました。合格が分かった瞬間、すぐに母へ連絡すると、「良かったね」ととても喜んでくれました。
 家族が喜んでくれたのは、司法試験合格という結果よりも、努力した過程を経て目標を達成できたことだと思っています。試験勉強に取り組む私をいつも温かく見守り体調を気遣ってくれた母、そしてきめ細かく指導してくださった吉田先生には、本当に感謝しています。

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2025年度学長奨励表彰授与式の様子

—今後の目標を教えてください。

 2026年3月から1年間行われる司法修習にしっかりと臨み、その後に実施される二回試験(司法修習生考試)に合格することが、直近の目標です。
 将来は、スピーディーかつ安定して力を発揮できる法曹になりたいです。感情に流されすぎることなく、一定のペースで継続して物事に取り組むことができる自分らしさを、社会人になっても生かしたいと思っています。

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高橋智幸学長と語らう西山さん

—最後に、後輩へのメッセージをお願いします。

 関西大学は、さまざまなサポート制度はもちろん、自習室などの施設も充実しています。勉強やスポーツなど、それぞれの学生が夢中なものごとに打ち込める環境は、本当に恵まれていると感じています。
 司法試験に向かう姿勢は人それぞれです。強い情熱を持って取り組む人もいれば、私のように淡々と継続するタイプもいます。大切なのは、自分に合ったやり方を早い段階で見つけ、目標に向かって進んでいくことだと思います。今回の司法試験合格や学長奨励表彰の受賞は、支えてくれた多くの方々の存在があったからこそだと感じています。これからは、自分が積み重ねてきた知識や経験を生かし、後輩やお世話になった方々、そして社会に還元していきたいです。

法学部 4年次生(取材当時)
西山 日菜さん

大阪府立春日丘高等学校出身