「日本サステナブルイノベーターズ(N-SIs)」は、2025年6月に設立したNPO法人です。入院生活を送る小児患者さんに笑顔を届けるため、アパレル企業と連携し新品のまま廃棄される衣類を医療機関などに寄付する活動を行っています。現在は私が理事長を務め、関西大学の学生、高校生、ボランティアなど約30人のメンバーが所属しています。



















































Think&Act! 関大生
ファッションで笑顔を届ける!病院と社会を変える若き挑戦者
商学部 2年次生
高校時代から衣類廃棄問題や、入院患者が抱える孤独感に着目し、「衣類の寄付を通じて笑顔と安心を届ける」活動に取り組んできた西田悠人さん。昨年6月にはNPO法人「日本サステナブルイノベーターズ(N-SIs)」を設立し、理事長として持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。活動に込めた想いと、これから描く未来について伺いました。
「日本サステナブルイノベーターズ(N-SIs)」は、2025年6月に設立したNPO法人です。入院生活を送る小児患者さんに笑顔を届けるため、アパレル企業と連携し新品のまま廃棄される衣類を医療機関などに寄付する活動を行っています。現在は私が理事長を務め、関西大学の学生、高校生、ボランティアなど約30人のメンバーが所属しています。
高校時代、アパレル廃棄問題に取り組む小川璃久さんと出会い、その活動内容に感銘を受けたことがきっかけです。
私自身、中学生の頃に読んだ書籍から、病院経営や医療現場に関心を持っていました。当時の医療現場では、コロナ禍で面会が制限され、長期入院中の子どもたちが孤独感や不安といった精神的ストレスを抱えている状況がありました。一方アパレル業界では、製造された衣類の約半分が未使用のまま廃棄され、大きな環境負荷を生んでいるという課題がありました。
そこで小川さんと共にこの2つの課題を同時に解決できないかを考え、そのための活動を模索し始めました。その結果、アパレル企業と連携し、これまで廃棄されていた衣類を小児患者さんへ寄付する "ファッションを通じて患者さんを笑顔に!"というプロジェクトをスタートしました。
そうですね。まず、企業や病院の担当者に話を聞いてもらうこと自体が難しい状況でした。寄付行為によってブランド価値が損なわれることを懸念し、協力していただける企業はわずかでした。
また、新品の衣類が「資産」か「廃棄物」かという法律上の問題にも直面しました。環境省や行政書士などの専門家に相談し、企業や病院に丁寧に説明することを徹底。寄付の際にはブランドのタグを外すなどの工夫も行いました。
地道な活動を続けたことで、賛同してくださる企業・病院が徐々に増えていきました。さらに関西大学独自の学生をサポートする制度や、サステナビリティ経営・会計を専門とする商学部の木村麻子教授とゼミ生の方々にも活動の場を提供いただくなど、多くの方のご支援をいただきNPO法人としての基盤づくりにつながりました。
中学生の頃から、プログラミングの知識を生かしたウェブ制作事業や調剤機器の開発に取り組み、特許取得やパテントコンテスト受賞など、活動の幅を広げてきました。高校時代には、公認会計士として病院経営に携わる方のお話を聞き、医療業界が抱える赤字問題に公認会計士として取り組みたいという思いが芽生え、商学部を志望するようになりました。
また、KUBIC(関西大学ビジネスプラン・コンペティション)で関西大学を訪れた際、先生方の温かさやキャンパスの自由な雰囲気に大きな魅力を感じました。さらに、公会計・非営利会計の専門である馬場英朗教授が教鞭を執っておられ、尊敬する馬場先生から直接学べることも大きな決め手となりました。
平日は講義が中心で、空き時間には学内オフィスでNPO法人の業務を行うことが多いですね。週末は公認会計士試験に向けた勉強が必要なため、時間の確保が一番の課題です。現在は、NPO活動関連の書類作成や行政手続きの効率化を図るため、管理システムの導入を進めています。
NPO法人としての運営が安定すれば、私自身は公認会計士の資格取得に専念し、大学院へも進学したいと考えています。
一方でN-SIsは、既存メンバーを中心に各自の興味や得意分野を生かしたプロジェクトに取り組めるような組織改革や、モチベーション維持のための環境づくりに力を入れています。今年度中には組織と人員を整え、私自身は理事長として最終的な意思決定に専念できる運営体制の構築を目指しています。
アパレル廃棄問題の解決に向けて、さらなる変革を起こしていきたいと考えています。 現在は流行重視で廃棄を前提とする「ファストファッション」が普及する中で、衣類廃棄問題について認知度を高めたいと思っています。さらに、次のステップとして、古い衣類を糸に戻し新たな衣類を生み出す「マテリアルリサイクル」や、環境負荷のオフセットを可能とする「カーボンクレジット」を用いた仕組みづくりを検討し、NPOとして実装することで、最終的には廃棄を前提とするビジネスモデルの転換へつなげたいです。企業からの寄付や活動に賛同していただけるメンバーを増やしながら、持続可能な体制を整えていきたいです。
2025年6月には、関西大学商学部のゼミと企業による産学連携の「考動」プロジェクトイベントに参加し、千里山キャンパス・悠久の庭でTシャツからトートバッグをつくるワークショップを行いました。また、7月には木村先生の紹介で、大阪・関西万博の関西大学ブースに出展させていただきました。当日は、アパレル廃棄問題に関するポスターセッションやプレゼンテーションを行い、延べ300人の方々にご来場いただきました。ほかの出展企業の方からも「今後も協力したい」との連絡をいただくなど、交流の輪が広がりました。
私自身、「自分は何がしたいのか」と悩んだ時期もありましたが、これまでの学びや経験を通してNPO活動と公認会計士取得という目的が自ずと見えてきました。
皆さんもまずは社会に目を向け、さまざまな人の話を聞き、興味があることについて学び続けてください。そして、行動できる人であってほしいと思います。
関西大学には、起業支援制度をはじめ学生の「やりたいこと」をサポートしてくれる環境や、多様な分野で活躍する先輩方がいます。関大ならではの強みを最大限に生かし、自分の"やりたい"を見つけてください。