私は昔から「人を喜ばせること」が大好きでした。高校時代は個人競技の硬式テニス部に所属していたこともあり、仲間と同じ目標に向かって一つになれる「チーム」や、多くの人をまとめ導くリーダーに憧れがありました。関大に入学する前に先輩から「関西大学に進学した、学園祭実行委員会に入った方が良い」と勧められ、実際に訪れた学園祭ではその熱気とパワーに圧倒されました。人が集まり笑顔が溢れ、感動を与えることができる学園祭の影響力を肌で感じ、「自分もこんな場をつくりたい」と強く思ったことが一番の理由です。



















































Think&Act! 関大生
学園祭実行委員長が語る、"人を動かす力"の磨き方
文学部 3年次生
大学の学園祭としては西日本最大級を誇る「関西大学統一学園祭」では、約800人にも上る学園祭実行委員がおよそ1年を掛けて準備を進めています。文学部3年次生の山田拓登さんは、学園祭運営に参加できる最後の年に、常任委員会委員長として15万人の来場者を迎える大舞台に挑みます。今回は山田さんを動かす学園祭への想いを伺いました。
私は昔から「人を喜ばせること」が大好きでした。高校時代は個人競技の硬式テニス部に所属していたこともあり、仲間と同じ目標に向かって一つになれる「チーム」や、多くの人をまとめ導くリーダーに憧れがありました。関大に入学する前に先輩から「関西大学に進学した、学園祭実行委員会に入った方が良い」と勧められ、実際に訪れた学園祭ではその熱気とパワーに圧倒されました。人が集まり笑顔が溢れ、感動を与えることができる学園祭の影響力を肌で感じ、「自分もこんな場をつくりたい」と強く思ったことが一番の理由です。
入学後、文学部の学園祭実行委員に立候補し、学園祭実行委員を統括する常任局に入局。気づけば3年次には常任委員会委員長として、800人を束ねる責任ある立場を任せてもらえることになっていました。まさか自分がこの役職に就くなんて、入学当初は想像もしていませんでした。
運営の中心となるのは、ライブや講演会の演者とのアポイントを担う「統一企画構成委員会」、約200店舗の模擬店を管轄する「模擬局」、協賛企業との調整やパンフレット・学内地図の制作を行う「パンフレット局」、そして1・2年次生から2名ずつ選出される「各学部学園祭実行委員」の総勢60人です。
私が所属する「常任委員会」は、学園祭の活動方針やテーマの決定、大学との調整、各部署の運営方針づくりなど、学園祭の"骨組み"をつくっています。
一番大変だったのは、学園祭開催に向けた署名活動です。学園祭を開催するためには、各学部過半数の学生から4日間の休校に同意を得る必要があります。文学部だけでも約1500名中800名以上—地道で大変な作業ですが、仲間と一緒に目標を達成するための最初の活動でもあります。書面とGoogleフォームを駆使しながら、新入生ガイダンスや校内で声を掛け署名を集めました。
署名を大学へ提出し、開催許可を得て、初めて関西大学統一学園祭実行委員会としての本格的なスタートを切ることができます。
今年は来場者15万人を目標に、SNSを活用した広報活動に力を入れています。カウントダウン投稿や告知など、準備段階から"ワクワク感"を届ける工夫をしています。「祭前線」というテーマは、3つの決意を表しています。学園祭が、学生にとって日々の努力や成果を発信する"最前線"であること。また、西日本最大級の学園祭として、関西だけでなく日本全体を盛り上げるような心に残る学園祭づくりの"最前線"に立つこと。そして実行委員一人ひとりが"最善"を尽くすという想いを込めました。
はい。今年度は、「笑顔と感謝と希望をとどける学園祭」を掲げています。当初は「笑顔を届ける学園祭」というシンプルな方針でしたが、支えてくれる多くの人への"感謝"や、次世代に語り継がれる学園祭にしたいとう"希望"も届けたいという想いを詰め込み、最終的にこの形になりました。あえて「とどける」をひらがなにし、さまざまな意味が持たせています。
大学の開催許可を得て、初めて第48回関西大学統一学園祭実行委員会としての活動が始まり対外的な広報がスタートします。
文学部アジア文化専修でアジア圏の文化や価値観を学ぶ中で、私は特に韓国の発信力や流行の作り方に関心を持っています。学業で得た知識を学園祭の広報活動に生かすために、「どうすれば人の心を動かせるか」「見たいと思わせる表現とは何か」を意識するようになりました。また、学園祭実行委員会での経験を通して、人の心理や感情を読み取る力、そして伝える力を実践的に学んでいると感じています。
1年間モチベーションを維持しつつ、800人の大人数で活動するには"楽しさ"と"信頼"のバランスが重要です。そのため、定期的に交流会やイベントを企画したり、メンバー同士で気軽に食事に行ったりと、共に楽しむ時間を大切にしています。運営業務だけでは見えにくい一人ひとりの個性を知ることで、コミュニケ-ションがスムーズになると思います。
私がリーダーとして一番大切にしているのは、"生きた言葉"で伝えることです。初対面の方への企画説明や、委員会メンバーとの会議では、きれいな言葉よりも温度のある"生きた言葉"の方が人の心を動かすと考えています。
活動当初は会議への出席率が伸びず、議論がなかなか進まない時期もありました。そんなとき、「なぜ実行委員になったのか」を自分の言葉で、本音で語りました。仲間からの「今日の話が一番心に刺さった」と言ってもらえたときは、想いが伝わった喜びを感じました。
論理と感情の両輪で伝えること。実際に自ら動き、背中で見せ、生きた言葉で伝えることで、リーダーとしての自分が大きく成長できたと感じています。
もちろん、時にはぶつかり合うこともありますが、「学園祭を良くしたい」という想いは皆同じです。本気でぶつかり合える仲間との出会いは、私にとってかけがえないものです。
すべての企画を楽しんでほしいところですが、特に注目していただきたいのはアーティストライブと講演会です。今年は講演を1組増やし、4日間すべての日程で音楽ライブや講演を開催します。さらに、今年初の企画として、「TikTokアワード」を後夜祭で開催予定です。この企画は関西大学の学生であれば参加可能で、学園祭準備の裏側など「学園祭に関する動画」を投稿してもらい、再生回数やいいね数など、テーマごとに表彰します。そのほかにも、関大生限定の「Kandai Dance Festival」や「K.U.ROCK FEVER」など、ダンスやロックのナンバーワンを決めるイベントも注目です。
わずか4日間を最高の時間と場所にするために、1年間をかけ限界まで情熱を注げることだと思います。「人を喜ばせたい」という強い想いがなければ続きません。学生のために、来場者のために、より良くしたいと本気で願うからこそ、時に仲間とぶつかり合いながらも最高のゴールを目指せるのだと思います。最終日の後夜祭で、打ち上げ花火を見ながら、実行員全員でその年のテーマ曲を歌いながら胸が熱くなり、「またこんな時間を仲間と過ごしたい」と思える—その感動を味わうために、翌年も学園祭実行委員会で活動する学生も多いです。
大学生活の4年間は、好きという気持ちがあればどんなことにも挑戦できる貴重な期間です。ぜひ、部活でもサークルでも、好きなことに全力で取り組んでください。例え失敗しても、思うような成果が得られなくても、同じ目標に向かって進む仲間が背中を押してくれます。ありのままの自分で、言葉で、仲間と夜遅くまで語り合い、泣き笑う日々は一生の財産になると思います。
私たちがつくる学園祭という大きな舞台で、皆さんの一年間の努力や成果、情熱を思う存分発揮して、新しい一歩を一緒に踏み出しましょう。