Think&Act! 関大生 成功も挫折も力に変えて 56年振りにつかんだ丹後大学駅伝総合優勝 文学部 4年次生(取材当時)
嶋田 匠海さん 

 2025年の丹後大学駅伝で56年ぶりの総合優勝を成し遂げた関西大学。その出走メンバーで、区間賞と大会MVPを獲得したのが嶋田匠海さんです。しかし、ここまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。自分と向き合い、目標に挑み続けた嶋田さんに、陸上競技への思いを伺いました。

「走る楽しさ」が私の原動力

—陸上競技を始めたきっかけは?

 小学校1年生の時、両親の勧めで北河内地区の小学校対抗駅伝に出場し、「走ることが楽しい」と感じたことですね。小学校4年生から枚方市にある陸上スクールで本格的に競技を始め、中高一貫校に進学して陸上部に入部しました。中学時代は、自分の強みでもある瞬発力やスピードを生かせる1500メートルで大阪中学校陸上競技選手権大会で準優勝するなど、高校に向けて弾みをつけることができました。

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中学時代、近畿大会で力強い走りを見せる嶋田さん

—陸上競技の魅力や楽しさはどんなところですか?

 「走る」というシンプルな競技だからこそ、自分の身体一つでほかの選手と競い合えるところに魅力を感じています。一番得意なのは、ラストスパート。限界に近い終盤で前の選手を追い抜き、1位へと近づいていく展開に醍醐味があります。 また駅伝には、順位を意識して走ること自体に楽しさがあります。チームで優勝を目指す競技なので、戦術や区間ごとの役割が重要です。私は「つなぎの区間」と呼ばれる中間区間を担当し、下位で襷を受け取れば追い上げ、リードしていれば差を広げることを常に心がけていました。

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中距離と長距離の両立を求めて関西大学へ

—関西大学陸上競技部を志望した理由を教えてください。

  1500メートルなどのトラック競技と駅伝を両立できる環境が整っていたからです。大学の陸上は一般的に駅伝が中心となりますが、私は高校時代から、夏はトラック、冬は駅伝に取り組んできました。大学でも得意な中距離でスピードを磨き、それを駅伝の短区間で生かしたいと考えていたので、年間を通して両方に挑戦できるところに魅力を感じました。

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高校3年時、仲間から託された襷を手に走り出す瞬間

—陸上競技部で学んだことや身に付いたことは?

 試合当日や競技中のアクシデントを防ぐために、計画を立てたり事前準備を行ったりすることの大切さを実感しました。私は練習よりも本番で力を発揮できるタイプなので、自分のコンディションを万全に整えることを常に心がけていました。 また、副キャプテンとして、キャプテンのフォローや監督の意図をくみ取り各選手へ伝える役割を担ったことで、周囲と連携しながら情報を伝達する力や、コミュニケーション能力の向上につながったと感じています。

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高校時代から嶋田さんを知る吉田有輝男子駅伝監督は、
「物事に丁寧に取り組む誠実な選手」と語った

—学業と競技の両立はどのようにしていましたか?

 1~2年次は授業数が多かったので、通学中の電車内で課題を進めるなど、時間を有効に使うことを意識していました。各専修の入門講義・入門演習を受講した上で、2年次からは映像文化専修を選択しました。映画の背景や歴史、ジャンル、作家研究など、これまで知らなかった視点から映像への理解を深めることができてとにかく楽しかったですね。

 教職課程も履修していたので、特に教育実習と大会が重なった際は大変でした。先輩からのアドバイスを参考に、移動時間や隙間時間を活用して実習準備を進め、練習時間の確保に努めました。教職課程での学びは、チームでのミーティングの進め方や意見の伝え方にも生かされ、とても有意義な経験だったと感じています。

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※2026年度から、映像文化専修、芸術学美術史専修(美術史分野)、文化共生学専修は「表象文化専修」に再編されました。詳細はこちら

スランプを乗り越え、総合優勝に貢献

—最も印象に残っているレースは?

 引退レースとなった丹後大学駅伝です。区間賞とMVPを獲得し、1年次から目標としていた56年ぶりのチーム総合優勝に貢献することができました。
 私は練習ではなかなかタイムが伸びないタイプで、各大会前に行われるチーム内の選考レースでも、思うような結果を出せずにもどかしさを感じていました。さらに「試合では結果を出せる」という思いを抱きながらも、それを監督やキャプテンには伝えられず、2年次の冬から丹後大学駅伝前まで苦しい時期が続きました。
 その葛藤を乗り越えてつかんだ総合優勝は、努力が報われた特別なレースとなりました。

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勝利を目指してひた向きに走った丹後駅伝大会 

—いわゆるスランプの時期を、どのように乗り越えたのでしょうか?

 自分の中にある不安に向き合いながら強みも見つめ直し、今取り組むべきことを言語化するなど、メンタルトレーニングに取り組みました。伸び悩む時期にも指導を続けてくださった吉田監督や、関西大学スポーツ振興グループの皆さんの支えがあったからこそ、競技を続けることができたと思います。
 言葉で自分の思いを伝えるのは得意ではありませんが、丹後大学駅伝に出場できる最後のチャンスだけは、どうしてもほかの選手に譲りたくありませんでした。「丹後は自分が走って区間賞を取ります」。その思いを吉田監督にぶつけ、選考レースで最後の1枠を勝ち取ることができました。この経験は、自分の成長を実感できた出来事の一つです。

 大会直前には、過去の大会映像をもとにコース状況の確認やペース配分、区間変更も想定したイメージトレーニングを入念に行いました。その結果、本番での区間変更にも落ち着いて対応することができました。

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大会前の「勝負メシ」やお守りを作ってくれた家族の存在は、大きな心の支えとなった

関西大学体育会「カイザーズ(Kaisers)」グッズ ― カイザーズユニフォームベア

 

走る楽しさを追求し、広めていきたい

—今後の目標を教えてください。

 大阪府庁の職員として、陸上競技をはじめとしたスポーツ振興に携わりたいと考えています。「大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025」に補助員兼応援として参加した際、ランナーの「応援が力になる」という言葉や、沿道の方の「駅伝は華がある」という声を聞き、駅伝の魅力を改めて実感しました。走ることを通して、「人を笑顔にし、地域に貢献したい」という思いがより一層強くなりました。

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第57回全日本大学駅伝対校選手権大会 関西学連出場大学選考会
(前列左から2番目が嶋田さん)

—後輩や新入生に向けてメッセージをお願いします。

 関西大学は、広いキャンパスに多くの学生が行き交い、部活動やサークル、学業など、それぞれが自分のやりたいことに挑戦できる環境が整っています。その中で、楽しいことも苦しいことも、成功も失敗も含めて、多くの経験を積むことが大切だと思います。
 時には立ち止まって自分自身を見つめ直すことで、人として大きく成長できるはずです。また、体育会へのサポートも充実しているため、スポーツに打ち込みたい方にもおすすめです。
 私自身も、将来、市街地を走る大規模な駅伝を企画し、その魅力を多くの人に伝えるとともに、自らもランナーとして走る楽しさを追求し続けたいと考えています。どんなことにも諦めず、挑戦し続けてください。

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文学部 4年次生(取材当時)
嶋田 匠海さん

大阪府 東海大学付属大阪仰星高等学校出身