法学部で学術講演会を開催いたしました。
【日時】2025年6月10日(火)16:20~17:50
【場所】千里山キャンパス 第1学舎5号棟E503教室
【講演タイトル】
日中全面戦争期の重慶国民政府の抗戦力
―日本による調査と認識について―
【講演者名】
左春梅先生(博士(法学)関西大学)
中華人民共和国西南大学
歴史文化学院講師
関西大学は2024年9月に中華人民共和国重慶市にある西南大学と基本協定を結びました。その西南大学歴史文化学院では、本学大学院法学研究科の卒業生である左春梅先生(博士(法学))が教鞭をとっています。
昨秋から東京大学大学院人文社会系研究科日本史学研究室にて在外研究中の左先生は、6月10日(火)に母校を訪ね、法学部学術講演会で国際政治を学んでいる後輩のみなさんに、「日中全面戦争期の重慶国民政府の抗戦力―日本による調査と認識について」と題した講演を行いました。
本講演のキーワードは「抗戦力」で、盧溝橋事件から全面戦争に突入した日中戦争において、軍事的にも経済的にも弱体化が進みながらも、蔣介石率いる重慶国民政府が抗戦力を維持し、屈服をしない要因は何であるか―日本はさまざまな情報収集活動を通してそれを解明しようとしました。そうした調査から、日本の想定以上に重慶国民政府が抗戦力を示せる重要な原因を、外部勢力による支援と位置づけた日本が、その主たる外部勢力であるアメリカとの戦争へと進んでいく流れを、日本側の調査内容の分析から導きます。
アジア歴史資料センターの史料に加え、在外研究中に国立国会図書館や防衛研究所資料室などで入手した史料など、根拠史料に基づいて客観的な分析を進めることが重要であることを、左先生からご自身の研究活動を通して学生のみなさんに伝えていただきました。必ずしも良好ではない国家間関係の中で、歴史が恣意的に歪められないためにも、学術研究が持つ責任を実感させられるご講演となりました。
梅雨入りした大阪はあいにくの雨で、6年ぶりの千里山キャンパス散策とはいかなかったものの、関大前商店街が多くの学生で賑わっている様子は、懐かしい光景だったことと思います。