関西大学 人間健康学部

講演会・シンポジウム等Seminer

シリーズ 笑いの総合科学(第2期)の第2回を開催しました。

  • ■日時

10月16日(日)に、「シリーズ 笑いの総合科学(第2期)」の第2回を開催いたしました。

講 師:京都大学特任教授・名誉教授 苧阪直行
テーマ:社会脳からみた笑い

 私たちの行動や感情はすべて脳によって支配されています。それでは、人が笑っている
時に私たちの脳はどのような反応をしているのでしょうか? 「シリーズ 笑いの総合科学」
の第2回目は、脳科学を専門に研究されている苧阪直行先生にお越し頂き、私たち個人
と社会とをつなぐインターフェイスとしての脳の働きから「笑い」について考えました。

人の脳内にあるニューロン(神経細胞)の数は、銀河系の星の数ほど存在していると言わ
れています。その意味では、まさに各個人がそれぞれの「小宇宙」をその身のうちに抱え
ているといっていいでしょう。この人間の脳は、これまで解剖学的に捉える「生物脳」としての
研究が進められてきましたが、近年、脳の社会的な機能に注目した「社会脳」という分野に
関心が集まっています。研究の結果、脳には社会の活動に対応した領域があり、それぞれ
の領域が人間の活動を制御していることが分かってきました。脳の外側面には人間の五感、
すなわち外界から入ってくる情報を処理する領域があり、逆に脳の内側面には入力された
情報を判断し、人の感情を制御する領域が集中しています。人間の脳内ではこのような
人間の活動に応じて情報のやり取りが相互に緊密に行われています。たとえば、目を閉じた
状態で人の笑いを表現する「ニコニコ」「ゲラゲラ」という言葉を耳で聞いただけで、脳では
顔の表情を認識する「視覚野」と自分が笑うための運動の準備を行う「前運動野」が顕著
な反応を示します。これは脳において「笑い」という現象が、顔というイメージと自分の行う
動作として密接に関連付けられていることをあらわしています。このような脳のはたらきを
考えると、「楽しいから笑う」ことと「笑うから楽しくなる」という出来事も、脳内ではつながり
の深い表裏一体の現象として処理されていることが分かります。

研究が進んできたとはいえ、脳は私たちのもっとも身近にありながらいまだ大きな謎に
包まれています。今後、「笑い」という現象を手がかりとして脳の研究が発展し、「脳の宇宙、
こころの銀河」のさらなる解明が期待されます。日常生活を送る上で私たちが自分の脳に
意識を向けることは馴染みのないことですが、講座を通して「脳」と「笑い」のそれぞれに
ついて立ち止まって考える機会を得ることができました。

次回以降も充実した講師陣でお届けしますので、
ご期待ください。ひきつづきご応募お待ちしております。
 
03.jpg

04.jpg

シリーズ 笑いの総合科学(第2期)ご案内
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_hw/2011/09/2-3.html

※注意事項
「シリーズ笑いの総合科学」では、テキストを使用します。
(テキストは講座開始時に、定価2,940円を2,500円で販売しております。
講座テキストをご購入の方には、各担当の先生方の直筆のサインを
入れていただけます。)