Yun, Ohsoon氏による学術講演会を開催しました

 2026年10月27日(火)に、東京外国語大学 現代アフリカ地域研究センター 特別研究員 Yun, Ohsoon氏(PhD in Human Geography, University of Exeter, UK)による講演会「アジアの経済発展とアジア・コーヒーロード」を開催しました。

 エチオピアを発祥の地とするコーヒーは、現在では世界中で愛飲されている嗜好品です。農産物であり、世界商品でもあるコーヒー豆は、世界を回って、アジアでも育てられ、日常的に消費されるようになりました。Yun氏は、この、コーヒーの通ってきた道をアジア・コーヒーロードと呼び、「育てる・飲む・伝える」という3つのキーワードを使ってコーヒーとアジア経済の物語を講演されました。

 現在、アジアには49の国、地域があり、コーヒーの産地であると同時に大きな消費地になっています。また、アフリカ大陸を出発したコーヒーは、アジアを通ることで変化し、新しい文化を生みながらそれらも含めて世界に伝えてきました。17世紀にはインドネシアのジャワ島で栽培が始まり、江戸時代だった日本にもオランダによって飲み物としてのコーヒーが伝えられました。現在ではブラジルが世界第一の生産国ですが、実は、コーヒーの木はアジアを通ってヨーロッパに渡り、その後南米に伝わったということです。 

 コーヒーの木と豆の伝播は、新しい農産品やその生産方法を伝えたというだけでなく、カフェという「場所の文化」も広げました。Yun氏の語るコーヒーは、南の製品を北の国々の人々が消費するという「南北問題」を象徴するモノではなく、それぞれの生産地で独自の飲まれ方、消費のされ方を創造し、それぞれのコーヒー文化をはぐくんできた世界商品です。現代では、コーヒーをめぐるビジネスは規模も拡大し、バラエティも豊富になって、例えば日本や韓国、台湾など所得の高いアジアの国等では、特定の生産地の特定の豆にこだわって、特別なコーヒーを提供する「スペシャルティ・コーヒー」と呼ばれる消費文化も盛んになっています。このため、生産国の人びとにとっても、コーヒーは高付加価値を生む重要な輸出品となっているのです。作る人、運ぶ人、売る人それぞれが付加価値を生むビジネスモデルは、アジアの経済発展と深く結びついて生まれ、発展してきたといえます。

 Yun氏は、韓国で生まれ育って、中国、日本への留学を経て、エチオピアでコーヒーツーリズムの実地調査をし、英国の大学で博士号を取得されました。その後、韓国ではカフェの経営も経験され、コーヒーのQグレーダー(品質評価者)の資格を持つなどの実務経験もあることから、具体的かつ彩豊富なコーヒーの物語を聴くことができ、学生さん達にとっても大変興味深い講演会になったと思います。

【記事提供:北波 道子 教授】

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