学科概要
デジタル化が進む現代に、その根幹を支えるエレクトロニクス(電子工学)をグリーンにデザインする、グリーンエレクトロニクス工学科を日本で初めて開設します。世界的にも注目度が高く、大量の人材不足が予測されている、新たなグリーンテクノロジーを開発するGX(グリーントランスフォーメーション)人材を育成します。スマホやパソコン、EV車などに搭載の半導体デバイスを中心に、ハードウェアとソフトウェアの両面から、資源循環を意識した原料、電力消費量の少ない集積回路設計、その回路を用いたエネルギー効率の高いAIアルゴリズムの開発を研究します。
学びのキーワード
グリーン
持続可能な社会のための環境に優しい
エレクトロニクス
ハードウェア、ソフトウェアを生み出す・使いこなす
電子的なテクノロジー
設計・製造・使用・リサイクルといった電子機器のライフサイクル全体において、AI/IoT・情報通信技術を駆使して環境への影響を最小限に抑えることができる電子技術のことです。特に消費電力が少ない、エネルギーをグリーンに使うことができる電子機器に関する分野です。
学びの特色
本学科の特色は、環境に優しい電子機器およびソフトウェア・AIの両立のため、数学と基礎物理・化学をベースとし「半導体デバイス物性」「装置・加工・計測・制御」「アナログ・ディジタル集積回路」「数値計算・情報」の4カテゴリを学べるカリキュラムに加え、充実した実験・実習、PBL(プロジェクト学習)があることです。また、産学連携や海外大学との共同研究を強みとしています。関西大学では文理両方の千里山キャンパスに、約6千人の理工系学部・院生が在籍し、4つの講義教室棟に、6つの実験棟と大規模な環境があり、多様な分野から学科を選択することができます。本学科は、グリーンとエレクトロニクスで高性能と省電力を両立させるなど、時代を先取りする学科でありながら、学科定員が62名ときめ細かい指導とアットホームな雰囲気が期待できる学科となることでしょう。

学びの進め方

紹介動画
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Q. どのような研究ができますか?
半導体技術の低電力化に代表される研究が魅力!
半導体技術は電子機器の小型化・低電力化、すなわちグリーン化に大きく貢献してきました。しかし、PCなどの高度化に伴い、更なるグリーン化が求められています。特に、急激に需要が高まっているAI用半導体では、グリーン化が急務となっています。グリーン半導体実現に不可欠な、電子回路、電子材料、入出力デバイス、半導体製造などの基礎研究からAIを代表とする情報処理システムなどの応用まで、様々な研究ができます。
Q. 授業ではどのようなことを学びますか?
多方面からのアクティブなアプローチ
電気工学、電子工学、情報工学に加えて半導体プロセスを理解する上で重要な微細加工、電子材料、集積デバイス設計などを学びます。連携企業協力の元、最新の環境で実験・実習を行います。また、半導体関連企業における現場実習、海外大学での短期・中期ラボ・インターンシップも行う予定です。
Q. グリーンエレクトロニクス人材は求められていますか?
GX人材は欠かせない!
脱炭素社会の実現のために必要なGX(グリーントランスフォーメーション)人材は、2035年までに200万人不足するとの試算もあるほど、今最も不足していると言っても過言ではありません。
Q. 「データ」や「電気」、「環境」について学べる、他の学部とのちがいは?
電気・電子工学の原理に低電力化を目指すグリーン化技術を加えるとともに、材料科学、化学、環境科学、データサイエンスの知識を組み合わせ、総合的・学際的な観点から課題に取り組むことができます。
Q. 高校時代に何かしておくと良いことはありますか?
「数学」「物理」の基礎を強固に!
完璧にできる必要はありませんが、数学や物理の基礎知識を入学後に応用して研究をします。色々な知識の点と点を繋ぎ、大学での学びを深めます。身近な日常のことに興味を持つことや、なぜだろう?どういう仕組みだろう?と常に考える習慣を身につけましょう。
Q. 世界の「グリーンエレクトロニクス」や海外との共同研究について教えてください!
世界で進んだ分野で最先端の研究を!
世界では、成長が期待される分野として研究がより進んでいます。GX人材の大量な不足が予想される将来、様々な業界で世界的に渇望されることでしょう。本学科では、世界基準のこの分野を、アジアや欧米の海外大学と共同で研究するプログラムも準備します。また、海外大学との学生交換プログラムでは、研究室で現地の学生と共に学ぶことや、関西大学に留学生が来て、研究活動をすることもあります。世界中の大学が集まる学会での研究発表や、DD(ダブル・ディグリー)で関西大学と海外大学の両方の学位を取るプログラムも検討しています。
Q. 産学連携で、どのようなことをするのですか?
関西大学が持つ研究成果や、技術、ノウハウを民間企業が活用し、実用化や産業化を実現する産学連携も積極的に行います。新しい分野であるグリーンエレクトロニクスは産学連携が強く求められるため、様々な企業との連携を計画しています。
Q. 卒業後の進路のイメージはどのような業界・職種ですか?
多様な進路で活躍が期待されます。まず、半導体設計・半導体製造業界が挙げられます。前者はファブレスと呼ばれ、半導体の企画から設計までを行います。そして、後者は受託製造に特化した半導体メーカーで、ファウンドリと呼ばれます。次に、電気機器業界があります。そこでは、半導体を用いた商品開発で、グリーンエレクトロニクスを活かし、持続可能で省エネ、高性能も叶えるGXインベンターとしての活躍が予想されます。自動車業界では、新型EV車が続々と開発され、AI搭載のサイバートラックで性能を高め、エンターテイメントも楽しめることと、省電力や再生利用も同時に考える先進的なGX人材になることが予想されます。
企業からのメッセージ
新設に寄せて
このたび、関西大学におかれまして「グリーンエレクトロニクス工学科」を新設されましたこと、心よりお祝い申し上げます。
大量生産・大量消費の20世紀が終わり、地球が有限であるという認識が広く共有される今、これまでとは異なる社会課題の解決と、新たな価値創出を担う人財を育成されるという貴学の理念に、深い敬意を表します。
半導体は今や、社会インフラの一部といっても過言ではありません。
もはやそれなしでは生活が成り立たないスマートフォン、カーボンニュートラルの実現、劇的に進化する人工知能(AI)など、社会のあらゆる変革の基盤を支えているのが半導体です。
ロームもまた、こうした変化に対応すべく、パワー半導体やアナログ技術を通じて、持続可能な社会の実現に挑戦しています。
ただ、今はまさに変革の時代であり、「次に何が来るか」は誰にも予測できません。
だからこそ、現状に対して健全な疑問を持ち、新しいこと・未知のことに果敢に挑む、幅広い視野と柔軟な発想を備えた人財が求められています。
その意味で、貴学が新設された本学科のテーマ「未来を変える学び」は、まさに時宜を得たものであり、これからの半導体産業を支える人財像と重なります。
学生の皆さんには、日々の学びを通じて「自らが現実を動かしている」という手応えを感じながら、恐れずに未知へ挑戦してほしいと願っています。
失敗を恐れず挑む経験こそが、実社会で発揮される真の強さとなるでしょう。
そして、いつの日かロームをはじめとする技術産業の舞台で、培った知識と情熱を存分に発揮されることを心より期待しています。
最後に、関西大学システム理工学部グリーンエレクトロニクス工学科が、次世代半導体産業を担う広い視野を持つ人財を多数輩出し、関西ひいては日本の産業発展に大きく貢献されることを祈念申し上げます。
“グリーンエレクトロニクス人材”に期待
生成AIの急速な進展は、半導体デバイスの微細化や3次元化にとどまらず、材料開発からシステムレベルの統合に至るまで、半導体技術の進化を加速させています。次世代の半導体を支えるには、複雑化するデバイスアーキテクチャや新材料の開発に加え、環境負荷の低減という社会的要請にも応えていく必要があります。特に、デバイスの微細化が進むことでプロセス工程数が増え、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量が増加することが大きな課題となっています。これに対応するためには、産官学の連携による革新的かつ環境に配慮したプロセスソリューションの開発が不可欠です。
このような時代において求められるのは、半導体に関する高度な専門知識に加え、持続可能な社会の実現に向けた強い意志と、広い視野を持って課題を俯瞰し、解決策を導き出す力です。さらに、グローバルな視点で情報を収集・活用し、総合的な価値を創出できる人材が必要とされています。
このたび関西大学システム理工学部に新設される「グリーンエレクトロニクス工学科」は、物理・化学といった基礎学問に加え、半導体の実装技術や応用分野に至るまで、実践的かつ体系的なカリキュラムを備えています。また、企業との産学連携や国際的な共同研究を通じて、世界を舞台に活躍できる力を育む環境が整っています。
本学科から、次代の半導体産業を牽引し、技術革新と環境調和を両立させる「グリーンエレクトロニクス人材」が数多く輩出されることを、心より期待しています。
技術戦略担当執行役員 三河 巧
関西大学「グリーンエレクトロニクス工学科」の新設を、心よりお祝い申し上げます。
持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷を低減しながら高性能を追求するエレクトロニクス技術は、今まさに世界が求める分野です。本学科の誕生は、次世代の技術者・研究者がこの重要なテーマに挑戦するための大きな一歩であり、産業界にとっても大きな希望です。
地球温暖化や資源制約、エネルギー需要の増加といった課題は、私たちの生活や産業活動に深く関わっています。エレクトロニクス技術は、これらの課題解決に直結する力を持っています。三菱電機では、省エネルギー性能を飛躍的に高めたインバーター技術や、再生可能エネルギーを効率的に利用するパワーコンディショナー、さらには次世代パワー半導体であるSiC(炭化ケイ素)デバイスの開発などを進めています。これらは、送配電からモーター駆動、鉄道車両、空調機器に至るまで幅広い分野で活用され、CO₂排出削減に貢献しています。
私たちは、大学との共同研究や人材交流を通じて、新しい価値を創造することを重視しており、大学の基礎研究と企業の応用技術が融合し社会実装へとつながる成果が生まれています。グリーンエレクトロニクス工学科が、産業界と連携しながら新しい技術や製品を生み出す拠点となることを、心から期待しています。
グリーンエレクトロニクスの分野は、まだ多くの未開拓領域を残しています。新しい材料、新しい回路、新しいシステムなど、そのすべてが、皆さんの柔軟な発想と挑戦心によって進化します。失敗を恐れず、好奇心を持って挑戦することが、未来を切り拓く力になります。世界に通用する技術者・研究者として羽ばたくために、ぜひこの学びの場を最大限に活用してください。
持続可能な社会の実現は、一企業だけでは成し得ません。大学、産業界、そして社会全体が手を携え、より良い未来を創る。その中心に、グリーンエレクトロニクス工学科が立ち、次世代を担う人材と技術を生み出すことを心から願っています。
上席執行役員 知的財産担当、研究開発本部長 岡 徹 2025年11月末日
このたびは、グリーンエレクトロニクス工学科の設立、誠におめでとうございます。
持続可能な社会の実現に向けて、グリーンエレクトロニクスは次世代産業を支える中核技術です。
関西大学様における「グリーンエレクトロニクス工学科」の新設は、環境負荷低減と先端半導体技術の融合を目指す私たちにとって、大きな希望となります。
ヌヴォトンテクノロジージャパンは、AIoT・モビリティ・エネルギー分野において、
・低消費電力半導体
・電池制御技術
・パワー半導体材料
など、環境と共生する技術開発を推進しています。さらに、産学連携や社会課題解決型スタートアップ支援を通じて、未来を切り拓く活動を続けています。
この学科で育成される高度な専門知識と実践力を備えた人材が、カーボンニュートラルや循環型社会の実現に向けたイノベーションを加速し、グリーンテクノロジーの新たな価値創造に貢献することを強く期待しています。
関西大学様とともに、持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けてまいります。
代表取締役会長 小山 一弘
この度のグリーンエレクトロニクス工学科創設を心よりお祝い申し上げます。
現代社会において、環境問題やエネルギー効率の向上が求められる中、グリーンエレクトロニクスの知識を持った人材の育成は一層重要性を増しています。
近年は生成AIの発展で、ストレージへの要求はさらに高度化、多様化しています。特に高速・低消費電力の半導体メモリ・SSDなどの研究・技術開発が急務となっており、技術の進歩だけでなく、環境問題に対する深い理解を持つ人材が必要です。NAND型フラッシュメモリを発明して以来デジタル社会の発展に貢献してきたキオクシアも、持続可能な社会の実現に向けた技術開発を推進する中で、自ら課題設定・課題解決できる、イノベーションを起こせる技術者の育成を進めています。
貴学において、いち早くグリーンエレクトロニクス工学科が、半導体デバイスの特性や集積回路設計、そしてAI技術を組み合わせたカリキュラムを通じて、実社会の課題に先んじて取り組むことを大いに期待しています。特に、プロジェクト学習、産学連携、共同研究を通じて、実際のデータや技術を活用することで、理論と実践の両方を身につけてほしいと願っています。
グリーンエレクトロニクス工学科の卒業生の皆さんが、持続可能な技術を実現するリーダーとして成長し、未来のエレクトロニクス業界を牽引することを心から願っています。この新しい学科が、次世代の環境意識を備えたエンジニアを育成する場として大きな役割を果たすことを信じております。
常務執行役員 技術統括責任者 宮島 秀史
予想される将来のフィールド
グリーンエレクトロニクスでどんな仕事ができる?
半導体設計(ファブレス)/製造(ファウンドリ)業界を中心に、電気機器業界での半導体を用いた事業開発、商品開発、技術開発など、エコと便利や安心安全、どちらも叶える製品やソフトの開発など、どの業界でも、世界的にも、大量に必要となるGXインベンター(GX推進において、環境と経済の両指標から重要なビジネスや技術を発見・開発することができる人材)として活躍できます!
グリーンエレクトロニクス人材のニーズは広い分野で、とても高い!
多様な業界への就職が期待できるGX(グリーントランスフォーメーション)人材ですが、2035年までに200万人の雇用が不足すると言われています。
想定されるエンジニアとしての職種
- 回路設計
- 製品企画
- 研究開発
- 機械(光学)設計
- 生産技術
- 分析及び評価
- 品質管理・品質保証
- システムエンジニア
- データサイエンティスト
- Webエンジニア
- サーバーエンジニア
- 技術営業
想定される業界や仕事
- 半導体デバイスメーカーで設計(ファブレス)や製造(ファウンドリ)
- 電子機器製造メーカーで商品開発
- ITや製造業、サービス業でデータサイエンティスト
- 情報通信業でネットワークの企画や設計、メンテナンス
- ウェーハメーカーで半導体デバイスの材料製造
- 半導体製造装置メーカーで装置設計
- 半導体商社で技術サポート
取得できる資格
所定単位を修得すると資格を取得できるもの
- 中学校教諭一種免許状〔理科〕
- 高等学校教諭一種免許状〔理科〕
- 司書
- 司書教諭
- 学芸員
カリキュラム
1年次
必修科目
- 第1選択外国語Ⅰ・Ⅱ
- 第2選択外国語Ⅰ・Ⅱ
- 数学を学ぶ(微分積分Ⅰ)
- 数学を学ぶ(微分積分Ⅱ)
- 数学を学ぶ(線形代数Ⅰ)
- 数学を学ぶ(線形代数Ⅱ)
- 数学を学ぶ(ベクトル解析)
- 物理を学ぶ(力学Ⅰ)
- グリーンエレクトロニクス概論
- 電気回路Ⅰ
- 電気回路Ⅱ
- 情報リテラシー演習
- 基礎プログラミング
選択必修科目
- 振動・波動・光の物理学
- ディジタル回路基礎
選択科目
- 物理を学ぶ(力学Ⅱ)
- 基礎からの情報処理
- コンピュータシステム序論
- 工業製図とCAD
- データサイエンス入門
- 物理学実験
- Foundations of Engineering Science
2年次
必修科目
- 第1選択外国語Ⅲ・Ⅳ
- 確率・統計
- 電磁気学Ⅰ
- 化学基礎
- グリーンエレクトロニクス工学実験Ⅰ
- グリーンエレクトロニクス工学実験Ⅱ
選択必修科目
- グリーンエレクトロニクス応用Ⅰ
- 数学解析Ⅰ
- 電子物性基礎
- 信号処理I
- 電気回路Ⅲ
- アナログ電子回路Ⅰ
- 応用プログラミング
- エネルギーと環境
- 数学解析Ⅱ
- 電磁気学Ⅱ
- 計測工学Ⅰ
- アナログ電子回路Ⅱ
- 数値計算演習
選択科目
- 量子・統計力学
- 海外体験研修
- 固体物性基礎
- 信号処理Ⅱ
- データ構造とアルゴリズム
- グローバルPBL
- データサイエンス基礎PBL
- 情報社会と情報倫理
- 知的財産権法
3年次
必修科目
- グリーンエレクトロニクス工学実験Ⅲ
- グリーンエレクトロニクス工学実験IV
選択必修科目
- グリーンエレクトロニクス応用II
- 半導体デバイス工学
- 基礎制御工学
- ディジタル電子回路
- データ解析演習
- 電気電子材料
- LSIプロセス工学
- 集積システム設計
- システム実装演習
選択科目
- 情報数学
- 光物性
- 有機電子材料
- 計測工学Ⅱ
- マイクロマシン
- 回路システム理論
- 情報理論
- 画像情報処理
- 海外インターンシップ
- 産学連携PBL
- 安全工学
- システム最適化
- 光エレクトロニクス
- メカトロニクス
- 材料機器分析
- 高周波電磁気学
- システム制御工学
- マイクロプロセッサアーキテクチャ
- パターン認識
- 音声・音響情報処理
- データサイエンス応用PBL
4年次
必修科目
- 特別研究Ⅰ
- 特別研究Ⅱ
選択科目
- ロボティクス
- 技術者倫理
- 電気通信及び電波法規
- 電気法規及び施設管理
- 寄附講座(各テーマ)(1〜4年次)
教えて!
卒業生 Interview
グリーンエレクトロニクスが活かされる代表的な分野として、半導体業界がありますが、一般に名前のよく知られる企業は半導体を「使った」電子機器を製造し販売します。それを支える半導体を「製造」する会社や半導体を「設計」する会社に大きな需要があり、今回は「半導体製造装置メーカー」の最前線で働かれている卒業生にインタビューしました!
どのような仕事内容ですか?
あらゆる電子機器やソフトに欠かせない半導体ですが、私の仕事は、半導体を製造する際に発生する、微細な不純物等を取り除く洗浄工程の研究開発です。半導体をより速く、よりきれいに洗浄できる洗浄装置を実現するために、実験計画を立て、データを分析しています。関西大学にもクリーンルームがありますが、半導体等の精密機器は不純物が入ると機能しなくなります。
大学時代は何を学ばれていましたか?
入学後の2年間は、主に講義を通して機械工学の基礎を学びました。そして3年次の秋学期から大学院修了までナノメートルスケールの機能性材料の研究を行いました。基礎科目の学びの中でナノメートルスケールの世界に興味を持ち、そこから物理と化学の両方が学べる半導体がテーマの研究室を選びました。
半導体に化学ですか?
化学薬品を使い、半導体の不純物を取り除くのです。大学入学時は物理と化学の研究は別ものだと思っていたのですが、大学での学びを深める中で両方の面白さに気づき、両方を学べる研究室を選びました。
大学院へも進学されていますね?
大学院ではより専門的な講義も受講し、研究に使える時間が増えました。自分で色々と考えられる裁量や責任が大きくなりました。その中で自分の興味や強みが明確になったので、就職活動も自分の研究内容に直結した半導体業界一本に絞っていました。高校生のときは想像もしませんでしたが、結果的にその研究が直接仕事内容に繋がっています。
大学の研究内容とお仕事が直結しているのですね!
私の勤務する半導体製造装置メーカーは日本企業が非常に強いのが特徴ですが、研究室で培った自分の「発想力」も発揮でき、とてもやりがいを感じています。大学の研究の延長といっても過言ではない程ですよ。
グリーンエレクトロニクスはどのように仕事に活きると思いますか?
現代では半導体の日進月歩の性能向上に伴い、製造過程でも大量の電力消費、CO2が排出されており、グリーンエレクトロニクスによる環境負荷の低減が大きな課題で、今後の業界で強く求められることだと思います。半導体分野に限らず、大学時代からこれからの時代に大切になる分野を学べるのは良いですね!
高校生のときはどのような興味や勉強をされていましたか?
高校生のときは、自分が半導体の業界で働くことは想像していませんでした。漠然とモノづくりに興味がありましたが、勉強は数学と物理と英語を中心にして、まずは大学に進んでから、自分がめざしたいものを見つけようと思いました。私は大学でベクトル解析を学んだことがきっかけで数学に目覚めました(笑)。高校時代にあまり得意ではなかった数学を諦めなくて良かったと思いました。
関西大学を目指す高校生にメッセージをお願いします!
大学では学びを実際に研究に「活かす」ことで、高校の科目の勉強とは違った面白さがあります!自分なりの発想を生かせる研究で、世界を変える可能性のあるグリーンエレクトロニクスに是非チャレンジしてほしいと思います!
学科でできることをもっと教えて!
グリーンエレクトロニクスでどう進化するの?
実用例1
スマートフォン、AI、EV車を全て省エネで設計して、移動も情報も娯楽も一度に楽しめる?
- インフォテイメント
- エコフレンドリーなデザインやデータ通信量の削減など、消費電力の少ないコンパクトなソフトウェアで高性能・高機能を実現します。
実用例2
よりコンパクトで高速化しつつ、バッテリーが長持ちする?
- グリーン集積回路
- 省エネルギー設計、リサイクル可能な材料、ソフトウェア最適化に加え、環境に配慮した設計と製造により持続可能なエレクトロニクス産業を形成します。
実用例3
機械学習などを用いることで、新たな材料を使った環境にやさしいスマートフォンが生まれる?
- マテリアルズ・インフォマティクス
- 大量の材料データをデータベースに保存し、材料の特性や性能を予測したり、新しい材料の設計を効率的に行ったりすることができます。
実用例4
スマートフォンに発電装置が付いて、振ったり話したり歩いたり走ったり(運動)するだけで充電できるようになる?
- エナジーハーベスティング
- スマートフォンの振動を感知する発電機や音の振動を検知するマイクロフォンが日常の活動で生じるエネルギーを回収し、電力に変換します。
まだまだ
「グリーンエレクトロニクス」で
広がる未来
現在のAIはコンピュータ上で動いていますが、人工知能専用の回路を設計して集積回路に組み込むことで、あらゆるモノにAIを搭載することができるかも?! 新素材を使って柔らかいディスプレイ・電子回路・センサー・バッテリーを開発?! 曲げることができるディスプレイや電子回路が登場しています。スマートフォンをすべて柔軟な素材で組み立てることができたら、ハンカチのようにポケットにスッポリおさまって、曲げ伸ばしでバッテリーが充電される夢のスマホが実現するかも?!
研究内容を見てみよう!
先生はどのような研究をしているの?
走査型プローブ顕微鏡を用いた高分子フィルムの圧電性評価技術
写真:走査型プローブ顕微鏡と宝田先生
強誘電性高分子は電気をかけた方向を記憶できる特殊なプラスチックで、プラスチック内部の分子が電気をかけ終わった後もかけた方向に整列したままであるために、物質内で自発分極と呼ばれる電気の偏りが生じます。この特殊なプラスチックは外部から力を加えると電荷(正と負の電気)が現れたり、弱い電圧を加えると歪(ひずみ)が生じたりします。このような性質は圧電性と呼ばれており、この性質を活かして環境発電(エナジーハーべスティング)デバイスへの応用が期待されています。宝田先生は、この圧電性を評価するために、走査型プローブ顕微鏡を用いた新しい技術を開発しています。
詳しくは「関大先生チャンネル」で見てみましょう!
グリーンエレクトロニクス工学科
こんな人におススメ!