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第2回国際シンポジウム

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第2回国際シンポジウム
基調講演 要旨    

桐山 孝信(大阪市立大学法学部教授)

11月6日に行われた安藤仁介京都大学名誉教授の講演要旨は次のようである。


(安藤仁介氏)

外国人の政治活動制限を事実上容認したマクリーン判決から30年たち、最高裁は外国人の地方参政権について憲法上禁じられていないとする判断を行い、参政権行使の前提としての政治活動も容認されることになった。また、二風谷判決で札幌地裁は、先住民族の文化享有権を憲法上も認める判決を下し、異なるエスニック集団との共生を模索し始めた。その他日本には、さまざまな集団にかかわる問題がある。女性、子ども、障害者、部落の人々、また国際的側面を持つ在日コリアンや、旧日本国籍の台湾人などの問題を紹介し、これらを国際人権規約上の問題として捉えると、差別の防止問題であるとともに、マイノリティ問題でもあると指摘した。他方で、マイノリティについては定義がないことから批判もあるが、重要なことは、マイノリティ問題とは、具体的な問題に直面した集団が提起するものであって、それぞれの集団が置かれている状況に応じた解決が必要であり、そのためには、裁判制度のほかに、国内人権機関による監視や調停などの仕組み、そして自由権規約委員会などの国際的レベルでの対話や調整といった、さまざまな具体的な仕組みが必要とされると締めくくった。

航空機のトラブルで日本到着が遅れたインドのシン教授の基調講演は翌日に行われた。


(マーヘンドラ・パル・シン氏)

シン教授はマイノリティ問題を歴史的に振り返り、その課題がグローバルな問題として登場するのは、第1次大戦以後のことであり、国際連盟システムなどを紹介して、マイノリティ集団に属する人の保護が発展してきたことを示す。他方、第2次大戦後は、すべての個人の人権保障が強調された。しかし、自由権規約が27条で少数者保護規定をおくことになり、その他にもILO107号条約、人種差別撤廃条約などが採択され、特定集団に属する個人の権利保護も発展してきた。また国際的な実施措置も整備されつつあり、2005年に任命された国連マイノリティ問題独立専門家や2007年のマイノリティ問題常設フォーラム設置が注目される。国際レベルの発展を紹介した後、シン教授は、インドこそが、マイノリティ保護の先導国であると述べる。インドでは人口の半数以上を占める特定集団が存在しないマイノリティの人々からなる国家であるがゆえに、憲法による保護が進められてきた。他の集団との差別禁止だけでなく、近年では言語や文化について積極的措置がとられており、マイノリティ問題は正義と平和の重要な要素となっていると結んだ。

基調講演をめぐる議論では、マイノリティの定義問題、特に女性もマイノリティかどうか、集団の権利と個人の権利の衝突の問題、国内の保護システムの発展に対する国際法の役割について意見の交換が活発に行われた。


(桐山孝信氏)

基調講演 要旨
国別報告セッションⅠ 要旨
国別報告セッションⅡ 要旨
国別報告セッションⅢ 要旨
総括討論 要旨 

 


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