Kansai Univ
 
第2回国際シンポジウム

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ニュースレター

紀要

 

第2回国際シンポジウム
国別報告セッションⅠ 要旨

浅野 宜之(大阪大谷大学人間社会学部准教授)

国別報告のセッションIでは、インド・デリー高裁のアジット・プラカッシュ・シャハ長官と、韓国・憲法裁判所の金福基研究官からの報告がなされた。

シャー長官は「性的志向を根拠とする差別:その法的視角」と題して、同性愛などの性的志向を持つ人々に対する差別が、法によって助長されている側面があることを、例を挙げて説明した。そして、ソドミー法とその影響などの歴史的展開を紹介した上で、人権保護の観点から見方が変わってきたことなどを、とくに国際的な流れをもとに報告された。そして、シャー長官自身が審理に加わったNAZ Foundation判決について、詳細な紹介があった。このケースは、インド刑法第377条(不自然な性的交渉)が憲法の平等権規定や生命への権利を侵害しているとして提訴されたもので、報告では論点ごとに紹介した上で、同規定が違憲であるとの判断がなされたことが示された。そして、マイノリティの権利を保護するに当たっての裁判所の持つ重要な役割について言及された。インドにおけるマイノリティとしても新しい分野についての判例であり、興味深い報告であった。


(アジット・プラカーシュ・シャハ氏)

金研究官の報告は「大韓民国における憲法判例とマイノリティ保護」と題するものであった。まず韓国における憲法裁判所の設置及びマイノリティに関わる憲法上の規定及び憲法裁判所の判例について報告された。憲法上の規定としては、第11条の平等権規定のほか、社会保障や社会福祉に関わる第34条などがマイノリティに関わる重要な条項として紹介された。判例については、障害者の雇用義務および障害者雇用納付金制度が合憲とされたケース、退役軍人に対して公務員採用試験において点数の加算を行う制度が平等権を侵害するとして違憲と判断されたケース、1994年生活保護基準についてはこれを合憲と判断したケース、外国人研修生の保護及び監督のためのガイドラインが、研修生の労働条件について不十分な点があり、違憲とされたケースが取り上げられた。そして、憲法の規定や憲法裁判所はマイノリティの権利保護に一定の役割を果たしていると評価した。金研究官の取り上げた判例は内容も具体的で、いずれも興味深いものであった。


(金福基氏)

報告後、質疑応答では活発な議論がなされた。インドにおける性的マイノリティの現状やインドの判例にみるアメリカの影響、あるいは韓国の憲法裁判所のあり方など、基本的情報についての質問から始まり、ヨーロッパにおける過去の事例と比較しながらのコメントなども出され、すべての質問希望者にマイクが回らないほどであった。


(浅野宜之氏)

基調講演 要旨
国別報告セッションⅠ 要旨
国別報告セッションⅡ 要旨
国別報告セッションⅢ 要旨
総括討論 要旨 

 

 


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