研究中間報告書『「マイノリティ」という視角』(上・下)公表について
「マイノリティ研究」プロジェクトの中間研究成果報告書として、『「マイノリティ」という視角』を公表する。
本研究センターが「マイノリティ研究」を始めて以降、「マイノリティ問題」は大きく、かつ「深化」してきた。現実の事態は、われわれの研究をより一層進めることを求めている。例えば、①「差別と排除、そして暴力の対象としてのマイノリティ」のみならず、「抹殺の対象としてのマイノリティ」について、②「国民国家が想定してきた、そして構想しようとしているマイノリティ」と「自己構築されたマイノリティ」との「ずれ」と異同について、など十分な考察はこれからである。本書は、まさに「中間的な研究とりまとめ」にすぎないが、少なくとも、さらなる研究の課題とその方向性を示すものであろう。
本書は、上下二巻からなる。上巻は、マイノリティにかかわる主として国家および国内的問題を扱う論考を中心とし、下巻は、国際関係および国際的テーマを扱う論考を掲載する。それぞれの論考の中には資料的なものから、論点を端的に提示する「研究ノート」的なものなど多彩な内容となっている。また、それらの論文記述形式も厳密には統一していない。ひとえに「中間報告」であるが所以である。これらの論考をブラッシュアップする作業は3月の研究員会議などですでに開始している。そして、これらの論考をまとめて今年中に、関西大学出版部から公刊することになっている。読者諸賢からご意見、ご批判賜れば幸いである。