本書は、企業の開示情報を「会計情報」と捉え、財務諸表で示される情報を分析の根拠に財務諸表を読む側と作る側の双方の立場から理解し、分析能力を高めることを目的に、2部構成となっています。
企業がビジネスを展開し、財・サービスを私たちに提供する存在であり続ける限り、誰しも消費者として企業と関わることは避けられません。企業の利益獲得能力や支払・返済能力をはじめとするさまざまな特性を捉えるための知識や能力を身につけることは、皆さんにとって有益なものとなるでしょう。
デジタル時代において企業を可視化するためには、1つの視点ではなく、収益性、成長性、安全性、効率性といった各特性に応じた視点で捉えつつ、総合的な視点で企業の特性を読み解く専門知識や能力が求められています。
本書の学びを通じて養った企業の経営分析に関する知識や能力は、高度情報人材として自身のキャリア形成や生活に役立ち、また投資家や債権者、取引先、経営者、従業員などさまざまな立場で企業とスマートに関わる礎になるでしょう。会計情報の有するインパクトやダイナミズムを理解し、情報の利活用能力を育むことがのぞまれます。
デジタル時代において、企業の経営活動は、迅速な対応や変化を求められています。経営分析に用いるデータの範囲や情報量は拡大し続けており、財務諸表で示される情報のみならず、いまやサステナビリティに関連する情報にまで及びます。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)に伴い、会計情報を適切に入手・分析し、企業戦略立案やビジネス創出に生かす批判的思考と問題解決能力を同時に備えた人材が、国際社会で求められています。
本書を通じて培った専門知識や能力を、皆さんが企業との関わりにおいて必要な判断や行動、意思決定に役立てることを期待しています。