関西大学 人間健康学部

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シリーズ 笑いの総合科学(第2期)の第4回を開催しました。

  • ■日時

11月23日(水)に、「シリーズ 笑いの総合科学(第2期)」の第4回を開催いたしました。

講 師:目白大学講師 野澤孝司
テーマ:笑いの脳科学最前線

 人間は自分の心や体にどのようなことが起こった時に笑うのでしょうか?
 私たちは、親子や友達のような親しい間柄の人に遊びで身体をくすぐられた時に
笑うことがあります。また、誰かが面白い冗談やユーモアを言っているのを聞いても
笑うことがあります。さらに、自分の身の回りにいる誰かが大笑いしている声を聞き、
それにつられて笑うこともあります。刺激としてはまったく違うこれらのものに対して、
なぜ、私たちの身体は「笑い」という同じ反応を示すのでしょうか? そこには人間の
脳にあらかじめ生得的にプログラムされたそれらの刺激に対する共通のメカニズム
が深く関わっています。今回は、脳科学がご専門の野澤孝司先生から、脳科学の
最先端の研究を紹介しながら、人間の脳が外部からの刺激を「笑い」に変換する
情報処理のプロセスについて解説して頂きました。

 人間が「くすぐり」を感じて笑った時や、ユーモラスな話を聞いて「おかしさ」や
「面白さ」を感じた時には、脳の前頭部の深部に位置する「前部帯状回」(ぜんぶ
たいじょうかい)と、脳の中心部分にあり「快感中枢」とも言われた「側坐核」
(そくざかく)という場所に大きな反応が見られます。私たちが笑った時に「楽しく
愉快な」感情を経験するのは、これらの脳の部位と深く関連しています。また、
人の笑い声を聞いた時には、ある人の行動を見ただけでそれを自分の行動と
して模倣する「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞のある部位が活性化し、
人の笑いがまるで鏡に映したように自分に移ってしまうと考えられています。

 人間の笑いを考える際には以上のような脳の働きを観察することは重要ですが、
その一方で私たちの笑いの身体側の反応に目を移すと、「腹(肚:はら)」が重要な
キーワードになります。私たちが本当に「面白さ」や「おかしさ」を感じて笑う時には
腹が動きますし、「腹黒い」や「腹を割って話す」など、日本や東洋では「腹」は本音
を語るものとして捉えられています。西洋的で理論的な脳科学と東洋的で感性的
な身体学。これら2つの視点を融合させながら笑いを考えることが、今後、新たな
笑いの科学を生み出すのではないかと問題提起されました。

次回以降も充実した講師陣でお届けしますので、ご期待ください。
ひきつづきご応募お待ちしております。

シリーズ 笑いの総合科学(第2期)ご案内
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_hw/2011/09/2-3.htm

※注意事項
「シリーズ笑いの総合科学」では、テキストを使用します。
(テキストは講座開始時に、定価2,940円を2,500円で販売しております。
講座テキストをご購入の方には、各担当の先生方の直筆のサインを入れていただけます。)

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