関西大学 人間健康学部

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シリーズ 笑いの総合科学(第1期)の第5回を開催しました。

  • ■日時

7月3日(日)に、シリーズ 笑いの総合科学(第1期)の第5回を開催いたしました。

講 師:関西大学名誉教授 井上 宏
テーマ:笑いと「純粋経験」――笑いの力について

私たちは、「笑う」という経験を日常的に経験していますが、笑う前と笑った後では
私たちの意識や身体の中でどういった変化が起こっているのでしょうか。
今回の講座では、私たちの笑っている「最中」の状態に焦点を当てつつ、
西田幾多郎の「純粋経験」というキーワードを手掛かりとして人間の「笑いの謎」に迫りました。

西田幾多郎の「純粋経験」は、自分の身に起こった事実についていかなる判断をも加えず
出来事そのままを経験している状態をあらわす言葉です。その間、人間の意識は
その出来事に統一されています。私たちが笑っている「最中」はまさにこの「笑い」に
意識が統一された純粋経験の状態に身を置いているといえます。
また、人間が笑う時には心が無の状態になるとともに、みずからの中からエネルギーの
ようなものが湧き上がってきます。

さらに、人間の体には心身の状態が傾くと元の状態に戻ろうとする「ホメオスタシス」
(恒常性の原理)の機能が備わっています。怪我や病気をしたとしても時間が経てば
私たちの身体のバランスが整えられるように、笑いには日常生活の中で私たちが
抱えるストレスを解消し、「心のバランス」を整えるはたらきがあります。私たちは
笑うことで笑う前の「古い自分」から笑った後の「新しい自分」を生み出すことができ、
笑いには私たち人間のうちに秘められた生命力を汲み上げて自己を再生させる
「ポンプ」のようなはたらきがあると解説されました。

人間の身体は口にした食べ物が血となり肉となって形作られます。食べ物の味が
実際に食べてみないと分からないように、笑いも「笑ってこそ分かる」もの。
その効果も日常生活を送る上で私たちが実際に行う笑いの中にあることが強調されました。

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現在、「シリーズ笑いの総合科学」の第2期を準備中です(テーマ:「笑いのサイエンス」、
期間:10月~11月を予定)。次期も充実した講師陣でお届けしますので、ご期待ください。
ひきつづきのご応募をお待ちしております。

なお、「シリーズ笑いの総合科学」では、テキストを使用します。
(テキストは講座開始時に、定価2,940円を2,500円で販売しております。
講座テキストをご購入の方には、各担当の先生方に直筆のサインを入れていただけます。)