関西大学 人間健康学部

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シリーズ 笑いの総合科学(第1期)の第4回を開催しました。

  • ■日時

6月18日(土)に、シリーズ 笑いの総合科学(第1期)の第4回を開催いたしました。

講 師:関西大学文学部教授 関屋俊彦
テーマ:能・狂言と日本の笑い

「能」と「狂言」は、近代以降ひとまとめにして「能楽」という言葉で語られてきました。
能楽のルーツは「散楽」であり、それは「正楽」(=舞楽)に対する俗楽として成立して
きたものです。この散楽の源流は中国の唐の時代に国家によって保護されていた
演劇であり、さらには「ローマ帝国」(大秦国)にまでさかのぼることができます。
これは舞楽に携わる人びとが「秦」姓を名乗ってきたことと無関係ではないと考えられます。

 散楽はその後「猿楽」に変化し、やがて鎌倉時代には「能」という演劇として成立しました。
能には笑いの要素はないと思われがちですが、その演目のひとつ《翁》に使われる面(おもて)
に着目すると、そこには明らかに笑いの表情がたたえられています。一方、その場における
即興性や一期一会を旨とする「狂言」には長い間演劇としての台本が存在せず14世紀半ばに
なってその成立の兆しが見られますが、そこには常におおらかでなごやかな笑いに満ちた
世界が展開されていました。

能と狂言の歴史を学んだ後、講師と受講者の皆さんと謡(うたい)を歌い、
最後は全員で大笑いの「笑い締め」をして講座はお開きとなりました。

「なほ千秋や万歳と
 俵を重ねて面々に 俵を重ねて面々に 俵を重ねて面々に
 楽しうなるこそ めでたけれ」
(なお、千年も万年もと、米俵を重ねあげて富み栄えることこそめでたいことだよ)

講座終了後、先生が持参された貴重な面(写真左:若女、右:福の神)を直に触る機会を
設けられ、受講者の方々は思い思いに面を手に取り、そこから垣間見える能と狂言の
世界に触れることができました。

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次回以降も充実した講師陣でお届けしますので、
ご期待ください。ひきつづきご応募お待ちしております。

シリーズ 笑いの総合科学(第1期)ご案内
http://www.kansai-u.ac.jp/mt/archives/2011/06/1_2.html

※注意事項
「シリーズ笑いの総合科学」では、テキストを使用します。
(テキストは講座開始時に、定価2,940円を2,500円で販売しております。講座テキストをご購入の方には、各担当の先生方に直筆のサインを入れていただけます。)