すこやか教養講座(第2期)の第2回を開催しました。
5月28日(土)に、すこやか教養講座(第2期)の第2回を開催いたしました。
講 師:京都大学大学院教育学研究科准教授 佐藤 卓己
テーマ:『青年の主張』が消えた理由
かつてNHKで長らく放送されていた「青年の主張」という番組。
毎年「成人の日」に放送され、1970年代には紅白歌合戦と並ぶ
国民的人気番組でした。
ところが、この番組は1989年、激動の昭和の終わりと共にその姿を大きく変え、
そして2004年にはその番組も打ち切られてしまいます。かつての国民的人気番組は
いかなる理由で形を変え、終わりを告げたのか。今回の講座では京都大学大学院
准教授を務める佐藤卓己先生をお招きして、その背景にある日本の「青年」像の
変容を追いかけました。
現在、徐々に研究対象として見つめ直されつつある「青年/若者」論。
「青年の主張」が放送されていた1950年代から1980年代は、高度経済成長の
青春期からバブル期の青年期を迎えるという意味において、現代日本の
「青春」イベントそのものだったのです。その中で、少しずつこの「青年の主張」は
出場者の特徴とその語りの内容を変えていきました。
例えば、70年代初頭には「我々のメッセージ」から「私のメッセージ」へ。
または、「農村」「職場」という社会空間性から「海外」「私」という個人空間性へと
その主張の内容は変容し、70年代終盤には女性・高校生中心の大会に姿を変え、
学校化する社会と「青年」の長期化を示唆するものになっていきます。
現在では大学生が大衆化し、教養主義が没落する中で、改めて我々はその
視野外に置かれているマイノリティな「青年/若者」像を再考し、彼らの主張に
耳を傾けるべきではないでしょうか。
次回以降も充実した講師陣でお届けしますので、ご期待ください。
ひきつづきご応募お待ちしております。
すこやか教養講座(第2期)ご案内
http://www.kansai-u.ac.jp/Fc_hw/2011/04/2-2.html