1月21日に樫原正澄教授の最終講義が行われました

2021年1月21日午後1時より、樫原正澄先生の最終講義「農業経済学研究の回顧」が開催されました。コロナ禍ということもあって、講義はリモート出席を基本としていましたが、密を避けながら、教室での聴講を希望する学生や教員が出席しました。
樫原先生は、まず冒頭で周りの人々に対する感謝を表し、とりわけ、先生が研究者の道を歩まれるきっかけとなった3名の恩師への感謝を語られました。そして、対面および遠隔で参加していた多くの学生に向かって、人生における出会いの大切さについて述べられました。
先生は高等学校を卒業後、公務員としてお仕事をされながら、大学、大学院と進学し、勉学に励まれたそうです。「18歳から52年間、ずっと仕事をしてきました」とおっしゃったその言葉は、日本の経済発展の歴史とかさなる、重みのあるものとして印象に残りました。
樫原先生のご専門は、農業経済学です。1990年に農産物流通論の研究で博士号を取得後、1992年に関西大学経済学部に着任され、1996年からは教授として、研究とその成果の社会への還元、すなわち教育に邁進されてきました。先生のご研究は、例えば時代毎に発表された成果からも、この半世紀の日本農業をとりまくの環境変化が彷彿とされるように、社会との生きたつながりを体現されています。人々の命と生活を支える農業は、人間にとって不可欠な産業ですが、その継続を支える経済性や環境保全などの課題に直面してきました。先生はそのことと真剣に向き合ってこられ、今も日本農業の持続的発展のために必要な枠組み作りに取り組んでいらっしゃるのだということがよくわかりました。
先生は、このように長期に渡って継続的に学術的な成果を挙げられ、と同時にそれらを分かり易く著す教科書にも寄稿されてきました。先生の担当されている農業経済学は常に受講生が多く、特に今年度秋学期は700人を超える盛況となっています。農と食という身近な問題を取り扱う重要な科目であることはもちろんですが、本日の最終講義で、その人気の理由がさらにいくつかわかったような気がしました。
樫原ゼミでは課外活動として、合宿や旅行はもちろん、田植えやヒエ取りなどの農業体験をされていました。それらの活動の写真からは、現実の体験から学ぶことが学生にとってどれほど貴重であるか、そして樫原先生がそれを実現するためにどれだけの情熱を注がれてきたのかを見て取ることができました。樫原先生を慕う学生たちの姿は、教育者としての先生のお人柄を改めて実感させるものでした。
講義の後、社会経済専修、為春会、経済学部から記念品と花束の贈呈がありました。加えて学生からも花束が贈呈され、学生たちはいつまでも樫原先生との写真撮影に興じていました。

経済学部副学部長 北波道子

お知らせ一覧に戻る

page
top