鈴木 智也 ゼミ

  • 国際経済コース
  • 経済理論専修

ゼミの内容について

このゼミでは、PCの実習を通して、因果推論と因果探索を学びます。因果推論では、「もしAが起こらなかったら、Bはどうなっただろうか?」という反実仮想の考え方を使って、原因と結果の関係を探ります。

反実仮想の例を以下に挙げます。2023年1月に回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で客の少年が迷惑動画を撮影し、それがSNS上で炎上しました。この迷惑動画によってスシローが被った損害を測るには、同社の利益を迷惑動画の炎上前後で比較するだけでは不十分です。スシロー側はその少年に対して6,700万円の損害賠償請求を行いましたが、少年側は「客の減少は同業他店との競合も考えられる」と争う姿勢を示しました(読売新聞オンライン2023年6月9日)。少年側の主張にあるように、迷惑動画以外の要因で利益が減少した可能性があるのです。したがって、迷惑動画が仮に存在しなかった場合にスシローの利益がどの程度であったかという反実仮想を考えることが必要となります。

因果推論は「ある政策や行動が経済にどんな影響を与えるのか?」という因果関係を調べる方法です。また、類似の手法として、因果探索はまだ分かっていない因果関係をデータから探し出す方法です。これらの手法を使うことで、より正確な政策の提案ができ、経済問題を解決するための有効な手段を見つけることができるのです。

ゼミの進め方

PCを用いた実習形式で進めますので、各自にはPCを持参してもらいます。本ゼミは、プログラミング教室ではなく、因果推論と因果探索の使い方を学ぶことを目的とします。プログラミングに躓いたときには、Chat-GPTやCopilotといったAIに尋ねれば、多くの場合に解答が得られます。PCはMacでもWindowsでも、どちらでもかまいません。主にPythonをJupyterLab上で使用します。どちらも無料です。

卒論のテーマ

四回生は卒論に取り掛かります。卒論のテーマは多岐にわたります。たとえば、最近の学生の一人は、因果探索の手法を用いて、公共経済学の地方財政論における「足による投票」という仮説を検定し、その仮説が否定されることを発見しました。また、別の学生はコロナ禍前後における企業の財務データに対し、差分の差分という因果推論の手法を適用して、ゲーム周辺機器メーカーには巣ごもり需要の恩恵があったことを発見しました。このように、最近の学生はゼミで身につけた因果推論や因果探索の手法を現実のデータに用いて、様々な発見をしています。

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