システム理工学部

学びのスタイル

理工学研究科 システム理工学専攻
博士課程前期課程2020年3月修了
安藤 寛人

研究テーマ

ナノ材料の工学的・電気的・磁気的特性

さまざまな環境下で利用でき、SDGsの達成に貢献する半導体ナノロッド太陽電池を開発。 さまざまな環境下で利用でき、SDGsの達成に貢献する半導体ナノロッド太陽電池を開発。

高性能太陽電池の開発

基板から多数の柱が突き出た「ナノロッド構造」をもつ太陽電池は、高い光電変換効率が期待されています。そのナノサイズの柱に酸化チタンのコーティングを施すことで、更なる高効率化と長寿命化をめざす研究を行っています。さらに私達はこの太陽電池を低温で作成する手法を開発。実用化されれば利用環境が広がり、大きな社会貢献につながると期待しています。

  • ※この学びのスタイルは2022年度のものです。

理工学研究科 システム理工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
稲垣 大志

地球の深部における熱対流のメカニズム解明へ。独自の手法を加え、新たな調査領域を展開。 地球の深部における熱対流のメカニズム解明へ。独自の手法を加え、新たな調査領域を展開。

地球の深部では熱や流体の移動(熱対流)が起きていますが、今も謎が多く残されています。解明できれば地磁気形成や地殻変動のメカニズムが明らかになります。私は対流の物理モデルを考案し、数値シミュレーションを用いて熱対流の解析を行いました。プログラム構築まで、先生と協同して全てゼロから作りあげました。苦労の末、流れが可視化されたときの喜びは何ものにも代えがたいです。

  • ※この学びのスタイルは2018年度のものです。

理工学研究科 システム理工学専攻
博士課程前期課程 2年次生
山中 翔太

研究テーマ

プラズモニクスを利用したアップコンバージョン発光ガラス材料の開発

小さなエネルギーから大きなエネルギーを得る、そんな夢を実現するナノテクノロジーを追究。 小さなエネルギーから大きなエネルギーを得る、そんな夢を実現するナノテクノロジーを追究。

研究テーマにある「プラズモニクス」とは、金属ナノ粒子中の自由電子の振動(プラズモン)により発生する強い光や電界を利用する技術のことです。私は環境に無害な金属ナノ粒子のプラズモンを活用して、エネルギーの小さな赤外線からエネルギーの大きな可視光を作り出すガラス材料の開発を目標に研究しています。成功すれば、より環境に優しい材料で、太陽光発電の効率を上げたり暗い部屋を明るくできる可能性がある、とても夢のある研究です。これは私が立ち上げた研究。自分で実験の計画を立てて、確かめながら取り組めるのが醍醐味です。金属ナノ粒子がどの波長(エネルギー)の光と相互作用するかは、ナノ粒子の大きさに依存します。ナノ粒子はスパッタ法で作製しますが、赤外線を吸収するナノ粒子の作製条件を見つけるのに苦労しました。研究は試行錯誤の連続ですが、研究室の仲間と情報を交換。狙った物性が確認できたときの喜びは大きいですね。将来は、照明やディスプレイなど、光に関するものづくりの仕事を視野に、研究に集中できる大学院生活を満喫しています。

サイズによる物性の変化を、多彩な産業に応用する。物理のもつ無限の可能性を感じられる学科です。

ナノサイズの物質が示す特異な性質は、光デバイスはもちろんバイオセンサーやメディカルなど、多彩な分野に役立っています。山中さんは、ナノ粒子特有の性質を利用した独創的な研究に取り組み大きく成長しています。物理学は、卒業生の多彩な進路先からも分かるように自然科学や科学技術の根底を支える学問です。物理学の「極めてシンプルな美」を知るのも本学科で学ぶ楽しみの一つです。

物理・応用物理学科
稲田 貢 教授

  • ※この学びのスタイルは2017年度のものです。

理工学研究科 システム理工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
左手 宏毅

研究テーマ

4層構造の磁気トンネル抵抗素子に関する研究

ナノサイズの磁石で開発する次世代電子デバイス。電気抵抗を探る計算で、その素材を見極めます。 ナノサイズの磁石で開発する次世代電子デバイス。電気抵抗を探る計算で、その素材を見極めます。

パソコンのハードディスクやメモリなどの情報記録装置は、より小型化、大容量化が望まれています。それを実現する「ナノサイズの磁石を用いた次世代電子デバイス」が、私の研究対象です。コンピュータの中での情報の基本単位である「0と1」をナノメートル程度の大きさの磁石に担わせることで、大幅な性能アップが見込めます。ここで重要になるのが、デバイスを構成する金属などの素材。記録密度の高さや処理スピードの速さといった性能は、物質がもつ電気的・磁気的性質に影響されるため、素材の種類や使用条件によって性質、特に電気抵抗がどう変わるのか計算で求めています。企業における実用化試験に必要となる、重要な計算です。理論と実験の結果が一致しても「良かった」で終わらせず、なぜ一致したのか、改善点はないのかと、引き続き探ることが大切。物理の仕組みは探れば探るほどおもしろく、しかも社会に役立つことが実感できるところが大きな魅力です。大学院に進学してさらに研究を深め、培った力を開発職などで役立てたいです。

社会の発展に結びつく学びが学科全体に含まれ、次世代のものづくりへのアプローチが可能です。

左手さんがめざすのは、量子力学特有の物理現象に基づき、情報記録装置の未来を変えるという、全く新しい発想による次世代のものづくり。こうした社会の発展に直接結びつく学びが、学科全体にあります。大学院では、企業や研究所と連携する研究も少なくありません。左手さんのように考える力を鍛え、自分が一度出した答をも疑ってみる人が、科学技術の新しい境地を切り拓きます。

物理・応用物理学科
伊藤 博介 教授

  • ※この学びのスタイルは2016年度のものです。

理工学研究科 システム理工学専攻
博士課程前期課程 1年次生
竹村 実成

研究テーマ

フェムト秒電子バンチが引き起こすコヒーレント放射現象

理論と実験を通じて量子物理に挑戦。研究室のなかで、光の発生を確認しました。 理論と実験を通じて量子物理に挑戦。研究室のなかで、光の発生を確認しました。

金属表面をかすめるように飛ぶ
電子ビームと発生した放射光

私が所属する量子放射光物理研究室では、光速近くまで加速した電子で光を発生させることを目標に、理論研究と実験を行っています。理論研究は、英文の教科書を読んで発表するところからスタートしました。「理論を理解するとは、数式が表現していることを図に描けるようになること」という先生の教えを受け、表面的に数式を追うのではなく、数式が何を意味しているのかをイメージとして理解することを大切にしています。研究室の仲間は、物理学への情熱が人一倍強い人ばかりで、知的刺激を感じない日はありません。実験では、研究室にあるレーザー装置に自作の装置を組み合わせてシステムを設計し、そこに加速した電子ビームを流すことで、凹凸のある金属板の表面から光が発生することを確かめました。実験結果は日本赤外線学会で発表し、優秀発表賞を受賞。通常は大がかりな実験施設でなければ成功しないだろうと考えられていたことを、研究室内のシンプルな装置を使って世界で初めて実現した点が評価され、とても喜んでいます。

物理が好きな人はもちろん、学ぶ方向を決めていない人にも物理を勧めます。

物理を深く学んでいくと、研究の選択肢が化学、生物など、ほかの専門分野にも広がっていきます。めざす分野が明確でない人や、いろいろなことに挑戦してみたい人は、まず物理を学んでみるとよいと思います。一方、竹村さんは物理の魅力にとりつかれ、研究者をめざすほどになりました。学ぶ意欲にあふれた学生が研究室に加わってくれることは、大変うれしいですね。

物理・応用物理学科
淺川 誠 教授

  • ※この学びのスタイルは2015年度のものです。

理工学研究科 システムデザイン専攻(現 システム理工学専攻)
博士課程前期課程 2年次生
富田 昌志

研究テーマ

確率波動で探るフェムトスケールの核分子

超短寿命な原子核の大きさを推定する方法を開発しました。 超短寿命な原子核の大きさを推定する方法を開発しました。

物質を細かくしていくと、原子にたどり着きます。その原子の中心にあるのは、「原子核」と呼ばれる数fm ※1単位の微小な粒子。私は炭素原子核を題材に、この非常に小さな世界を探究しています。身のまわりにある物質の原子核の中では、複数の核子 ※2が集合し、1つの塊として存在していますが、外からエネルギーを与えるとその塊はα粒子に分離し、分子のように互いに弱く結合し合っている「αクラスター構造」に変化します。炭素の場合、3つのα粒子に分離した「3αクラスター状態」が発現します。3αクラスター状態は不安定で、非常に短時間で壊れてしまいます。そして、αクラスター状態ではもとの半径の1.5倍ぐらいに膨れあがっていると考えられていますが、はっきりした大きさはわかっていません。私は量子力学の理論に基づき、原子核の確率的な波動の反応を数値シミュレーションすることによって、αクラスター状態での大きさを推定する方法を開発しました。炭素の3α状態は地球上には存在しませんが、実は、宇宙の恒星内で一時的に形成され、3αクラスター状態を経由して炭素ができると考えられています。原子核というミクロの世界の研究が、宇宙という最もマクロな世界の解明につながる点に、非常におもしろさを感じます。

  • ※1 fm(フェムトメートル):10のマイナス15乗メートル
  • ※2 核子:陽子と中性子をまとめて核子と呼ぶ

原子核の内部構造は、世界中が注目するホットな研究テーマです。

原子核は、陽子と中性子という2種類の核子が密集した系で、例えて言うなら水滴の中の水分子のように、互いに強く結びつきながら活発に運動しています。富田さんは、原子核のエネルギーが増大した励起状態に関する興味深い性質を研究し、画期的な成果を上げました。最先端の研究として国際会議で発表し注目を浴びたほか、アメリカの学術雑誌にも論文が掲載されました。

物理・応用物理学科
伊藤 誠 准教授

  • ※この学びのスタイルは2014年度のものです。

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