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調査の論理

松本 渉

(勁草書房/2025年8月刊/252頁)

調査の論理

内容紹介

本書は,「データの科学の新領域」(松原望監修)というシリーズの第二巻です。「データの科学」の原点を思いださせ、さらなる進化を遂げるポテンシャルがあることを強調する本リーズでは,第一巻『科学方法論としての統計技法』で,統計学の発展的な方法論を示しました。第三巻の機械学習に入る前に,第二巻では社会調査を取り上げています。プライバシー意識の高まりなどにより,科学的に信頼できるレベルで実施することがますます難しくなっている社会調査の変遷を振り返りつつ,海外の調査研究の動向,認知的な質問紙研究や行動観察研究と調査の関わりなどを紹介しています。

従来,メディアの読み手や聞き手でしかなかった私たちは,インターネットの発展により,自ら情報を発信するようになりました。そのような中だからこそ,私たちは,調査結果を無批判に受け入れるのでなく、科学的でない調査は「調査」とはいえないという健全な「批判的視点」を私たちの中に育てなければなりません。社会調査が人々の生活に関する様々な意思決定のための判断材料を提供するものとして重要な役割を担っていることは言うまでもありませんが,公正・公平で科学的に信頼できる調査は,簡単に実施できるものではありません。年々社会環境が大きく変化し,様々な実施上の問題も多くなっています。本書では,そうした中で得られるデータからいかに情報を読み取るかという観点に立ち,社会調査の考え方や,現場の課題に対する様々な対策の具体例をあげています。これまでに確立した現状把握と課題解決の方法に加え,新たな試みによる研究の成果が数多く紹介されています。

著者からのひとこと

本書に限らず本シリーズでは,専門書というより,より広範な読者を意識して,読み物風に書かれています。あまり堅苦しく身構えずに,読書を楽しんでください。そして,本書を読み終わったとき,「調査のなぜ」をつかみとってもらえると同時に,なぜ本シリーズでは「データサイエンス」と言わずに,「データの科学」という表現を用いているのかということも理解してもらえることを期待しています。

目次

  1. 第1章 いかにデータを集め、何を読み取るか(林文)
  2. 第2章 世論から遠ざかるマス・メディアの世論調査(菅原琢)
  3. 第3章 これからの統計調査法―調査法、サンプリング、世論調査、選挙予測(松田映二)
  4. 第4章 認知的アプローチでよりよい質問紙を!(木村邦博)
  5. 第5章 海外で面接調査を行う―どのように統計学的にサンプルをとるか(吉野諒三)
  6. 第6章 米国の電話調査事情―日本の調査が学ぶもの(松本渉)
  7. 第7章 アジアの国際比較調査から学ぶ個人と社会の多様性(金井雅之)
  8. 第8章 「持続可能な開発目標SDGs」と市民意識(角田弘子)
  9. 第9章 人々の生活はパターン化することで理解が深まる―日記形式の生活行動調査へのソーシャル・シークエンス分析の適用(渡辺庸人;森本栄一;奥律哉;美和晃)
  10. エピローグ データの科学と調査の科学(松本渉)
  11. 参考文献
    索引
    執筆者紹介

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